一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ラーメン二郎と類似店

2006-12-07 | 飲んだり食べたり
ご存知の方には今さらの話なのですが、慶應大学の近くに「ラーメン二郎」という有名なラーメン店があります。
味の濃厚さと量の多さが特徴で、慶應(特に体育会)出身者にはファンが多いようです。
(詳しくはWikipedia参照)

昔はずっと三田だけでやっていたのですが10年位前に道路の拡幅による移転を機に暖簾分けをして支店を出し始め(最初の目黒、仙川などは慶應の応援部(※)OBが始めたとか)、今ではかなりの数になっています。


ところが多店舗化に伴い本店とは何の関係もなく名前だけ同じというニセモノ(暖簾分けをしていないので正確には「モグリ」ですが)の「ラーメン二郎」が登場するようになってしまいました。
人のいい本店の店主は暢気に構えていた(そもそも商標登録をしていなかったからこういうことになった)のですが、慶應のOBの弁護士さんが交渉を買って出て「ニセ二郎」に「ラーメン二郎」の看板を下ろすように働きかけたそうです。


私の職場の近くにも数年前に「ラーメン二郎」ができたのですがこれが「ニセ二郎」の一つだったようで、指摘されてよく見てみると看板が「ラーメン 〇〇店」となっていていつのまにか「二郎」が抜けています。

でも相変わらず職場の若者は「二郎に行こう」と言って出かけていきますし、昼食時には行列もできています。


私は「本物二郎」も目黒店にしか行った事がないのですが、その「ニセ二郎」は確かに味が違っていました。ただ私自身は本店に行った事がないため「正しい二郎」のイメージが形成されておらず「支店によって味が違うのかな?」などと思っていたくらいです。
もともと相当クセの強いラーメン(これはラーメンではなく「二郎ラーメン」という食べ物だ、という説もあり)なので、「ニセ二郎」でも納得してしまう人が多いのかもしれません。


ニセ二郎を食べて「ラーメン二郎を食べた」と言われるのは正統派ファンとしては納得いかない、という気持ちもわからなくはありませんが、一方で、正しい二郎かどうかというのは食べた人が美味しいと感じたのであればそんなに問題ではないんじゃないかとも思ったりもします(※2)。
上のWikipediaでも「旧ラーメン二郎」として比較的温かく扱われてます。

「公正な競争」という観点からは、そうやって開店初期に顧客誘導するのは不当であるともいえるんですが・・・


ブランド品など商品の場合はニセモノがよく出来ている方が問題(※3)なのですが、飲食店の場合はニセモノの質が悪い方が本家への悪影響がある(※4)というところは面白いですね。



(※)正式名称は「慶應義塾大学應援指導部」というらしいですが、こんなに字画の多い字を毎日書いていたら漢字が上手くなりそうです。

(※2)徒然草の「仁和寺にある法師」のくだり(参照)で、初めて岩清水八幡宮を参詣した法師が「山までは見ず」と本殿を拝まずに帰ったことに対して吉田兼好は「少しのことにも先達はあらまほしき事なり」と結論付けています。
これをしゃれた批評とみるか、純朴に満足している法師に対して田舎者を皮肉る嫌な奴と見るか(『徒然草』って良くも悪くもスノッブなところがあると思いませんか?)の視点に違いに通じるものがありますね(って注釈の方がわかりにくいやw)。

(※3)以前知財関係の弁護士事務所で、棚にAiboの類似商品がずらっと並んでました。
中にはそっくりなものから単に銀色の犬であってAiboどころかロボットにすら見えないものがありました。どこまでをニセモノとしてクレームをつけたのか興味あります。

(※4)ニセモノ(後発)が一気に多店舗展開し、商標出願までしてしまったのが九州じゃんがらです。
しかもニセモノがあまり美味しくなかったようで、本家の方は相当迷惑しているようです。
コメント (2)
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