GetUpEnglish

日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

GetUpEnglishについて

毎日更新! GetUpEnglish Updates Every Day! Since April 1, 2006 (c) 2006-2024 Uesugi Hayato(上杉隼人)

All of the Marvels鋭意翻訳中

2023-11-27 08:05:25 | All of the Marvels
 本日のGetUpEnglishは現在、鋭意翻訳中のDouglas Wolk, All of the Marvels: An Amazing Voyage into Marvel’s Universe and 27,000 Superhero Comics(2022)の一部を紹介する。

Reading X‑Men comics from the first few years after Claremont’s departure is like listening to one saxophonist after another attempting to play “Chasin’ the Trane”: whether they can convincingly imitate John Coltrane’s sheets of sound or not, they’re tribute acts, repeating a spontaneous invention without the spontaneity that gave it life. It took a solid decade for post-Claremont X‑Men writers to figure out how to stop recapitulating his work and start responding to it. (Devising an approach to X‑Men that doesn’t owe much to Claremont one way or another has never been a realistic option.)
クリス・クレアモントが離れた直後数年の『X-メン』を読むのは、ジョン・コルトレーンの「チェイシン・ザ・トレーン」の名演を別のサックス奏者たちの演奏で次々に聴くようなものだ。コルトレーンの▼シーツ・オブ・サウンド▲(音の重なり)*をコルトレーンと同じように再現できるかどうかは別として、彼らはあくまでコルトレーンのプレイに近づこうとするだけで、元々即興で生まれた創造を、その創造を生み出した即興性なしで繰り返し演奏しているだけだ。クレアモント以降の『X-メン』のライターたちがクレアモントの仕事を繰り返すのをやめ、それに対処する方法を理解するのに10年かかった。(クレアモントとはまるで違う『X-メン』の創作法を考えるのは、まったく現実的ではなかったのだ。)

*「シーツ・オブ・サウンド」(sheets of sound)はジョン・コルトレーン(1926~1967)が発達させたジャズ・サックスの奏法で、複数の音を同時に演奏することで、音が重なり合うような、複雑な多重音を作り出す。コルトレーンの代表曲「チェイシン・ザ・トレーン」(Chasin' the Trane)はシーツ・オブ・サウンドによる代表例として知られる。

 とにかく情報量が多い上に、英語もかなり比喩的な表現が多く、日本語にするのに苦労するが、なるべく早く訳了したい。

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I really liked the latest Marvel movie. What comic is it based on? 

2023-05-17 07:26:09 | All of the Marvels
 All of the Marvels
 A Journey to the Ends of the Biggest Story Ever Told
 By Douglas Wolk
 を毎日訳している。
 今日のGetUpEnglishもこの本から紹介したい。
 3章にマーベル・コミックに対するFAQがあるのだが、今日紹介する部分は誰もが知りたいことだろう。

I really liked the latest Marvel movie. What comic is it based on? 
Are there more comics that continue its story? 

None of Marvel Studios’ movies are entirely drawn from particular comic books’ plots, but a few of them incorporate elements from specific stories. Captain America: Civil War, for instance, has a central conceit of a conflict between Captain America and Iron Man, which was also part of the premise of the 2006 Civil War comics. Avengers: Infinity War has some characters and pieces of its plot borrowed from Thanos Quest (1990), The Infinity Gauntlet (1991), and Infinity (2013)— though not really from the 1992 Infinity War comics miniseries. The 2021 TV series WandaVision echoes The Vision and the Scarlet Witch (1985), House of M (2005), and The Vision (2016) in its tone and themes, and lifts some imagery from a 1989 sequence of West Coast Avengers. And virtually every named character in Marvel’s post-2008 movies and TV shows has an equivalent in the comics, though some have a closer resemblance than others.
最近のマーベル映画がすごく好きになりました。何か基になっているコミックがあるのですか?
映画の続きを描いたコミックはありますか? 

マーベル・スタジオの映画は、ひとつのコミック・シリーズのストーリーを基にすべて作り上げられているわけではない。中には複数のストーリーの要素を混ぜ合わせたものもある。たとえば2016年の映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』はキャプテン・アメリカとアイアンマンの対立を中心に物語が展開するが、この設定は2006年に刊行されたコミック・シリーズ『シビル・ウォー』にも一部見られる。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)は、『サノス・クエスト』(1990年)と『インフィニティ・ガントレット』(1991年)と『インフィニティ』(2013年)の各シリーズからキャラクターやストーリーの一部を得ているが、『インフィニティ・ウォー』(1992年)のミニシリーズからはほとんど何も取り入れていない。2021年のディズニー・プラス配信のドラマ『ワンダヴィジョン』は、1985年の『ヴィジョン・アンド・スカーレット・ウィッチ』や2005年の『ハウス・オブ・M』、2016年の『ヴィジョン』とテーマや雰囲気が重なり、1989年の『ウエスト・コースト・アベンジャーズ』のイメージも一部感じさせる。マーベルの2008年以降の映画やインターネットドラマに登場するほとんどキャラクターはコミックに原型を見ることができる上に、中にはほとんどそのままと感じさせるものもある。

  premiseは「前提」であるが、英日翻訳の場合はその訳語を使わなくても環境を設定してその意味がわかるようにすればよい。「この設定は2006年に刊行されたコミック・シリーズ『シビル・ウォー』にも一部見られる」とすれば、前にうまくつながって「前提」の意味が自然に出せると思う。
 最後のセンテンスのthoughはandでもいい感じがするし、ChatGPTもそう言っている。

UESUGI
In the middle of the sentence, "and" seems to be more natural rather than "though". What do you think?

ChatGPT
You are correct. Using the conjunction "and" in the middle of the sentence instead of "though" would provide a smoother flow and maintain the logical connection between the two clauses. It would be more natural to say: "And virtually every named character in Marvel’s post-2008 movies and TV shows has an equivalent in the comics, and some have a closer resemblance than others." This way, it maintains the coherence of the sentence while conveying the intended meaning.

 だが、著者はなんとなく「そして」とそのままの順接にしたくなかったのだろうから、試訳くらいの訳語でもよいかもしれない。

   Douglas WolkのAll of the Marvels A Journey to the Ends of the Biggest Story Ever Toldは、 2022 Eisner Award for Best Comics-Related Bookを受賞した。

 翻訳版は2023年のことまで書き足してもらいたいし、著者インタビューを取るなどして、さらに充実をはかりたい。

All of the Marvelsの翻訳版『マーベル・コミック大全』(仮題)は2024年、作品社から刊行予定。

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Fred Hembeck’s “Petey” stories

2023-05-13 07:54:19 | All of the Marvels
 All of the Marvels
 A Journey to the Ends of the Biggest Story Ever Told
 By Douglas Wolk
 
https://www.penguinrandomhouse.com/books/549063/all-of-the-marvels-by-douglas-wolk/
 を毎日訳している。
 今日のGetUpEnglishもこの本から紹介したい。

Once you get your bearings— and that will happen very quickly— other interesting things might happen. You might discover characters who turn up only occasionally, but delight you whenever they do. (Ms. America Chavez. Batroc the Leaper. Diamondback. Amadeus Cho. The Shocker!) You might spend hours digging through grubby bargain bins in search of a fifty-cent copy of an issue of Marvel Tales with one of Fred Hembeck’s “Petey” stories— “the adventures of Peter Parker long before he became Spider-Man.”(Worth it.)
あなたがどうしたいかわかれば(それはほんとうにすぐにわかるかもしれない)、ほかにも面白いことがあるかもしれない。ごく稀にしか現れないキャラクター(ミス・アメリカ・チャベス、バトロック・ザ・リーパー、ダイヤモンドバック、アマデウス・チョー、ショッカー*など)を見つけられるかもしれない。フレッド・ヘムベックの「ペティ」の話が1本が収録された『マーベル・テイルズ』を手に入れようと、何時間も古本屋巡りをすることになるかもしれない(「ペティ」にはピーターがスパイダーマンになる前のことがパロディ的に描かれていて、手に入れて読む価値はある)。

ミス・アメリカ・チャベス*、バトロック・ザ・リーパー*、ダイヤモンドバック*、アマデウス・チョー*、ショッカー*にはすべて注をつけなければならないいし、フレッド・ヘムベックの「ペティ」にも、次のような注が必要だ。

*「ペティ」 フレッド・ヘムベックの「ペティ」は、スパイダーマンになる前の若いピーター・パーカーを描く一連のパロディ・ストーリーで、1980年代に『マーベル・テイルズ』を中心にマーベル・コミックスのさまざまなタイトルに掲載された。フレッド・ヘンベックは人気のあるアメコミ・キャラクターのパロディを描くことでよく知られ、この「ペティ」でも若く賢く生意気なピーター・パーカーの活躍が存分に楽しめる。コミック・ファンのあいだではカルト・クラシックにもなっている。

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ALL OF THE MARVELS(3)

2023-04-26 08:25:09 | All of the Marvels
 今年中にどうしても訳さなければならないのが、この1冊だ。
 All of the Marvels
 A Journey to the Ends of the Biggest Story Ever Told
 By Douglas Wolk
 https://www.penguinrandomhouse.com/books/549063/all-of-the-marvels-by-douglas-wolk/

 マーベルの原点がわかるすごい1冊だ。
 すでにこの本のすごさについて書いたが、
 
 https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/44d9b5f6185ef32ab64712fb0a660bd8
 https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/c/1d6a6ce5dd158fcdcbd8fd5f26bcb2ba

 本日のGetUpEnglishも途中報告を込めて本書のごく一節を紹介したい。

How did I read them? Any way I could. I read them on couches, in cafés, on treadmills. I read them as yellowing issues I’d bought when they were first published, or scored at garage sales as a kid, or snagged from a dollar bin at a convention as an adult. I read them in glossy, bashed-cornered paperbacks borrowed from the library. I read them as bagged-and-boarded gems borrowed from friends. I read them as expensively “remastered” hardcover reprints, and as .cbz files of sketchy provenance, and as brittle stacks of pulp that had been lovingly reread until they’d nearly disintegrated. I read a few from a stack of back issues somebody abandoned on the table next to mine as I was working at a Starbucks one day; it just happened to include an issue of Power Man and Iron Fist I’d been looking for. I read a hell of a lot of them on a digital tablet. I read them in the economical black-and-white “Essential” collections Marvel pumped out between 1996 and 2013, and in ragged British pulp weeklies from the ’70s. I read them from the peculiar CD‑ROM collections Graphic Imaging Technology published in the mid-2000s, with hundreds of indifferently scanned issues of Amazing Spider-Man or Ghost Rider.*
それだけの本をどうやって読んだか? どこにいても何をしていてもありとあらゆるものを読んだ。ソファでもカフェでも読んだし、ランニングマシンの上でも読んだ。すでに黄ばんだ初版本にも、子供の頃にガレージセールで手に入れたものにも、大人になってから何かの集会の1ドルセールで手に入れたものにも目を通した。図書館で借りたピカピカしてはいるが角が折れたペーパーバックも読んだ。プラスチック袋と厚紙に大事に包まれた友達の貴重なコミックブックも見せてもらった。高価な「新装版」ハードカバーも、CBRファイルにざっくり保存されたイメージも、何度も何度も読んでいて束が崩壊して何枚かページの飛んでいるものも確認した。ある日スターバックスで仕事をしていると隣の席にコミックの山が置き去りにされていたから、その中の何冊かも読ませてもらったこともある。その時探していた『パワーマン&アイアンフィスト』の号がたまたま目についたのだ。デジタルタブレットで電子版も何冊も目を通した。1996年から2013年にかけてマーベルが出版していた廉価版のモノクロ「エッセンシャル」コレクションにも、激しく痛んだ1970年代刊行のイギリスのパルプ週刊誌にも目を通した。2000年代中盤にグラフィック・イメージ・テクノロジーから発行されたCD-ROMコレクションも手に入れて、機械的にスキャンされていた数百冊の『アメイジング・スパイダーマン』」や『ゴーストライダー』も読み漁った*。

 パラグラフが長く、情報量が多い上に、凝った言い方もしているので油断ならない。
「パラグラフ・レベルで訳す」、すなわちまずは英文をよく読み込んで、「パラグラフごとに日本語に書き換えていく」という方法で臨んでいる。
 わたしは本業があるから一日の翻訳時間は限られているし、弟子や下訳者にお願いできるエラい翻訳者ではないから、すべてひとりでこなす必要があるし、それが楽しい。
 著者自身がほぼ毎ページに次のような注をつけているので、さらにきびしくなる。

*I didn’t intend to read any at the Burning Man art festival in the Nevada desert in the summer of 2019; the only comics I had brought with me were a few copies, to give away, of 1998’s X‑Force #75, in which the team attends the same event, transparently disguised as the “Exploding Colossal Man” festival. But somebody had set up a little memorial shrine for Stan Lee, and at its base there was a box labeled read me, containing some battered but intact fifty-year-old issues of Amazing Spider-Man and Thor and Tales of Suspense, and what was I going to do, not read them?
*2019年の夏にネバダ砂漠で開催されたバーニングマン・アート・フェスティバルでは読むつもりはなかった。そこには1988年刊行の「Xフォース」75号しか持ってきていなかった。バーニングマン・アート・フェスティバルでは最後に、「ザ・マン」と呼ばれるイベントのシンボルである巨大な像が燃やされる「爆発する大巨人」のイベントがあるが、「Xフォース」75号にはこのイベントにXフォースのメンバーが参加する様子が描かれているのだから、現地でこの号を配ろうと思った。ところが、誰かがその前の年に亡くなったスタン・リーの小さな記念碑を作り、「ここにあるものを読んでください」と記されたラベルの張られた箱を置いているのではないか。その中には痛んではいるものの、まだ十分きれいなマーベル・コミックが何冊かあった。なんと、50年前に刊行された『アメイジング・スパイダーマン』や『ソー』や『テイルズ・オブ・サスペンス』があるではないか。もちろん手に取って読まずにいられなかった。


 注に訳注をつけるのはなかなかむずかしいので、必要があれば訳文に情報を補いつつ訳している。
 All of the Marvels A Journey to the Ends of the Biggest Story Ever Toldは作品社から2024年刊行予定。
 毎日少しずつ訳して、年内訳了をめざしたい。
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ALL OF THE MARVELS(2)

2023-04-14 08:16:28 | All of the Marvels
今年どうしても訳了したいと思っているのが、この1冊だ。

 All of the Marvels
 A Journey to the Ends of the Biggest Story Ever Told 
 By Douglas Wolk

 これはマーベルの原点がわかるすごい1冊だ。
 今日のGetUpEnglishはこの本から紹介する。
 2023/04/12のGetUpEnglishに記した通り、注は膨大に付けなければならないが、

 それ以前に著者ダグラス・ウォーク自身が次のようなすごい注をたくさんつけている。

Even the question of who created Marvel’s best-known characters is also often more complicated than it looks. It’s easy enough to assess who came up with Marvel’s first superheroes of the 1960s, the Fantastic Four: Jack Kirby and Stan Lee. (Except that the Human Torch’s name and basic design had been created by Carl Burgos back in 1939.) Captain America? Kirby and Joe Simon in 1941. How about Doctor Strange? That was Steve Ditko, according to Lee’s own words (he wrote “’Twas Steve’s idea” in a 1963 letter to fan Jerry Bails). Iron Man? That’s a little trickier. Lee plotted his first story, but Larry Lieber wrote its dialogue; Kirby drew the first cover and designed the character’s initial costume (which barely resembles the familiar red-and-gold one, designed by Ditko a bit later); Don Heck drew the initial story and invented what its protagonists Tony Stark and Pepper Potts look like.
誰もがよく知るマーベルのキャラクターを誰が作り出したかも一筋縄では説明できない。1960年代のマーベル初のスーパーヒーロー、ファンタスティック・フォーは、ジャック・カービーとスタン・リーによるものであると確かにいえる。(ただし、ヒューマントーチの名前と基本的なデザインは、すでに1939年にカール・バゴスによって打ち出されていた)。
キャプテン・アメリカは? 1941年にジャック・カービー―とジョー・サイモンが作り出した。
ドクター・ストレンジは? スタン・リーによれば、スティーヴ・ディコによるものだ(1963年にマーベルのファン、ジェリー・ベイリスに宛てた手紙に、「ストレンジはスティーヴが思いついた」と書いている)。
アイアンマンは? 少し複雑だ。リーが最初にストーリーを考えたが、会話を書いたのはラリー・リーバーだ。そしてジャック・カービーがコミックのカバーの第一案を描き上げ、最初のアイアンマン・コスチュームをデザインした(それはのちにディコがデザインしたあの赤とゴールドの馴染みのアイアンマン・スーツとは似ても似つかないものだ)。そしてドン・ヘックが最初のストーリーを書き、主人公トニー・スタークのほかペッパー・ポッツのイメージを作り出した。

 かなりオタクな情報だ。裏を取りつつ、慎重に訳したい。
 大変な仕事になる。おそらくA5判、上下2段組、700~800ページになるのではないだろうか?
 心してかかるしかない。
 作品社から2024年刊行予定。
 どうかよろしくお願いします!

 本日も大幅に更新が遅れて申し訳ございません。

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ALL OF THE MARVELS

2023-04-12 07:34:18 | All of the Marvels
 今年に入って5冊刊行し、そのあといちばん気合を入れている本を含めて3冊訳了したが、そのあとほかにも仕事をこなしつつ、今年訳了したいと思っているのが、この1冊だ。

 All of the Marvels
 A Journey to the Ends of the Biggest Story Ever Told 
 By Douglas Wolk

 マーベルは約60年間にわたってスーパーヒーローコミックを出版し、アメリカ文化の作り手を担ってきた。だが、マーベル映画だけでもキャラクターやシリーズが実に複雑に絡み合い、マーベルの世界を理解するのはなかなかむずかしい。本書はこれまでに刊行されたマーベルコミックスのほぼすべてを読みこなした著者が、まず制覇できないと思われる壮大な「驚くべき(マーベル)山:The Mountain of Marvels」に果敢に挑む大変な野心作だ。

 今日のGetUpEnglishはこの本から紹介する。

Its characters and the images associated with them appear on T‑shirts, travel pillows, dog leashes, pizza cutters, shampoo bottles, fishing gear, jigsaw puzzles, and bags of salad greens. (Some of the people who love the story also love to be reminded of it, or to associate themselves with particular characters from it.) Its catchphrases have seeped into standard usage: “Spidey- sense,” “you wouldn’t like me when I’m angry,” “I say thee nay,” “healing factor,” “no— you move,” “bitten by a radioactive spider,” “puny humans,” “threat or menace?,” “true believers,” “’nuff said.” Parts of it have been adapted into serial TV dramas, animated cartoons, prose novels, picture books, video games, theme-park attractions, and a Broadway musical. For someone who lives in our society, having some familiarity with the Marvel story is useful in much the same way as, say, being familiar with the Bible is useful for someone who lives in a Judeo-Christian society: its iconography and influence are pervasive.
 マーベルのキャラクター・イメージが、Tシャツ、ネックピロー(旅行用首あて枕)、愛犬のリード、ピザカッター、シャンプーのボトル、釣り道具、ジグソーパズル、グリーンサラダを入れる袋などにあしらわれている(マーベル・コミックを愛する人たちの中には自分が読んだ物語を思い出したり、好きなキャラクターになりきったりして楽しんでいるのだ)。マーベル・キャラクターの名フレーズは日常会話に溶け込んでいる。「スパイディ・センス」*1、「怒ると怖いぞ」*2、「お前にはかなわん」*3、「ヒーリング・ファクター(治癒能力)」*4、「そっちがどけ」*5、「放射性のクモにかまれた」*6、「小さな人間たち」*7、「脅威か敵か?」*8、「真の信者たち」*9、「(説明は)以上」*10……みんなそうだ。シリアルテレビドラマ、アニメーション、小説、絵本、ビデオゲーム、テーマパークのアトラクション、ブロードウェイのミュージカルなどに取り込まれているものもある。
ユダヤ・キリスト教社会で聖書に関する知識が不可欠であるのと同じように、この社会で生きるにはマーベルのストーリーに通じている必要がある。マーベルのイメージは社会全体に広がり、影響力は絶大だ。

 セリフにはすべて以下のような注をつけたい。

*1 スパイディ・センス(Spidey-sense) スタン・リーが1962年に『アメイジング・スパイダーマン』シリーズを立ち上げた際に言った言葉。
*2 怒ると怖いぞ(You wouldn't like me when I'm angry.)  ブルース・バーナー/ハルクのセリフ。1978年放映のテレビドラマ『インクレディブル・ハルク』(主演ビル・ビクスビー)で初めて使われた。
*3 お前にはかなわん(I say thee nay!) アスガルドの王ソーのセリフで、1965年のコミック・シリーズ『ジャーニー・トゥ・ミステリー』で初めて使われた。
*4 ヒーリング・ファクター(治癒能力、Healing factor) X-メンのメンバー、ウルヴァリンのセリフ。ウルヴァリンがものすごい速さで損傷、破壊を受けた組織を再生できる能力を指す。
*5 そっちがどけ(No — you move) 2006年発刊のコミック「シビル・ウォー」でキャプテン・アメリカが言ったセリ。キャプテン・アメリカは「スーパーヒーロー登録法」について政府の要求を受け入れるべきだとするアイアンマンと対立する。
*6 被爆したクモに噛まれた(Bitten by a radioactive spider) スパイダーマン誕生に関するセリフ。スパイダーマンは放射能を浴びたクモに噛まれたことで超人的な力を手に入れた。1962年発行の『アメイジング・ファンタジー』コミックブック・シリーズで初めて言及。
*7 さえない人間たち(Puny humans) 巨大化して強力なパワーを身に着けたハルクは普通の人間をこのように言う。
*8 脅威あるいは危険人物?(Threat or menace?) スパイダーマンのコミック・シリーズで、『デイリー・ブーグル』紙の編集長J・ジョナ・ジェイムソンがスパイダーマンを指してこう言う。
*9 真の信者たち(True believers) マーベル・コミックの編集コラム「スタンの石鹸箱」(Stan's Soapbox)でスタン・リーが使った。マーベル・キャラクターとマーベルのストーリーの熱烈なファンを指してよくこう言った。
*10 (説明は)以上(Nuff said) “Enough said.”のこと。これもスタン・リーがマーベル・コミックの編集コラム「スタンの石鹸箱」あるいは「ブルペン掲示板」(Bullpen Bulletins)などで「これ以上何も言うことはない、という意味でポイントが伝わったことを示し、もう何も言う必要がない」という意味で使った。

 この翻訳も相当骨の折れる作業になるだろう。ページ数もかなりのものになるし、注も膨大に付ける必要がある。心して臨まなければならない。毎日少しずつでも進めることが大切だ。

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