一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『渋滞学』

2008-05-12 | 乱読日記

だまされたと思って読んでみてください。


頭のいい人が難しいことをわかりやすく書いた本です。

基礎研究と応用研究が上手に連携するとこういうことができるんだ、ということが面白くわかる本です。
またそれが筆者の問題意識でもあります。

・・・最も言いたかったのが分野横断的な人材の必要性である。この渋滞学を研究してきて、私はその大切さをしみじみと実感した。各分野の専門家を育成することも大事だが、この専門家をつないでゆくのも同じ重みで大事である。
 私ももちろん専門家のはしくれなので、たとえば非線形現象について細かいことをいろいろと知っている。クイズ王と専門家のちがいは、例外まで含めてある分野の原理原則を知り尽くしているのが専門家で、専門知識の一部を例外抜きで満遍なく知っているのがクイズ王である。例外を知ることは、知識の適用限界を知ることにつながり、実際に知識を実生活に応用する際にはとても大切なのだ。その意味では、ものごとがうまくいっている場合には実は専門家はほとんど必要ない。しかしうまくいかないことが出てきたときに、それを解決できるのが専門家で、大変重要である。
 しかしこれだけではまだ不十分で、新しいタイプの専門家がこれからの高度技術化社会には必要だ。もちろん全分野で専門家になるのは不可能なので、自分はひとつの分野で専門家であればよい。しかし自分の専門分野以外に、クイズ王よりは深く工学と理学のいろいろな分野を知っていることも必要なのである。その上で専門家の友人を多く持ち、その内容を理解してお互いの精神を共有できる人材こそ、これからの社会を担う人材である。異分野の知識が有機的に結びつくのは、結局一人の人間の頭の中にそれらが入り込んで混ざったときのみである。

 
クイズ王側の私が言うのも失礼な話ではあるのですが、こういう人をみると、日本の基礎体力も捨てたものではないな、と思えます。


 

 

 


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