『桐生タイムス』の連載も6回目。
今回は変化球で。
よろしくニャン。
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上杉隼人さん「永遠の英語学習者の仕事録」(第6回)
編集者で翻訳者としても活躍する上杉隼人さんが英文を交えながら、翻訳という仕事のおもしろさや奥深さなどを、エピソードとともに語ります。今回紹介する本は『21匹のネコがざっくり教えるアート史』です。(毎月第4土曜掲載)
第6回 ネコたちが教えるニャンとも楽しいアート史(2021年9月25日)
http://kiryutimes.co.jp/wp/wp-content/uploads/210925_uesugi_06.pdf
全世界で大人気のBTS。
昨年は “Dynamite“が全米のヒットチャートのNo.1を獲得し、今年になっては5月にリリースした“Butter”が、さらには7月に発表したPermission To Dance”も全米No. 1を獲得した。
“Permission To Dance”の歌詞もすごくイカしている。
こんな感じだ。
I wanna dance
The music’s got me going
Ain’t nothing that can stop how we move yeah
Let’s break our plans
And live just like we’re golden
And roll in like we’re dancing fools
踊りたい
音楽を聴くと体が動きだす
僕らがこんな感じで体を動かせば、もう止められない
僕らが最高だって顔して生きていこう
みんな一緒になって、バカみたいに踊ろう
‘s got me going> have got me going.
現在完了形の言い方をすることで、「 (ずっと)…である」と現在までの状態の継続を示すことができる。
get(got)+目的語+現在分詞(形容詞、副詞[句])で、「 ある状態にいたらせる(いたらしめる)」
・get the clock going 時計を動くようにする.(コンパスローズ)
よって、The music’s got me goingは「音楽が僕を動かす」
golden: (金のように)すばらしい
roll in: どっと集まる
“Permission To Dance”, 超クールな曲だ。
PVもgoldenだ!
https://www.youtube.com/watch?v=CuklIb9d3fI
現在、訳している1冊に、このすばらしいビジュアルブックがある。
A Day in the Life of a Poo, a Gnu, and You
By Mike Barfield
Illustrated by Jess Bradley
pooはpoopのイギリスの言い方で「うんち」、gnuは「ヌー、ウシレイヨウ、ツノウマ」でアフリカの移動性の草食獣だ。
このように、脳や目や歯や鼻や舌など、人間の体の器官がどんなふうに働いているかをわかりやすく説明するだけにとどまらず、昆虫や魚や動物たちの生活まで貪欲に紹介するというに驚くべき本だ。
そして人間の体の器官についてもなかなか聞けないようなことを教えてくれる。
今日のGetUpEnglishはその一部を紹介しよう。
A DAY IN
THE LIFE
OF A ... WART
イボの1日
Hi, I’m a wart. I don’t
have a great reputation.
People HATE me.
僕はイボ。知ってる、
僕はみんなに嫌われてる。
But maybe after reading
this I’ll grow on you.
Get it? Ha ha!
でも、これを読んでもらえば、僕のこと見直すと思う。
きっとそうだ。ハッハ!
grow on:だんだんよいと思われてくる、~の価値がわかってくる
This place has grown on me. この土地が気に入ってきた.(コンパスローズ)
get it: 理解する、わかる
It's a joke. Get it? 冗談だよ. わかった?(コンパスローズ)
『スター・ウォーズ 『マンダロリアン』 シーズン1 公式アートブック』と同時期の刊行を目指していますが……
like hellは死にもの狂いであるが、文頭で使われる場合は、皮肉を込めて、「 (…だなんて)とんでもない, 絶対…しない」(コンパスローズ)」となる。
今日のGetUpEnglishはこの表現を学習する。
柴田元幸編・訳・註『英米精読教室 第4巻 性差を考える』に収録されたJoyce Carol Oates, “Where Are You Going, Where Have You Been?”に、次の表現があった。 |
https://books.kenkyusha.co.jp/book/978-4-327-09904-6.html
○Practical Example
“That’s a crazy thing to ask. Can’tcha see I’m your own age?”
“Like hell you are.”
「 何てこと訊くんだよ。わかんないのかよ、君と同い歳だって?」
「 冗談よしてよ」
●Extra Point
柴田元幸のlike hellの註がすばらしい。
◎Extra Example
Like hell you are: そんなこと絶対ない。like hell ... で「~だなんてとんでもない」という強い否定。“You’d better go.” “Like hell I will.”(「行ってきなさ
い」「だれが行くもんか」『コンパスローズ英和辞典』)
生きたテキストをひたすら精読していくのがいちばんいい英語の勉強になることは間違い。
動詞oweは「(人に)〈金・家賃などを〉借りている」とか、「(人に)〈義務・恩義などを〉負っている」の意味で使われる。
GetUpEnglishでもすでに紹介した。
https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/88f30c8a6157fa112256c09f71b594a3
だが、「〈成功などを〉〔…に〕帰さねばならない, 〈…のあるのは〉〔…の〕おかげである」(すべて研究社英和中辞典)の意味も用いられる。
今日のGetUpEnglishはこの語のこの表現を学習しよう。
○Practical Example
"My mom Kumiworked themselves to the bone and put me through college. I climbed the career ladder to become CEO of an IT company, but I owe what I am today to her."
「母、久美は身を粉にして僕を大学まで出してくれた。僕は出世してIT会社のCEOになったが、今あるのは母のおかげです」
●Extra Point
もう一例。
◯Practical Example
"All of you have done a good job this year. I am really proud of the great effort you made."
"Thank you very much, Mr. K. I owe it all to you."
「みんな、今年はがんばったね。君たちの努力を誇りに思うよ」
「K先生、ありがとうございます。すべて先生のおかげです」
動詞flutterは「(鳥などが)羽ばたきする; 羽ばたいて飛ぶ, ひらひらと飛ぶ」「 (旗などが)はためく, 翻(ひるがえ)る; (花びらなどが)ひらひら舞う」(コンパスローズ)など、さまざまな意味で使われるので、状況に応じて判断する必要がある。
今日のGetUpEnglishはこの語を学習する。
○Practical Example
"The leaves are fluttering down. Autumn is here."
"You are a poet, Taku."
「木の葉がはらはらと散って…。秋だなあ」
「あんた詩人だね、拓」
●Extra Point
ここで紹介したように、ウィリアム・ワーズワースの『水仙』にもこの語が効果的に使われている。
https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/a0daf7d834ae682cb3b6646b4dda2452
◎Extra Example
THE DAFFODILS
William Wordsworth
I wander'd lonely as a cloud
That floats on high o'er vales and hills,
When all at once I saw a crowd,
A host of golden daffodils,
Beside the lake, beneath the trees
Fluttering and dancing in the breeze.
谷や丘の上高く漂う一片の雲のように
ひとりさびしくさまよい歩いた
突然目に飛び込んできたのは
一面に広がる黄金の水仙
湖畔に、木々の下に
そよ風に揺れながら、踊りながら
https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/a0daf7d834ae682cb3b6646b4dda2452
☆Extra Extra Point
「はらはらする、そわそわ動き回る」「驚く」「落ち着かなくなる」といった意味で使われるので注意する必要があるし、書き手によっていい意味も悪い意味でも用いられるので、注意しなければならない。
★Extra Extra Example
A present like that isn't going to make her heart flutter.
「その程度の贈り物じゃ彼女は驚かないよ」
動詞whoopもいろいろな意味で使われる。
今日のGetUpEnglishはこの語を学習しよう。
whoopは自動詞で「わーいと叫ぶ (halloo); わーいと叫びながら進む[通る]」(研究社英和大辞典)。
○Practical Example
Sachiko whooped with joyful laughter when she joined Spitz’s show in the night.
「早智子はその晩のスピッツのコンサートで喜びの笑い声とともに喚声をあげた」
●Extra Point
比喩的にも使わせる。「英和大辞典」の次の用例が参考になる。
◎Extra Examle
The bill whooped through the Senate.
「その法案は歓呼のうちに上院を通過した」
☆Extra Extra Point
whoop it upは「〔…を〕ほめ立てる, 〔…への〕人気をあおり立てる, 支持[賛成]をしきりに求める」(英和大)の意味でも使われる。あわせて覚えておこう。
★Extra Example
Yoko whooped it up for bird watching.
「洋子はバードウォチングに行きたがった」
rectitudeは「公正、方正、正直」。
今日のGetUpEnglishはこの語を学習する。
○Practical Example
"The rectitude of his behavior was unimpeachable."
"I really miss him, Ms. Ouda. I wanted to learn from him more."
「あの人のふるまいの清廉さは非の打ち所がなかった」
「あの人を失って悲しいです、奥田さん。もっと学びたかったです」
●Extra Point
もう一例。
◎Extra Example
The cruelty of the regime was veneered over with a facade of legal rectitude.
「その政権の残忍性は、表向きは法的な正しさでとりつくろわれていた」
know betterは「(~するほど)ばかではない、(~しないだけの)分別がある」。
knew betterは「知っていたが、無視した」、should have known betterは「知らなかったが、少しでも考えれば分かったはず」というニュアンス(E-DIC)。
今日のGetUpEnglishはこの表現を学習する。
○Practical English
I trusted her. I should have known better.
「彼女を信じていた。ばかだった」
●Extra Point
柴田元幸編・訳・註『英文精読教室 第3巻 口語を聴く』に、この表現がある。
◎Extra Example
Those who don’t know any better come into our neighborhood scared.
from Sandra Cisneros, “Those Who Don’t,” The House on Mango Street (1984)
☆Extra Extra Point
次のような使い方もする。
★Extra Extra Example
I'm ashamed of you. You knew better than to do a thing like that.
「あなたのことが恥ずかしい。あんなことをするべきじゃないことぐらいわかっていたでしょうに」
closeが形容詞で使われる場合(発音は/klóʊs/)も状況に応じていろんな意味で用いられる。
空気などに対しては「風通しが悪い」の意味で使われる。
今日のGetUpEnglishはこの語のこの意味の使い方を学習しよう。
○Practical Example
This room is close, because there are too many people in it.
「人が多すぎてこの部屋は息苦しい」
●Extra Point
OEDにこの用例があった。
◎Extra Example
The opposite of freshness is shown in the close or suffocating odours.
「気持ちがよいとはおよそ言えず、あの重苦しい、息が詰まるようなにおいが漂っている」
pedagogicは「教育学的な、教育学上の」。
今日のGetUpEnglishはこの語を学習しよう。
○Practical Example
My lecture has a pedagogic and didactic purpose.
「この講義は教育学的、教訓的目的を備えている」
didactic(教訓的な)も合わせて覚えておこう。
●Extra Point
pedagogicalとしても使われる。
◎Extra Example
One of the most powerful pedagogical examples is where students and teachers produce work and learning together.
「教育学のもっとも強力な例のひとつに、学生と教師による共同制作がある」
see aboutはいろんな意味で使われるが、「…の手配をする」の意味でも用いられる。
今日のGetUpEnglishはこの句動詞のこの意味の使い方を学習する。
○Practical Example
I'll have to see about getting that roof repaired.
「屋根の修理を頼まないと」
●Extra Point
Asahi Weekly, September 19, 2021の和田明郎記者のPhrase It Rightに、以下の例文があった。
◎Extra Example
I know this is short time, but I’m going to visit Kobe this Saturday on business. Can I as you to see about a hotel for the night?
「突然で申し訳ないけど、今度の土曜日に神戸に出張することになった。その晩のホテルの手配をお願いできるかしら?」
kick somebody upstairs で、「(人を)左遷する、閑職に祭り上げる」。
今日のGetUpEnglishはこの表現を学習する。
Asahi Weekly, September 5, 2021の和田明郎記者のPhrase It Rightに、この例文があった。
○Practical Example
After the unsuccessful sales strategy, my boss got kicked upstairs. His departure left me saddled with tons of extra work.
「その販売戦略の失敗で、上司は左遷された。彼がいなくなったことで、山ほどの仕事を押し付けられることになった」
●Extra Point
「左遷される」であれば、be demotedでも表現できる。
◎Extra Example
After that fiasco he was demoted to a post in Malaysia.
「大失敗を犯して、彼はマレーシアに左遷された」
penは「ペン」であるが、違う語源で「[しばしば合成語で] おり, 囲い《家畜用の》」(コンパスローズ)の意味でも使われる。
今日のGetUpEnglishはこの語を学習する。
「しばしば合成語で」という説明がありがたい。そのとおりで、この名詞にほかの名詞を合わせた形でよく使われる。
○Practical English
a sheep pen
「羊の檻」
●Extra Point
現在、鋭意翻訳中の『STAR WARSスター・ウォーズ 「マンダロリアン」 シーズン1 公式アートブック』に、この表現があった。
◎Extra Example
BLURRG PEN VERSION
これはコンセプトアートの説明(キャプション)で、ブラーグが「檻に入れられている、捕らえられている」グラフィックということ
☆Extra Extra Point
動詞としても使われる。
★Extra Extra Example
The Child was penned up in a room for three days.
「ザ・チャイルドは3日間ある部屋に閉じ込めれた」