とりいそぎのmemo
東京証券取引所
上場会社代表者への「MSCB等の発行及び開示並びに第三者割当増資等の開示に関する要請」について
(2007年6月25日)
MSCB等については、上場会社自らが、発行条件及び利用方法次第では株式の希薄化などによって既存株主に不利益をもたらし得る商品性を有するものであることを十分に理解し、発行を行う際には、流通市場への影響及び株主の権利に十分に配慮することと、資金使途や発行条件等について適切な情報開示を行うことの必要性が高まっていると考えられます。
上場会社各社におかれましては、これらMSCB等の発行及び開示並びに第三者割当増資等の開示に際しては、以下の点について、御留意いただくようお願い申し上げます。
上場会社は、MSCB等の発行を行う際には、調達資金の使途、新株予約権等の行使条件の合理性、MSCB等の発行数量及び当該発行に伴う株式の希薄化の合理性等について十分に確認・検討を行ったうえで、流通市場への影響及び株主の権利に十分に配慮すること。
上場会社は、MSCB等の発行を行う際には、当該資金調達方法を選択した理由、調達する資金の使途、発行条件の合理性等について、わかりやすく具体的な説明を行うこと。
上記のほか、上場会社は、第三者割当により株式、新株予約権又は新株予約権付社債の発行を行う際には、当該資金調達方法を選択した理由、調達する資金の使途、発行条件の合理性等について、わかりやすく具体的な説明を行うこと。
同日付でグッドウィルグループが出したのが
第三者割当による新株予約権発行に関するお知らせ
「最低資本調達金額保証型」ファイナンス(Floored Block Finance=“FBF”) などと称してますが、要するにドイツ銀行は3ヶ月間に40%の下落リスクを5%の報酬でとったということのようです。
「最低資本調達金額保証型」ファイナンス(Floored Block Finance=“FBF”)とMSCB 等の商品との相違点及び比較メリット
① 発行株数が完全に固定されているため、MSCB でよく見られる、「株価下落により発行株数増加→ さらに多くの株式の売り→株価下落により発行株数増加→さらに多くの株式の売り」といった悪循環(デス・スパイラル)にはなりません。
② 一般的にMSCB では、社債権者は株価が下限転換価格(フロア価格)を下回った場合に繰上償還(プット)できる権利を有しており、株価下落によって被るリスクは限定的です。対して、FBF では割当先にフロア価格未満の株価下落リスクが完全に残るため、株価下落の要因となる権利行使及び売却を回避するインセンティブが、割当先にて働くと考えております。
③ 一般的にMSCB では、上限転換価格(キャップ価格)が存在するため、会社が享受できる株価上昇の恩恵には限りがありますが、FBF では株価上昇の恩恵を100%享受することが可能です。
④ MSCB は発行時に負債計上されますが、FBF は発行時に「本新株予約権の払込金額の総額(条件決定日の普通株式終値の60%相当(フロア金額))」に相当する部分が、純資産として計上されます。
⑤ MSCB と異なり、当社による当該新株予約権の取得以外の理由で、割当先に対し資金返済の必要性はありません。
とあります。
確かにMSCBのように売り浴びせられるリスクは限定的ではありますが、逆に株価が下がれば資金調達額が減少するしくみなわけで、本当に必要な資金額(=真水)はいくらなのか、はたまたホントに調達の理由があるのか(またはそれほど困っているのか)という疑念がわくという意味では同じような感じもします。