強度偽装、総合支援策の大枠固まる…家賃や解体費補助
(2005年12月 5日 (月) 03:10 読売新聞)
公営住宅だけでなく、住民が民間の賃貸住宅に転居する場合も家賃などの一定額を補助する。
強度不足のマンションの解体や建て替えでは、解体費用は全額、建て替え費用では、エレベーターや階段などの共用部分の建設費の3分の2を補助する。固定資産税の減免といった施策も盛り込み、6日に正式発表する。
色々な論点が出てくると思いますので、正式な発表を見てから考えようと思いますが、ざっと見ただけでも
建て替えの前提としてヒューザーへの解除権は行使せず、瑕疵担保に基づく損害賠償請求権を行使することになるが、損害額の立証のための証拠の保全はどのようにするのか
共用部の建設費の2分の3というが範囲と金額があいまい(構造躯体も共用部なのでは?)
建替えには抵当権者(=住宅ローンの債権者)の承諾が必要だが、追加の担保提供等を求められないか
建替えは区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)上の建て替え決議(62条)によるとすると、決議に反対して売渡請求(63条)をされ、換金してしまった方がローン返済等も楽、という人が5分の1以上になると決議が成立しなくなるのではないか
そもそも柱・梁等が建築基準法を満たしていない現状の建物と「同じ」ものを再築することができるのか。面積減は均等にはできないのではないか
など、金額の多寡以外にもいろいろ問題はありそうです。
ただ、出来るだけ早期に行政としての負担とその限界を明示しようとする姿勢は評価すべきだと思います。
反面、意地悪な見方をすれば、国土交通省としては、事態が混乱してから収拾の責任を取らされるよりは早めに指針を出す事で自らの責任範囲を限定しようという「先手必勝」の戦略とも読めますが・・・
さて、実際の建替えには上に述べたように建替えの実現までには、住民の合意形成、金融機関の同意、費用の捻出という問題がありますが、
解体費用は全額、建て替え費用では、エレベーターや階段などの共用部分の建設費の3分の2を補助する。
ということは住民にけっこう重い踏絵になるのではないかと思います。
というのは、上の仕組みだと
解体・再建築を同一の建設業者に発注し、総額で合意した上で「解体費」と「エレベーターや階段などの共用部分の建設費」の内訳金額を水増しすれば、公的補助をより多く受けられる
からです。
この「建設会社に自分の都合を押し付ける」というのは、ヒューザーの小嶋社長と同じ構造です。
しかし、自分の生活の浮沈がかかった局面で「これをやってしまったらヒューザーと同じだ」と考えるか、「どうせわからないし、皆同じような事をしているんだ」と考えるかは(そもそも前者の考えが思い浮かぶか、ということも含めて)難しい問題だと思います。
正直僕が直面したとしたら、自信はありません・・・