熨斗(のし)

のし(熨斗)について、趣味について、色々なことを綴っていきます

撮影会 5(猿庫の泉)その3

2010-10-21 16:38:38 | 撮影会

大きな木の陰に隠れるようにしながら、
でも、じっとみんなの遊ぶ所を見ている・・・・
いったい誰なんでしょう。
  

もんたが気が付いたみたいですよ。
もんたは、この子に近づいて行きました。
茶色の洋服を着た、女の子?も、もんたが近づいて来たので
一歩前に出てみたものの・・・
 



やっぱり、みんなと友達にはなれないの・・・と
思ったのか、落ち葉や草の陰に逃げ込んでしまいました。

   
(お願いだから・・来ないで・・)心の中で思いました。

今までだって、一人でじっと木の陰から見ていたの。
私は、だって・・・みんなみたいに飛んだり、木に上ったり・・・できないし、
それに、綺麗な服だって着ていないし、
キノコの似合う子だって言われてる。

 

私の家は木の根っこだし・・・

 
お友達はキノコだけだもの。
お願いだから、近づいて来ないで。


もんたには、そんな事は関係ありせん。

      

「ぼく、もんたって言うんだよ、ほら、森の友達も来たよ!
そーんな所で隠れていないで、出ておいでよ。」
小さなフクロウや、野うさぎも、落ち葉に隠れている、この子の近くに駆け寄って来ました。
「いいよ、じゃあ、僕がギターを弾いてあげる。
そこで聞いていてね。」

もんたは、半分木の葉に隠れたままの、この女の子?にギターを弾いてあげました。
不安そうだった顔が、すこーしにっこりしたような気がしました。

ほら、大丈夫だよ。一緒に向こうに行って遊ぼうよ。
小人さんや、森のじいちゃんもいるんだよ。

 

おいでよ!!



もんたが、あまり言うので・・・根負けしたのか、
ずるずると引きずられるように、木の根っこから下りて来ました。

  

 こっちにおいで!!
この水は、ほーんとに美味しいんだよ。


やっと、泉の近くまで来たこの子。
「ところで、名前は何ていうの?」
もんたは聞きました。
「笑わない?」初めて聞いたその声はとても小さな声で、
でも、たしかに、女の子の声でした。
「笑わないって、何を?」もんたは聞きました。
「あたしの名前」
「笑わないよぅ。僕だってもんただよ」
「あのね、かれは・・って言うの」と女の子は聞こえないくらい小さな声で言いました。
「か・れ・は?枯れ葉のかれは?」
「枯れ葉のか・れ・は、なんだけどね、枯れ葉じゃなくて、か・れ・は」

ちょっと、解説です。
枯れ葉が音階のド・ミ・ソ・だとすると、かれはちゃんのなまえは、ソ・ミ・ド・なのです。

「でも、枯れ葉のかれは・なの。
ほら、よく見て、枯れ葉が付いてるでしょう。」
そう言うと、かれはちゃん、又、きのこのそばで泣きそうです。



良く見ると・・・ほんとだ、かれはちゃんの胸には、枯れ葉が・・・。

いやいや、ちょっと大変な女の子。
もんたは、どうしたら、かれはちゃんがみんなと遊べるか、考えていました。

そうだ!!!
もんたの思い付いた事は、


どう?!かれはちゃん。

  
そんな様子を、小人やおじいちゃんも、高い木の上から見ていました。

もんたは、たくさんの友達に囲まれて・・・今日もうれしい一日でした。



つづく