『渋滞学』の著者の新著
渋滞学を研究する中で「無駄」について興味を持ち「ムダどり学会」の会長にもなっている著者が、これを学問として取り上げようというのが本書です。
とはいえ「無駄学」は渋滞学ほど理論的な整理がされているわけではないことは著者も認めています。
もっとも本来学問というのは解決・究明すべきとテーマに取り組むところから発達するわけで、現場の実況中継ともいえます。
著者は『渋滞学』でも異分野の知識を有機的に結びつけることの重要性=「クイズ王」と専門家の間の存在の必要性を説いていましたが、本書でもそのスタンスは一貫しています。
本書の後半部は悪く言えばクイズ王優先の床屋談義風になってしまっていて「目からウロコ」という感じはないので、読み物としてはあまり刺激があるとはいえません。前半は「ムダどり学会」の初代会長でトヨタ生産方式に精通した経営コンサルタントの山田日登志氏のムダどりの極意を紹介していて、後半は著者が様々な局面でムダを減らすことができるのではないか、というエッセイのような感じになり、多少話がダレ気味になっています。
しかしあとがきを読むと、著者の意気軒昂ぶりが伝わってきて、今後の活躍が期待できそうです。
科学者は、論理的思考を極限まで訓練しているため、他分野の少しの知識と、そこに思考を踏み出す勇気があれば、どの分野のことも論じていける。そして、これにプラスして経験が必要なのだ。外に踏み出す訓練をしていかないと、直感が磨かれず、総合的な視野がなかなか身につかない。
(中略)
失敗と批判を恐れず外に出ず、細分化された殻の中で安住しているだけでは、大変にもったいない。今はすべての人の知恵を結集して将来の危機に備えるべきなのだ。そしてこれからはこうした縦横無尽に議論できる新しいタイプの科学者の輩出こそが、その国の力を決めるとさえ私は思っている。