熨斗(のし)

のし(熨斗)について、趣味について、色々なことを綴っていきます

小天橋〜姫路城〜高野山の旅 ③

2019-05-28 21:54:37 | 風景

父も母も何度も何度も振り返り振り返り姫路城に別れを告げた。

その姿を見て本当に連れて来て良かったと思う。

この日は朝から雨が降っていたので観光客が少なく、桜咲く姫路城でゆっくり最後の思い出を作る事ができた事は幸せだった。

 

   

ここから和歌山県に移動し、3日目は世界遺産、高野山に行く。

高野山は以前から父が行きたがっていたのだけれど、なかなか訪ねることが出来ず、

結局、両親を連れての日本旅の最も最後の頃になってしまった。

苦労して貯めたお金は自分たちの為に使えばいい、そんな思いから始めた旅行。

それも後どのくらい行けるか・・・・。

 

1000mの山々に囲まれた高野山はまだ肌寒く、冷気にちょっとした身震いを覚える。

大門の前を通り、

まず、壇上伽藍を見る。

   

 

 

   

月曜日で朝も早かったので、この広い壇上伽藍に父と母がポツンと2人。

こんな幸せな時間はなかった。

桜の花も蕾が固く、冬の寒さを思うと修行の厳しさを痛感する。 

 年寄りの足では回り切れないほどの建造物の中ー

総本山金剛峯寺の日本最大級の石庭や、歴史の本でしか見た事のない狩野派の襖絵を拝観し、

父は「あぁ、高野山を堪能した!」と歩き始めた。

 この10年、

北海道から沖縄まで、九州こそ行けなかったけれど、最近では観光地がテレビに映ると大抵は思い出話ができる。

できたら覚えていて欲しい・・・と思うけれど、これからは難しいかもしれないとも思う時もある。

それでも、楽しい時間だったと感じていてくれればいいか、とも思うこの頃。

自分もこの時間を記憶に留める為にブログを書いているのかもしれない。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小天橋~姫路城~高野山の旅 ②

2019-05-24 00:43:40 | 風景

京都府の北西部・京丹後市にある小天橋は久美浜湾と日本海に挟まれた景勝地で、その地形が天橋立に似ていることから小天橋と呼ばれるようになったーと書いてあったが、どこから見れば天橋立に見える場所だったのか? その風景を見れずに終わってしまった。

宿の近くの日本海と久美浜湾を繋ぐ水戸口では、日本海に出たり戻ったりする小さな舟が時々行き交っていた。

まるで、山の人たちが軽トラックを足代わりにして山の畑に行くように小さな舟に乗り込み、水の上を滑り出すところを見ながら、ここには自分の知らない暮らしがあると思う。

 

観光地や特別な建造物がなくても新しい土地を歩いてみるといろんな感動が転がっている。

小天橋は海水浴場で有名で、おそらく海水浴のシーズンには大勢の若者や家族連れで賑わうだろう白浜の海水浴場も、4月初めには誰もいない静かな砂浜があるばかりだった。

 この海水浴場は木製の電信柱が残っている珍しい海岸で、岡田准一主演「海賊と呼ばれた男」のロケ地となったらしい。

このロングビーチはそのまま丹後砂丘に繋がっている。

 

朝、宿の周りを1時間ほど歩いてみた。

静かな遍通寺にはまだ桜が残っていて小鳥の鳴き声も賑やかだった。

 

まだ冬が過ぎたばかりで遊歩道や海岸が整備してないから・・と、旅館の方が言っていたけれど大向展望台という案内があったので行ってみた。

確かに最近人が通った跡があまりない遊歩道を上り、展望台まで行ってみると満開の桜が咲いていた。

展望台だけど、木が大きくなりすぎて展望が見えないのが残念。

 

そこから日本海側に遊歩道が続いている。

恐らく昨年の7月豪雨で荒れたのであろう遊歩道や、海岸沿いに流れ着いた流木やごみが、その時の風雨の強さを物語っていた。

夏が近づいて来た今頃はきっときれいに整備され、まだ丸裸だった木々にも緑が蘇り、

暖かい日には海岸に下りて遊ぶ人たちもいるのだろう。

 

海岸でワカメを採っているのか、海には何隻かの舟と人一人。

朝早く、静かな海に舟のエンジンの音が響いていた。 

夏、海のシーズンを除けば、自然と歴史豊かな静かな海の京都なのだろう。

空が暗くなってきて雨が降り出した。

雨の中、久美浜湾を一周して京丹後に別れを告げ、姫路城に着いたのはお昼頃だった。 

 

やはり、姫路城は日本一の城。

父が何度も何度も振り返り振り返り城を跡にした姿が目に焼き付いている。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小天橋~姫路城~高野山の旅 ①

2019-05-17 01:41:07 | 風景

昨年、夏、7月初めー両親を連れて旅行しようと計画を立てた。

平成30年6月28日から10日ほど降り続いた雨は豪雨となり西日本を中心に、河川の氾濫、土砂災害、家屋浸水などによって多く死者、行方不明者などを含む被害を出し、

そのため、ほぼ西日本全域の高速道路が通行止めとなった。

旅行になどとても行ける日ではなかった。

しかも、計画したのは京都の海、京丹後と言われる丹後半島から姫路城を見て、和歌山県の高野山まで、まさに豪雨の中心に目的地があったのだ。

 

旅行の数日前、両親に新しい歩きやすい靴を買ってあげた。

実家に行くと数日前から玄関に新しい靴と二人の帽子がきれいに並べられていた。

まるで、遠足を楽しみにして眠る小学生、それもまだ初々しい一年生のようだ。

出発の3日前には雨が降り出し、玄関の帽子も傘に変わっていた。

前日もひたひたと降り続く雨の音を聞きながら、数分おきにスマホで雲の動きを見ていたのを思い出す。

 

家を出る朝には、中央道から北陸自動車道まで通行止めとなり、宿の宿泊費も振り込んであったのだけれど家を出る事すらできない状況で当日キャンセル。

それでも、事情が事情だけに・・という事で、ホテルの宿泊は日程を改めて泊まらせてもらえることになった。

夏が過ぎ、秋になり、冬は動けず、なかなか行く時間がとれないままに春になって、ふと考えると今年のGWは10連休、

きっとGWの頃にはどこの観光地へ行っても年寄りには辛いだけだろう、と思い、

思い切ってGWの前にもう一度このコースで旅行を計画した。

 

一日目は、福井県の敦賀に出て、海岸線を若狭湾に沿って走り京都に入り、伊根町の伊根の舟屋、経ヶ岬灯台を見て、

京丹後市の小天峡に宿泊予定。

とにかく山国を抜け、海の見える所まで行かないと・・・

福井県に入ると三方五湖の見えるサービスエリアでちょっと一息

越前海岸にある越前岬からその日の目的地の一つである丹後半島の突先の経ヶ岬までをもって若狭湾を形成している。

その若狭湾に沿って小浜、舞鶴を過ぎ、丹後半島に入るとすぐに天橋立のある宮津を通った。

海岸線をのんびりと走ると、伊根の舟屋が近づいて来た。

この辺りの地域、全国的にも有数の降雪地帯であり、冬以外でも雨の多い地域であるらしく

この地域の言い伝えに「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉があるらしい。

今思えば、

昨年の7月、一日でも旅行の日程が早かったら、もしかしたら取り返しのつかない事になっていたかもしれないと思いながら

春の穏やかな海を見る。

何でもない海岸風景も、山国に暮らす私たちには珍しく新鮮に目に飛び込んでくる。

 

雲のない青空を背にして咲く満開の桜、

海岸に何気なく植えられ、人知れず咲いている一本の若い桜を見ながら、

今日でよかった、今日が良かった・・・と改めて思う。

人間の計画など自然の前にはあまりにも無力で、

人生の流れも然り、自然の流れの中に穏やかに身を任せた方がいい方向に向かっていると実感できる事が多い。

こんな風景が見れたのだから・・・。

伊根町もこれから行く京丹後市も京都府にあり、京都という言葉の響きからはこの風景は想像できないなぁ・・と思いながら、

ちょうど緑色と青色の中間にあるような色の海を見る。

伊根の舟屋は、伊根湾に寄り添い立ち並んでいる民家で、

海岸に突き出したよう建築された建物は、船の収納庫の上に住居を備えたこの地区独特の伝統建造物だと説明された。

 

伊根湾を取り囲むように立ち並ぶ舟屋の風景は独特で、映画やドラマのロケ地としても全国に知られているらしい。

 国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

 

伊根町から178号線を丹後半島の先端まで行くと経ヶ岬灯台がある。

現在の灯台はコンクリート製だが、歴史的には木造や石造り煉瓦造り、鉄造りもあり、現存するものもある。

その一つ、白亜の灯台として有名な経ヶ岬灯台は明治期に建設された石造りの灯台として歴史的価値が高い。

 

車で行ける経ヶ岬の駐車場から辺りを見回すとこんもりした山の向こう側に真っ白な灯台が見える。

近くにいた地元の方が灯台まで歩いて行ける事を教えてくれた。

経ヶ岬灯台は海抜148mの断崖絶壁に建ち、一世紀以上もの間海の安全を守り続けていて近代化産業遺産群に認定されている。

教えてもらった細い灯台までの道を歩き始めてみると、石段や階段ばかりの山路ともいえる道が400m~500mくらい続いていて、約20分くらい上るみたいだ。

母はもちろん車の中で待っていることにして、父は・・・行くらしい。

何度も言っている事だけど94歳。

この好奇心と気力には脱帽する。

若者ですら息を切らして上って行ったのに・・・・。

 

満開の桜のトンネルの向こうに真っ白な灯台が見えてきた。

  

「足が弱くなったもんだ。やっとやっとで辿り着いた」と独り言を言いながら、父もゆっくり歩いて来た。

 

帰り道、ちょっと一休みしながら道下を見下ろすと絶壁の下には青い海。

京丹後市は山陰海洋ジオパークの一部なので、美しい地質遺産を含む自然公園でもあり珍しい造形の岩や地形が多く、

     

丹後半島を海沿いに走ると波の浸食によってできた奇妙な岩が多いのに気づく。

 

 あちこちゆっくり遊び過ぎてこの日の宿のある小天橋に着いたのはもう夕方だった。

    

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一石栃の枝垂れ桜

2019-05-07 12:39:33 | 風景

旧中山道、妻籠宿から馬籠宿を結ぶ遊歩道の途中にある一石栃の休憩所の、

毎年美しい花を咲かせる枝垂れ桜。

葉桜になっている道路脇の桜を見ながら、まさか今満開なんてことはないかもしれない・・という不安を

いつも優しく裏切ってくれるこの桜の風景が好きで、

GWの最終日、両親を連れて行ってみた。

 

咲いていた!!

この一角だけ、まだ春を残して・・・。

両親に見せてあげたいと思って連れて行ったのはこれで3回目。

一昨年「来年も来れるように頑張ろうね・・」って言って

昨年「来年も来れるように頑張ろうね・・」って言って

今年も「来年も来れるように頑張ろうね・・」って言って

父が94歳、母が90歳。

この坂を来年も二人で上れるように、

こんな小さな目標が、

大きな大きな大きな目標。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする