一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

同工異曲?

2007-06-27 | あきなひ

とりいそぎのmemo

東京証券取引所
上場会社代表者への「MSCB等の発行及び開示並びに第三者割当増資等の開示に関する要請」について
(2007年6月25日)  

MSCB等については、上場会社自らが、発行条件及び利用方法次第では株式の希薄化などによって既存株主に不利益をもたらし得る商品性を有するものであることを十分に理解し、発行を行う際には、流通市場への影響及び株主の権利に十分に配慮することと、資金使途や発行条件等について適切な情報開示を行うことの必要性が高まっていると考えられます。  

上場会社各社におかれましては、これらMSCB等の発行及び開示並びに第三者割当増資等の開示に際しては、以下の点について、御留意いただくようお願い申し上げます。 

上場会社は、MSCB等の発行を行う際には、調達資金の使途、新株予約権等の行使条件の合理性、MSCB等の発行数量及び当該発行に伴う株式の希薄化の合理性等について十分に確認・検討を行ったうえで、流通市場への影響及び株主の権利に十分に配慮すること。

上場会社は、MSCB等の発行を行う際には、当該資金調達方法を選択した理由、調達する資金の使途、発行条件の合理性等について、わかりやすく具体的な説明を行うこと。  

上記のほか、上場会社は、第三者割当により株式、新株予約権又は新株予約権付社債の発行を行う際には、当該資金調達方法を選択した理由、調達する資金の使途、発行条件の合理性等について、わかりやすく具体的な説明を行うこと。


同日付でグッドウィルグループが出したのが
第三者割当による新株予約権発行に関するお知らせ

「最低資本調達金額保証型」ファイナンス(Floored Block Finance=“FBF”) などと称してますが、要するにドイツ銀行は3ヶ月間に40%の下落リスクを5%の報酬でとったということのようです。

「最低資本調達金額保証型」ファイナンス(Floored Block Finance=“FBF”)とMSCB 等の商品との相違点及び比較メリット

① 発行株数が完全に固定されているため、MSCB でよく見られる、「株価下落により発行株数増加→ さらに多くの株式の売り→株価下落により発行株数増加→さらに多くの株式の売り」といった悪循環(デス・スパイラル)にはなりません。
② 一般的にMSCB では、社債権者は株価が下限転換価格(フロア価格)を下回った場合に繰上償還(プット)できる権利を有しており、株価下落によって被るリスクは限定的です。対して、FBF では割当先にフロア価格未満の株価下落リスクが完全に残るため、株価下落の要因となる権利行使及び売却を回避するインセンティブが、割当先にて働くと考えております。
③ 一般的にMSCB では、上限転換価格(キャップ価格)が存在するため、会社が享受できる株価上昇の恩恵には限りがありますが、FBF では株価上昇の恩恵を100%享受することが可能です。
④ MSCB は発行時に負債計上されますが、FBF は発行時に「本新株予約権の払込金額の総額(条件決定日の普通株式終値の60%相当(フロア金額))」に相当する部分が、純資産として計上されます。
⑤ MSCB と異なり、当社による当該新株予約権の取得以外の理由で、割当先に対し資金返済の必要性はありません。

とあります。
確かにMSCBのように売り浴びせられるリスクは限定的ではありますが、逆に株価が下がれば資金調達額が減少するしくみなわけで、本当に必要な資金額(=真水)はいくらなのか、はたまたホントに調達の理由があるのか(またはそれほど困っているのか)という疑念がわくという意味では同じような感じもします。

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Grand Cinq または Quai des Orfevres

2007-06-27 | M&A
昨日のエントリで取り上げたパリのシテ島の"Quai des Orfevres"(日本語だと「金細工河岸」?)のつづきです。

現在ヴァンドーム広場には高級宝飾店が軒を連ねていて、そのなかでも高級宝飾協会が認めた高級宝飾5店は「グランサンク」と呼ばれています。

これらの店は帝政の時代はパレ・ロワイヤルのあたりに集積していたそうですが、その職人たちの工房がシテ島にあったのでしょうか。

1990年代には、世界的な高級ブランドが老舗中の老舗であるグランサンクを傘下に入れようと熾烈な買収合戦を仕掛けていた、というのを(あまりファッションとか宝飾品には縁のない人生を送ってきたはずの)某高級ブランドに勤務する知人から聞いたことがあったので、前回の前振りになった次第です。

この5店とはメレリオ・ディ・メレー、ショーメ、モーブッサン、ブシュロン、ヴァン クリーフ&アーペルでいずれも王侯貴族などが顧客のお店です。

上の5店のうちリンクしていない3店は、既に大手の傘下に入っています。
ショーメがLVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)グループ
ブシュロンがグッチグループ
ヴァン クリーフ&アーペルがリシュモン(カルティエ・ピアジェなどを傘下に持つ)グループ
(聞きかじりの知識なので、updateされていないかもしれません)

このあたりの歴史はこちらをご参照ください。
※またこの記事を書いている途中で見つけた宝石月夜話という宝石業界の方のブログは、畑違いのものが読んでも楽しめます。


考えてみれば最近話題の投資ファンドによるM&Aでなくても、買収でグループを大きくしていくという手法は昔からよくある話ではありますし、ファンド規制を言っているヨーロッパでもけっこう盛んに行われていました。

酒類販売だと、アブサンの代用酒であるパスティス(参照、『南仏プロヴァンスの12ヶ月』では日常的な飲み物として登場しますね)から大きくなったペルノ・リカールとか、自動車業界だとアルファ・ロメオを傘下におさめたフィアットとかBMWがminiを、アウディがランボルギーニをと日常茶飯事ですね。


たとえばA社が「A社の商品」というブランド力があって十分に業績を上げていれば、経営の独立性を損なったり従業員に対して強引なコストカットをしても買収側には何のプラスにもならないので、買収者は「いいタニマチ」でいたほうが得になります(高級宝飾店などはあまり強引なことをして顧客が離れるのは得ではないのではないかと思います)。
逆に業績が低迷している会社については、現経営陣や従業員のパフォーマンスがよくないわけなので経営陣をすげかえたりコストカットをしたりする必要があります(自動車会社なんかはそうみたいですね)。


でも考えてみると、世の中の大半の企業はそんなにドラスティックに業績が変わるというのは少ないはずで、逆に言えば「誰が経営者をやっても当面はそこそこ現状維持はできる」という状態の企業が多いのではないでしょうか。

経営者や従業員も「無理せずそこそこ仲良く楽しくやろう」となるわけです。それを「家族的経営」と言ったりしますね。
また株主も、非上場ならもちろん、上場していたとしても株主は配当があって市場全体にリンクした株価上昇があればそんなに文句を言わないのが普通でしょう。

そこに、ライ○ドアとか○天のように株式公開したものの投資先がなく現金が余っている企業にとっては、多少高くても連結の収益を取り込めるので自社の株価にはプラスに働くので買ってしまおうということになるわけです。
または、そういう会社が出てくることを見越して、会社を買っておいて、資産を切り分けリストラをして売りやすくするという投資ファンドもでてくるわけです(いわばマグロを買って解体して切り身で売る卸問屋のようなものですね)。


いや、ここで企業価値とは何ぞやとか会社は誰のものか、などと言うつもりはないです(酔っ払ってるしw)。

ただ何で「無理せずそこそこ仲良く楽しくやろう」とか、「職人気質で儲けはそこそこだけどいい会社」という、個人的にはなじむ世界は資本市場には居づらくなってしまっているな(それを理屈で語ると岩井克人とか、マルクスまで遡ってしまうのかもしれませんが)、それでも「ブランド」とか「職人」のてっぺんというのは、買収にしてもまた違うロジックが働いているのかな、と思ったもので。

(なんかとっちらかったエントリですが、推敲する余力もないのでそのままアップします)
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