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GetUpEnglish

日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

GetUpEnglishについて

毎日更新! GetUpEnglish Updates Every Day! Since April 1, 2006 (c) 2006-2025 Uesugi Hayato(上杉隼人)

A GALAXY FAR, FAR AWAY

2019-07-12 08:40:47 | Star Wars

 現在、鋭意ゲラ校正中のThe Moviemaking Magic of Star Wars: Creatures & Aliens.

 これはスター・ウォーズ・ファンのみならず、映画関係者必携・必読の1冊だ。

 本日のGetUpEnglishは本書のあとがきから紹介する。

For the past forty years, the Star Wars saga has inspired the imaginations of generations of movie fans around the world.

 With its thrilling stories, wonderful characters, groundbreaking visual effects, and monsters and aliens of all shapes and sizes, George Lucas’s original Star Wars redefined the movies, broke box-office records, and introduced audiences to a galaxy far, far away.

 過去40年にわたり、スター・ウォーズ・シリーズは世界中のあらゆる世代の映画ファンの想像を刺激してきた。

 スリリングな物語、魅力的な登場人物、斬新なビジュアル効果、あらゆるタイプとサイズのモンスターやエイリアンがあふれかえったジョージ・ルーカスのスター・ウォーズ第1作は、従来の映画の定義を書き換え、興行成績をことごとく更新し、観客にはるかかなたの銀河系を見せてくれた。

  a galaxy far, far awayなんて、まさにStar Wars!

 ほんとうに楽しみな1冊になりそう。どうかご期待ください。

 


CHEWBACCA / PETER MAYHEW

2019-05-04 02:07:31 | Star Wars

 スター・ウォーズのChewbaccaを演じたことで知られるイギリスの俳優Peter Mayhew(1944-2019)が亡くなった。

 今秋翻訳刊行予定のThe Moviemaking Magic of Star Wars: Creatures & Aliensに、次の記述があった。

Once the design was perfected, it was clear that Chewie would have to be played by a very tall man.

 “When Peter Mayhew walked into George’s office, [George] must have thought he’d won the lottery. Because here is a man who is seven foot three, has blue eyes that are much wider than our eyes . . . and he also has a very, very strong jawline,” notes Neal Scanlan, creature supervisor on The Force Awakens, Rogue One, and The Last Jedi.

 イメージが固まると、ものすごく背の高い人が演じなければならないことがわかった。

「ピーター・メイヒューがオフィスに入ってきたとき、ルーカス監督は宝くじを当てたと思ったに違いない。メイヒューは2メートル20センチはあったし、普通の人よりずっと大きな青い瞳をかがかせていた……そして顎の線もものすごくはっきりしていた」と『VII』と『ローグ・ワン』と『VIII』でクリーチャー制作の責任者を務めたニール・スキャンランは言う。

 このThe Moviemaking Magic of Star Wars: Creatures & Aliensは情報量がメチャクチャ多い上に、添付したような実に興味深い写真も満載だ。

 スター・ウォーズ・ファンだけでなく、映画制作に興味がある方たちに有益な1冊になるだろう。

 


May the Force ALWAYS be with ALL OF YOU.

2019-05-04 01:13:50 | Star Wars

 本日May 4thはStar Warsの日です。

 Star Wars関連の本も、とってもうれしいことに、ファン垂涎の1冊The Moviemaking Magic of Star Wars: Creatures & Aliensほか、数冊翻訳のお仕事いただいています。 

 Episode IX上映に向けて、フォースとともに仕事に邁進いたします。

  みなさんがつねにフォースととともにあらんことを。

 May the Force ALWAYS be with ALL OF YOU!

 

 


『スター・ウォーズ』全6作を訳し終えて

2017-01-02 08:08:49 | Star Wars

 一昨年2015年は「スター・ウォーズ」のオリジナル・ノベライズのIV, V, VIを、そして昨年2016年はI, II, IIIを翻訳刊行することができました。

『エピソードIV 新たなる希望』

 http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062932769

『エピソードV 帝国の逆襲』

 http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062932776

『エピソードVI ジェダイの帰還』

 http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062932783

『エピソード I ファントム・メナス』

  http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935036

 『エピソードII クローンの攻撃』

  http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935265

  『エピソードIII シスの復讐』

  http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935647

 『Ⅳ』『Ⅴ』『Ⅵ』および『Ⅰ』『Ⅱ』『Ⅲ』の翻訳は、すでに富永和子氏による訳書がソニー・マガジンズおよび竹書房から出版されています。足掛け3年の翻訳作業において、富永氏の訳を参考にさせていただきました。同氏の偉大な訳業に深く敬意を表します。

 また21世紀においてはインターネットを使った確認が有効であり、「Wookieepedia」や「スター・ウォーズの鉄人!」ほかを常時参照しました。複雑な英語表現はデイビッド・セイン(David A. Thayne)とブライス・マレロ(Bryce Marrero)の両氏にご教示賜りました。各サイトの関係者およびセイン氏とマレロ氏にも厚く御礼申し上げます。

 そのほか、田辺恭子さん、本間芙由子さん、上原昌弘さんほかにも、原稿や校正刷りの確認で大変お世話になりました。ありがとうございました。

 エビソードⅣからⅥにつづき、Ⅰから本書Ⅲまで訳させていただけるという身に余る光栄なチャンスを与えてくださり、原稿から校正刷りまで念入りに確認してくださった講談社の編集部の浜野沢子氏と、浜野氏とともに精力的に編集作業を進めてくださった老田勝氏には、最大限の謝意を捧げます。

 スター・ウォーズのオリジナル・ノベルは、映画に収録されていない描写や登場人物たちの心の動きも書き込まれていて、読むたびに新たな発見があります。

 ぜひ多くの方に、映画とあわせてオリジナル・ノベルもお楽しみいただけますと、訳者としては大変うれしいです。

 上杉隼人

  こちらもぜひご覧ください。

『スター・ウォーズ』新三部作翻訳作業で気になったこと1 twilight

 http://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/e176b27c970104be81118b538562d9f5

『スター・ウォーズ』新三部作翻訳作業で気になったこと2 スピード感のある訳に(A sense of speed

 http://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/fc1f34da1bbd2006f7eb369c05a0e8c9

『スター・ウォーズ』新三部作翻訳作業で気になったこと3 英語を正確に読み取る

 http://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/e3893b875df1b39ef30fcd18eb7fb066

『スター・ウォーズ』新三部作翻訳作業で気になったこと4 基本的に原文の順序通りに訳すほか

 http://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/24f56945a196c6315c26d686083e336b

 『スター・ウォーズ』新三部作翻訳作業で気になったこと5 基本に忠実に

 http://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/d9df6f6f74e9fe7373a9ca061e126965

『スター・ウォーズ』新三部作翻訳作業で気になったこと6 フォースと共に

 http://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/70692b822c8cc955fdb3ea85a40c1d97

 

 

 


『スター・ウォーズ』新三部作翻訳作業で気になったこと6 フォースと共に

2016-12-22 00:49:02 | Star Wars

「スター・ウォーズ」を訳している時は、まさしく至福の時でした。

「エピソード3」では、オビ=ワン・ケノービの活躍が堪能できました。

 オビ=ワンがフォースとひとつになった時の動きは、特に慎重に訳しました。

 第15章にこんな描写があります。

 Leaping girder to girder, slashing cables on which to swing through swarms of ricocheting particle beams, blade flickering so fast it became a deflector shield that splattered blaster bolts in all directions, his presence alone became a weapon: as he spun and whirled through the control center's superstructure, the blasts of particle cannons from power droids destroyed equipment and shattered girders and unleashed a torrent of red-hot debris that crashed to the deck, crushing droids on all sides. By the time he flipped down through the air to land catfooted on the deck once more, nearly half the droids between him and Grievous had been destroyed by their own not-so-friendly fire.

 これを最初は次のように訳してみました。

  梁から梁へと飛び移り、断ち切ったケーブルにつかまって、跳ね返った粒子ビームが激しく飛び交う中を通りぬけていった。ライトセーバーが素早く動いて偏向シールドとなり、ブラスター弾をあらゆる方向へはじき返した。オビ=ワン自身がいわば一つの武器となっていた。オビ=ワンが司令センターの上部構造の中でくるくる回転したり、走り回ったりするので、戦闘ドロイドが放った粒子弾で装置は破壊され、梁もめちゃめちゃに壊された。そのため、熱で赤くなっている残骸がデッキへどっと崩れ落ち、あたりのドロイドをすべて押しつぶした。オビ=ワンはひょいと身をひるがえして、再び静かにデッキに降り立った。その時にはすでに、グリーバスとのあいだにいるドロイドのほぼ半数が破壊されていた。味方同士による、あまり友好的とは言えない撃ち合いのせいだった。

 「熱で赤くなっている残骸」「あまり友好的とは言えない撃ち合い」あたりは訳語として調整が必要なものの、大きな英語の読み違いはありません。

 ただ、訳文が「ぶつ切れ」で、フォースとひとつになったオビ=ワンのあの動きのすばやさが出ていません。

 最終的に、次のように調整してみましたが、いかがでしょうか?

  梁から梁へと飛び移り、ケーブルを断ち切ってはそれにぶら下がり、跳ね返った粒子ビームが激しく飛び交う中をくぐりぬけ、猛スピードでライトセーバーを動かして弾を跳ね返すシールドとし、ブラスター弾をあらゆる方向へ弾はじき返す。オビ= ワンの存在そのものがひとつの武器となっていた。オビ= ワンが司令センターの上部構造のあいだをあちこちかけ巡り、くるくると跳びまわるうちに、戦闘ドロイドの放つ粒子弾が設備を破壊し、梁を粉々に吹き飛ばし、真っ赤に熱せられた瓦礫が床にどっと崩れ落ち、四方八方でドロイドを押しつぶした。オビ= ワンがひょいと身を翻して、音も立てずにふたたび床に降り立ったときにはすでに、グリーバスとのあいだにいるドロイドのほぼ半数が、友軍誤射とも言いがたい味方の攻撃によって破壊されていた。

  昨年12月には「スター・ウォーズ」の「エピソードIV」「エピソードV」「エピソードVI」を、そして今年2016年の10月から12月にかけて、「エピソードI」「エピソードII」「エピソードIII」を刊行することができました。

多くの読者のみなさまにお楽しみいただけますことを、関係者一同、祈っております。


スター・ウォーズ エピソード3:シスの復讐

2016-12-22 00:02:39 | Star Wars

スター・ウォーズ エピソード3:シスの復讐

 

原作:ルーカス,ジョージ 著:ストーヴァー,マシュー 訳:上杉隼人 訳:有馬さとこ

「スター・ウォーズ」新三部作の新訳ノベライズ、第3弾!

 

クローン大戦の勃発から3年後。分離主義勢力によるパルパティーン最高議長拉致事件が起きる。アナキンはオビワンとともに無事パルパティーンを救出するが、パルパティーンの巧みな言葉に触発され、ジェダイの掟を逸脱してしまう。

さらに妻パドメを失う予知夢にうなされ、強大な力を欲するようになるアナキンに、暗黒面の誘惑が忍び寄り――!?

(C) & TM 2016 LUCASFILM LTD.

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935647

目次

序章 英雄たちの時代

第一部 勝利

第1章 アナキンとオビ=ワン

第2章 ドゥークー

第3章 シスの流儀

第4章 ジェダイに仕掛けた罠

第5章 グリーバス

第6章 救出

第7章 アナキンとオビ=ワン その二

第二部 誘惑

第8章 断層線

第9章 パドメ

10章 マスター

11章 政治

12章 ジェダイからは得られないもの

13章 フォースの意志

14章 闇の中を落ちていく

15章 ウータパウに死す

16章 啓示

第三部 黙示録

17章 闇の顔

18章 オーダー66

19章 シスの顔

20章 光と闇

21章 新たなジェダイ騎士団

訳者あとがき

製品情報

製品名

スター・ウォーズ エピソード3:シスの復讐

著者名

原作:ルーカス,ジョージ 著:ストーヴァー,マシュー 訳:上杉隼人 訳:有馬さとこ

発売日

20161215

価格

定価 : 本体1,100円(税別)

ISBN

978-4-06-293564-7

判型

A6

ページ数

608ページ

電子版製品名

スター・ウォーズ エピソード3:シスの復讐

シリーズ

講談社文庫

著者紹介

原作:ルーカス,ジョージ(ルーカス,ジョージ)

著:ストーヴァー,マシュー(ストーヴァー,マシュー)

訳:上杉隼人(ウエスギハヤト)

訳:有馬さとこ(アリマサトコ)

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935647


『スター・ウォーズ』新三部作翻訳作業で気になったこと5 基本に忠実に

2016-12-21 07:52:52 | Star Wars

『スター・ウォーズ』のノベライズはどれも傑作ですが、特に「エピソード3」の出来栄えは特筆すべきものがあります。

 格闘場面の迫力に加えて、西洋の古典や戯作の作風を折りませたその作風が、読者をどこまでも引き付けてやみません。

 「エピソード3」にこの描写がありました。

 "In these troubled times, is there a difference?" Palpatine asked mildly. "The Jedi have not done a stellar job of bringing peace to the galaxy, you must agree. Who's to say the Sith might not have done better?"

 "This is another of those arguments you probably shouldn't bring up in front of the Council, if you know what I mean," Anakin replied with a disbelieving smile.

 "Oh, yes. Because the Sith would be a threat to the Jedi Order's power. Lesson one."

 Anakin shook his head. "Because the Sith are evil."

「いまは困難な時代だ、その二つのあいだに何か違いがあるかね?」パルパティーンが穏やかに尋ねた。「ジェダイは銀河系に平和をもたらすという偉業を成し遂げてはいない。そうだろう? シスならもっとましだったという可能性を、否定できる者がおるかね?」

「これも、評議会では持ち出せない話の一つです。どういうことかおわかりでしょうが」アナキンは皮肉っぽい笑みを浮かべた。

「わかっているとも。シスはジェダイ騎士団(ルビ オーダー)の力にとって脅威となるからだ。第一の基本事項だな」

 アナキンは首を振った。「シスは邪悪だからです」

  最初にこのように訳してみましたが、何かしっくりしない。

 a stellar jobstellarは「すばらしい、主要な」ですが、状況から判断すれば、「偉業」というより、「(ジェダイの)主要な任務」ということでしょう。

 disbelievingは基本通りに「信じられない」の意味でとらえればよく、その意味をsmile(笑い)とうまくあわせることを考えなければなりません。

 Lesson one.もやはり「学習」の意味を出したいです。

 以下のように調整しました。

いまのような困難な時代に、その二つのあいだに何か違いがあるかね?」パルパティーンは穏やかに尋ねた。「ジェダイは銀河系に平和をもたらすという主要任務をきちんと遂行できていない。そうだろう? シスではさらにうまくいかなかったのか、誰にもわかりはしないじゃないか」

「これも、評議会では持ち出さないほうがよい議論です。どういうことかおわかりでしょうが」アナキンは信じられないというような笑みを浮かべた。  

「わかっているとも。シスはジェダイ騎士団(ルビ オーダー)の力を脅かす厄介な存在だからな。第一の学習項目だ」

 アナキンは首を振った。「シスは邪悪だからです」

 『エピソード3』を訳しながら、翻訳は基本に忠実に、ということを何度も確認しました。


『スター・ウォーズ』新三部作翻訳作業で気になったこと4 基本的に原文の順序通りに訳すほか

2016-12-20 08:46:36 | Star Wars

  ライトセーバーを使った戦闘シーンは、常に『スター・ウォーズ』のハイライトであると言えるでしょう。ほんとうにハラハラドキドキして、一瞬も目が離せません。オリジナル・ノベルもそうです。

『エピソード2』のジオノーシスの戦いに、以下の描写があります。

 Mace reached out with the Force and brought his lightsaber flying to his hand, moving like lightning to parry Jango’s first shot. With the second shot, Mace was more in control, and his parry sent the bolt right back at the bounty hunter. But Jango was already in motion, diving sidelong and coming around ready to launch a series of shots the Jedi’s way.

  すごくスピード感のある英文ですね。そして映画もありますから、戦いの様子が目に浮かぶようです。

こういった英文を訳すのに重要なのは、このスピード感を殺さないために、①「基本的に英文の順序通りに訳す」、②「基本表現を読み間違えない」、③「英語のイメージを生かして訳す」ということでしょうか。

ここを、

 メイスは、目にもとまらぬ速さで動いてジャンゴ・フェットの一撃をかわしながら、フォースを使ってライトセーバーを手に引き寄せた。二発目には落ち着きを取り戻し、光弾をジャンゴに向けてはね返した。しかしジャンゴはすでに動いていた。横に飛び退き、立ち上がってメイスに連射を浴びせようとする。

と最初は訳してしまったのですが、どうでしょうか? 最初の一文Mace reached out with the Force and brought his lightsaber flying to his hand, moving like lightning to parry Jango’s first shot.は、①原文の順序通りに訳し、「メイスがフォースを使ってライトセーバーを手に忍び込ませ、それから稲妻のような動きでジャンゴ・フェットの銃撃に対応した」という流れるような動きを出したいです。そして③like lightning(電光石火のごとく)という表現が示すイメージをなんとか訳文に盛り込みたいです。

 さらに、3文目のcoming around ready to...には、句動詞come aroundのこの場合は「意識を取り戻す、元気になる」の意味が表現されていますので、その意味を出すのがいいかもしれません。「横に飛び退き、立ち上がって」は日本語としてやや変ですので、調整したほうがいいかもしれません。すなわち、②基本表現を読み間違えないということに常に注意しないといけません。

  次のように訳したらどうでしょう。

 メイスはフォースを使ってライトセーバーを手に飛び込ませ、稲妻のような動きでジャンゴ・フェットが撃った一発目をかわした。二発目が撃たれた頃にはメイスも落ち着きを取り戻し、光弾をジャンゴに向かって跳ね返した。しかしジャンゴはすでに動いていた。横に飛びのいて、体勢を立て直したときには、すでにメイスに連射を浴びせる用意ができていた。

 『スター・ウォーズ』のオリジナル・ノベルは、いつ読んでも新たな発見があります。

 


『スター・ウォーズ』新三部作翻訳作業で気になったこと3 英語を正確に読み取る

2016-12-19 08:44:08 | Star Wars

  『スター・ウォーズ』の旧三部作につづいて、新三部作を訳させていただけるという信じられないぐらい幸運で光栄なお仕事をいただきましたが、そのあいだ何よりも心かげたのは、ほかのすべての翻訳者の方とおそらくおなじように、原文を正確に読み取ることでした。

 『スター・ウォーズ』のオリジナル・ノベルはどれもほんとうにすばらしく、そのすばらしさを日本人の読者のみなさんに何としても伝えないといけません。

 『エピソード2』に次の描写がありました。

 As the nexu slashed, Padmé turned in a circle the other way, and while the claws tore her shirt and superficially raked her back, she came around hard, delivering a solid blow across the beast’s face with the free-flying end of the chain. The nexu fell back off the pole.

 「スピード感」に加えて、たとえばcame around hardの感じをうまく日本語で再現したいです。

  ネクスーが爪を振り下ろした瞬間、パドメは円形になっている柱の天辺の反対側を向いた。ネクスーの爪がパドメのシャツを切り裂き、浅くはあったが背中を引っ掻く。パドメはきっと振り返って、外れたほうの鎖の先端でネクスーの顔を強く打ちつけた。

と最初に訳しましたが、turned in a circle , came around hardの意味をおそろしいことに(!)完全に取り違えていたし、何よりスター・ウォーズならではのスピード感が全然ありません。なので、

 ネクスーが爪を振り下ろした瞬間、パドメは爪を避ける方向へぐるっと体を回した。ネクスーの爪がパドメのシャツを切り裂き、浅くはあったが背中に傷をつけると同時に、パドメは勢いよく体を戻すようにひねり、外した方の鎖の先端でネクスーの顔に強烈な一撃を加えた。

と修正しました。

『スター・ウォーズ』のオリジナル・ノベルは英語の小説としてどれも非常にすばらしいので、改めて「まずは英語を正確に理解したうえで日本語に移す必要がある」と改めて感じました。そしてそれを心がけていれば、自然と「原文のトーン」が聞こえてくるので、その大変な、しかしとても心地よいスピード感が感じ取れると思います。

 翻訳作業はほんとうに厳しい作業でしたが、同時にスター・ウォーズの世界に浸れる至福の時間でした。

 

 

 


『スター・ウォーズ』新三部作翻訳作業で気になったこと2 スピード感のある訳に(A sense of speed)

2016-12-18 01:59:10 | Star Wars

  スター・ウォーズの魅力の一つに、「戦闘時のスピード感」があります。

 オリジナル・ノベライゼーションの英文にもそれがはっきり表れているので、翻訳するにあたっては決してそのスピード感を殺してはいけません。

 たとえば、『エピソード I』の3章にある次の文をご覧ください。

 Excuse me, sirs, I’m so sorry,” TC-14 babbled as it maneuvered through the battle droids, holding aloft its tray of scattered food and spilled drinks.

 これをたとえば、

「失礼、ごめんなさいませ」TC-14はごちゃごちゃ言いながら、食べ物が飛び散り、飲み物もこぼれたトレイを手に、バトル・ドロイドの間をすり抜けていった。

などとすると、なんだかもったりしたというか、「食べ物が飛び散り、飲み物もこぼれたトレイを手に」の部分が必要以上に印象に残ってしまいます。字数も75字とちょっと多いですね。

 ここは、

「失礼、ごめんなさいませ」TC-14がごちゃごちゃ言いながら、飲食物が飛び散ったトレーを抱えてバトル・ドロイドのあいだをすり抜けていく。

 とすれば十分だと思います(65字になりました)。原文と同じぐらい、読者にさっと読んでもらわなければいけません

 では、次の文はどうでしょうか?

 In the next instant the Jedi appeared, charging from the room with lightsabers flashing. Qui-Gon’s weapon sent a pair of the battle droids flying in a shower of sparks and metal parts that scattered everywhere. Obi-Wan’s saber deflected blaster fire into several more. He raised his hand, palm outward, and another of the droids went crashing into the wall.

 これを次のように訳すとどうでしょうか?

 次の瞬間、部屋の中から二人のジェダイが飛びだしてきた。手にしたライトセーバーがきらっと光った。クワイ=ガンが斬りつけると二体のドロイドが火花と金属の部品をあたりにまきちらしながら吹き飛んだ。オビ=ワンがライトセーバーでブラスターをはじきかえすと、光弾はいくつかに分かれて飛んだ。さらにてのひらを相手に向けてさっと片手をあげると、別のドロイドが壁に叩きつけられた。(181字)

 「原文通り」という基本に忠実なのはその通りなのですが、一文目を切って訳したりすることで、日本語の「ブツ切れ感」が出てしまいます。そして冗長で、原文にあるスピード感がぼやけてしまいます

 ここは次のように訳したらどうでしょうか?

 次の瞬間、煌めくライトセーバーを手にした二人のジェダイが飛び出してきた。クワイ= ガンのライトセーバーがドロイド二体を斬りつけると、火花と金属があたりに飛び散る。オビ= ワンのライトセーバーがブラスターを弾き、光弾はいくつかに割れて飛んでいく。つづいてオビ= ワンがさっと片手をあげて手のひらを広げると、別のドロイドが壁に叩たたきつけられる。(168)

 最初に過去形の言い方を示し、それが過去の出来事であるとわかれば、あとはまさにいま目の前で起こっていると思わせる言い方してしまっていいと思います。それによって原文のスピード感が再現できます。

 『エピソードI』『エピソードII』『エピソードIII』を訳している時は、スター・ウォーズのスピード感を再現することを常に意識しました。

  スター・ウォーズ新三部作のオリジナル・ノベルは映画と同じぐらいスリリングな戦闘場面が味わえます。

 講談社文庫本のスター・ウォーズ『エピソードI』『エピソードII』『エピソードIII』どうかよろしくお願いします!

 『エピソード I ファントム・メナス』

  http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935036

 『エピソードII クローンの攻撃』

  http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935265

  『エピソードIII シスの復讐』

  http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935647

 


『スター・ウォーズ』新三部作翻訳作業で気になったこと1 twilight

2016-12-17 08:35:00 | Star Wars

 本日より、Rogue One: A Star Wars Storyが公開されます。

 それにあわせて進めていたStar Warsの新三部作(The Prequel Trilogy)の翻訳もどうにか終え、『エピソード I ファントム・メナス』『エピソードII クローンの攻撃』、そして『エピソードIII シスの復讐』の3冊を、昨年の旧三部作に続いて、刊行することができました。このスター・ウォーズのオリジナル・ノベライゼーションを多くの読者にお楽しみいただけますよう、関係者一同、願っております。

  『エピソード I ファントム・メナス』

  http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935036

 『エピソードII クローンの攻撃』

  http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935265

  『エピソードIII シスの復讐』

  http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935647

 GetUpEnglishでは、本日から6日間、新三部作を翻訳するうえで気になった表現をご紹介したいと思います。

 まず、1日目はtwilightという表現です。

 twilightは「(日没後の)薄明、薄暮、たそがれ」です。

 Episode Iの第4章にこの表現がありました。

  A twilight that was misty and seemed perpetual lay in silvery gray layers over the green lushness of Naboo as the Federation landing ships descended out of the black infinity of space to settle 

 情報量が多く、A twilight that was misty and seemed perpetualが主語でlayが本動詞なのですが、文全体の情報力が多く、なかなかうまい日本語にできません。

そして、辞書にはtwilightの定義の一部に「たそがれ()」という表現があることから、「たそがれ時、夕暮れ時、夜明け前」などとしてしまうと、ちょっとおかしな訳になってしまいます。たとえば、以下のように訳すとどうでしょうか? 

「夜明け前、辺りには靄が立ち込め、時が止まったように感じられた。銀色がかった灰色の雲が幾つもの層をなして、ナブーの豊かな緑の上に広がっている。通商連合の上陸艇が漆黒の宇宙空間からこの星へ向かってゆっくりと高度を下げてくる」

  A twilight that was misty and seemed perpetual lay in silvery gray layers over the green lushness of Nabooの部分の意味が正確に表現されていませんし、そして何と言いましても、Star Warsならではのスピード感が伝わってきません。

 ここはtwilightをその通りに訳し、

 「もやのようにいつ果てるともない薄明りが、ナブーの豊かな緑の大地の上に、灰色から銀色へと移りゆく層となって広がっていた。その中を、宇宙の無限の漆黒から抜け出した通商連合の上陸艇団が、この星に向かってゆっくりと高度を下げてきた」

 としてみました。

『スター・ウォーズ』のオリジナル・ノベライズを訳させていただけるという身に余る光栄なチャンスを与えていただけたことに深く感謝しつつ、1年以上必死に仕事をこなしてきましたが、その中で『スター・ウォーズ』の面白さを何度も確認できました。映画に描かれてない劇的な描写や、キャラクターたちの心の機微など、オリジナル・ノベルには新しい発見がたくさんあります。

 ぜひ現在公開中の『ローグ・ワン』とあわせて、「新三部作」「旧三部作」をオリジナル・ノベルでお楽しみいただけますと、訳者としてこんなにうれしいことはありません。

 明日のGetUpEnglishもお楽しみに!