「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

パーソナリティ特性, 遺伝子

2011年09月12日 20時54分22秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

 パーソナリティ特性とは、

 様々な場面において 変わらない考え方, 感じ方, 振る舞い方のことです。

 「彼女は面白い人だ」  「彼は人付き合いが上手だ」 などが、

 パーソナリティ特性です。

 BPDと関連する パーソナリティ特性の中に、  「衝動性」 があります。

 衝動性は面倒なことを引き起し、 悩みの種になる BPDの特徴のひとつです。

 BPDの人は 

 「新奇探索傾向」 (面白いことや奇抜な状況を 求める傾向) のような、

 衝動性と似ている性格を 持っていることが多いようです。

 BPDの人の衝動性は、 自殺企図に結びつきます。

 ある種のドーパミン受容体の遺伝子を 持つ人は、 ドーパミン活性が低く、

 新奇探索傾向のような 衝動性に関する特質を 持っているようです。

 (ドーパミンは 気分や快楽の調整に 関係している脳内物質です。)

 BPDのもうひとつのパーソナリティ特性は、 否定的な感情に対する 脆弱性です。

 そのひとつが 「神経症的傾向」 で、

 BPDの人は 否定的な感情をよく抱くでしょう。

 「危害の回避」 (危険や危害のありそうなことを 回避する傾向) や

 「不安」 といった神経症的傾向の、 パーソナリティ特性も高いようです。

 否定的な感情を経験するのは 悪いことではありませんが、

 その感情によって どのように行動するかが重要なのです。

 脳内物質のセロトニンが、 否定的な感情, 抑うつ, 不安や神経症的傾向に

 関係しているという考えがあります。

 (セロトニンは、 気分, 性的特性, 攻撃性などを コントロールしています。)

 経症的傾向の高い人は、

 レベルの低いセロトニン活性の 遺伝子を持っているようです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 

BPDは遺伝するのか

2011年09月11日 21時59分03秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 この記事からしばらく、 BPDの原因について 連載していきます。

 原因の全てが はっきりしているわけではありませんが、

 遺伝子, 生物学, パーソナリティ特性や ストレスが組み合わさって、

 BPDが引き起こされるとされています。

 まず、 親から遺伝するのかどうかです。

 一卵性双生児が両方とも BPDになる確率は35%で、

 二卵性双生児の場合は 7%と低い数字になります。

 遺伝子が全く同じ 一卵性双生児で確率が高く、

 少なくとも部分的には BPDは遺伝する可能性がある、 ということになります。

 また、 BPDの人の一親等血縁者が 10~20%の確率で、

 BPDを持つという 結果が出ています。

 一般人口でのBPDの出現率が 1.6%とすると、

 一親等では その12倍になります。

 遺伝子については、 現在明確な答はありません。

 あなたの遺伝子が あなたの行動に影響を及ぼし、

 あなたの行動が 環境に影響を及ぼします。

 そして、 環境によって 遺伝子の活動が 影響を受けるという事実が、

 話を非常に複雑にしています。

 最近では、 ある遺伝子の組み合わせによっては、

 周りからのストレスに 敏感になると考えられています。

 単一の遺伝子が BPDの主因になることはありませんが、

 多くの異なった遺伝子が 組み合わさって、 BPDに発展することがあります。

 近い将来、 BPDに関連した 特定の遺伝子について 分かってくるでしょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 

新たに楽しめる銭湯

2011年09月10日 21時30分52秒 | Weblog
 
 先だって、 新聞に 近隣の銭湯のチラシが入っており、

 実際に行ってみると、 これがなかなか良い湯屋でした。  (^^)

 外観は 破風造りというアンティック調で、

 今は伐採できない 屋久杉で造られているそうです。

 浴槽は4つあり、

 ミルク風呂の岩盤浴, 高温の気泡風呂, 各種ジェット風呂, そして水風呂です。

 東京で 毎日ミルク風呂に入れるのは ここだけだというとで、

 セラミックのラドニカを背中に当てると、 血行促進や痛みの軽減効果があるそうです。

 ぬるめで気持ちがいい。

 また僕は 熱い湯船にも入りたいので、

 他の銭湯にはない 高温の気泡風呂はありがたいです。

 この浴槽は、 日替わりで 青森ヒバの湯やゆず湯など、

 自然の入浴剤を使っています。

 ジェットエステバスは3種類あり、

 超音波が体内7センチまで達して 脂肪を除去するもの,

 10ヶ所のツボを刺激するもの,

 肩こりや体の痛みを改善したり、 内臓病に効果があるものがあります。

 水風呂は、 温冷浴といって、 水風呂と温浴を 交互に繰り返すことによって、

 末梢血流の循環が高まるそうです。

 冷・温、 各1分ずつ、 7回繰り返すと書いてあります。

 (σ (^^;) その通りにはやっていませんが。)

 疲労回復, 皮膚炎の改善, 免疫力を高める、 その他の効用があるといいます。

 結構 何人もの人がやっていますが、 心臓疾患のある人は やらないようにとのこと、

 血圧が高い場合 σ (^^;) は どうなんでしょう。

 また、 全てのお湯、 飲み水などに 自然回帰水というものが使われています。

 深井戸水を浄化した ミネラルウォーターで、

 体が温まり、 肌に良く、 2リットルまで持ち帰れます。

 それから、 待合室にはギャラリーもあり、

 “市井の画家” の 個展が開かれています。

 多数のマンガや雑誌, パソコン, お客が書き込むノートなども 用意されており、

 楽しむことができますね。

 そして この銭湯は、 商店街・ 飲食街の横にあるので、

 ついでに買い物や食事もでき、 これからも重宝したいと思ってます。  (^^)
 

何を考えてるのか 分からない人たち  (^^;)

2011年09月09日 23時02分23秒 | Weblog
 
 おととい 映画を見に行ったとき、

 何を考えてるのか分からない人が 続けて二人いました。

 映画館に着いて 上りのエスカレーターに乗ると、

 下りのエスカレーターの 上 (2階) の方から、

 手すり (ベルト) を掃除する おばさんが降りてきます。

 ベルトの上に 雑巾を両手でしっかり押さえていますが、

 エスカレーターとベルトは 同時に動いているので、 ベルトの掃除にはなりません。

 「下に降りてくるだけなのかな」 とも 思いましたが、

 その両手は ただ手を付いているだけというより、

 押さえて掃除しているつもり という感じに見えます。

 おばさんは下 (1階) に着くと、 今度は 上りのエスカレーターに乗り換え、

 またベルトの上に 雑巾を押さえて上ってきます。

 う~ん、 やっぱり掃除しているつもり ? 

 おばさんは2階に着くと、 さらに3階へ上る エスカレーターに乗って、

 やはり ベルトに雑巾を押さえて……。

 何を考えているのだろう ……? (?.?;)

 映画館のチケット売り場に着いて、 列のうしろに並ぶと、

 チケットを売っている人の横に 看板が立っています。

 そして 僕が観ようとしている、

「映画 『一枚のハガキ』 のチケットは 売り切れました」

 という意味のことが 書いてあるではありませんか。

「 『一枚のハガキ』 は見られないんですか?」 と聞くと、

「お並びいただければ見られます」

「あの看板は?」

「あれは チケットが売り切れたら 前に出すものです」

「あれじゃ 出してるのと同じじゃないですか」

 と言うと、 その人は 看板に貼ってあるその紙を びりっとはがしました。

 すると その下に 貼ってある紙には、

「映画 『ゴーストライター』の チケットは売り切れました」 (-o-;)

「頭わるいなぁ」 と 思ってしまいました。  (^_^;)
 

俗説6 「BPDは女性特有の障害である」

2011年09月08日 22時37分54秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 男性もBPDを発症します。

 でもBPDと診断されるのは 女性が男性の3倍と言われます。

 理由のひとつは、 男女の育てられ方の違いが 考えられます。

 子供の頃、 感情を表したり人に頼ったりするのは 女の子の性格だと教えられ、

 男の子はそれと異なる方法で 感情を表したり、 苦痛に反応することがよくあります。

 例えば、 男性は泣かないで 攻撃的に行動するかもしれません。

 淋しさを人間関係で解消するより、 薬物で和らげる場合もあるでしょう。

 感情的になったり人間関係に頼るのは  “女性的” だと思われ、

 女の子はそういう言動をしても 構わないとされているかもしれません。

 そして医師は、 女性をBPDと診断して、

 男性を他の障害 (反社会性パーソナリティ障害など) と

 診断することが多くなりがちです。

 医師が、 BPDは 女性によく起こる障害だと思い込み、

 女性には頻繁にBPDを診断し、 男性のBPDは見落としているかもしれません。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 

 日本では、 男性のBPDは 女性の1割とも言われ、

 僕の感覚でもそのくらいか、 それ以下かもしれないという感じがします。

 アメリカでは 女性と男性の患者が 同じ症状を表しても、

 女性はBPDと診断され、

 男性は反社会性パーソナリティ障害と 診断されることがあるといいます。

 遺伝子の研究も進められていますが、 男女の違いも分かってくるでしょうか。
 

俗説5 「BPDの人はまともでなく、 理解しがたい」

2011年09月07日 20時56分42秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 全ての行動は その人にとっての意味があります。

 BPDの人は、 一見 理解しがたく思われる 行動に出てしまうことがありますが、

 それは 激しい感情の痛みから 自分を解放するためのものです。

 薬物や自傷行為, 自殺行動などは、 短期的には その効果があるのです。

 問題なのは、 長い目で見ると自己破壊行為は 深刻な状況を招くということです。

 BPDの人の考え方は、 実は非常に分かりやすいものです。

 過去に自分が拒否されたりした 苦しい経験があるため、

 見捨てられるのではないかということを 非常に恐れてしまいます。

 それは自分を守るための 自然な反応なのです。

 行動や考え方の 原因に目を向ければ、 BPDの人は とても理解しやすいのです。

 BPDの人は 他の人と 本質的に違いません。

 どんな人でも、 ある程度の否定的な感情を 経験していますが、

 BPDの人は その経験が 人より強いだけなのです。

 さらに パーソナリティ特性には良い面もあります。

 BPDの人は 否定的な感情だけでなく、

 肯定的感情 (幸せや喜び, 熱狂) も 激しく感じることができ、

 生活はより豊かに、 満たされたものになるのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 

 拙著にも、 「我々は ボーダーの人の雛型だ。」 と書きました。

 「BPDの人は、 誰しもが持ち合わせている 普遍的な性 (さが) を、

 いとも鮮烈に 見せつけてくれる」 のです。

 心子は感受性が豊かで、 幸せなときは 至上の喜びを感じていました。

 天国と地獄の間を 行き来していたのです。

 僕は 心子の言動に囚われるのではなく、

 内面の苦しみに 目を向けるようにしていました。
 

俗説4 「BPDの原因は 悪い親にある」

2011年09月06日 20時15分00秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 「悪い子育て」 という間違った考えは、

 多くの心理学の分野で 改められてきましたが、

 今でもBPDの原因は 虐待, 育児放棄, 不適切な育児にあるとされています。

 確かに、 幼児期に虐待を受けていると、

 BPDを引き起こす可能性は 増す兆候は見られます。

 しかし BPDの人の全ての人が 虐待を受けているわけではありませんし、

 BPDの人のほとんどは 虐待された経験がありません。

 保護者との間に 悪い関係がなくても、 BPDになる可能性はあるのです。

 BPDは、 個性と 成長過程におけるストレスとの 組み合わせで発症します。

 例えば、 自分が感情的で 他の家族は自制心が強い場合、

 自分を部外者のように感じ、 ストレスが溜まります。

 自分が悪いのではないかと 信じてしまう可能性もあり、

 そのようなストレス要因でさえ BPDを引き起こす可能性があるのです。

 また、 親が忙しくて 子供のそばに 充分にはいられなかったとしても、

 そのこと自体は BPDの原因にはなりません。

 しかし、 あるパーソナリティの特質がある人、 または別のストレスを経験した人が、

 このような家族環境にいると、 BPDを発症する可能性があります。

 それは 親が悪いからではなく、

 家族が単に この子供の特別な要求に 応えられなかったからなのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 

 2005年発刊の 新風舎版 「境界に生きた心子」 では、

 ボーダーの原因は生育歴と 書いてしまいました。

 その頃は その考えが主流でしたが、 そのすぐあと頃から、

 生まれつきの因子に 第一の原因があり、 家庭以外の体験や、

 社会的・ 時代的影響もあることなどが よく知られるようになってきました。

 そして 親の責任の範囲は どんどん狭くなってきました。

 以前は ボーダーの第一人者が、

 ボーダーのいる家で、 問題のない家庭を 見たことがないと言っていましたが、

 今 僕が参加している 「BPD家族の会」 では、 どの親も全員、

 BPDの問題に真剣に苦しみ、 何とかしたいと 必死になっている人たちばかりです。
 

ふたつめのゴーヤ

2011年09月04日 19時49分15秒 | Weblog
 
 ふたつめに大きかった ゴーヤの実が、 一部 黄色くなっていました。

 ある時期から 大きくならないなと思っていたのですが、

 そうなったら収穫時期なのだそうです。

 また取り入れて、 今度は酒のつまみとして、 ジャコ炒めを作ってみました。

 ジャコのカリカリ感と ゴーヤの苦みが相まって、 うまかったです。 (^^)

 今回は 種の周りの綿は 赤くなっていませんでした。

 ちなみに、 来年の種を取る場合は、 実が完熟するまで放っておき、

 完熟したら 綿をよく水洗いして取り、 乾燥して保存しておくということです。


 ゴーヤの花には 次々新しい膨らみが できてきています。

 前からあった膨らみは、 だんだん少しずつ 大きくなっているし。

(中には そのまま大きくならず、 黄色くなってしまったのもあります。)

 毎日 生長を見るのが 楽しみになっていますね。 σ (^^;)

 これらの実のうち、 いくつかが 大きくなればいいのですが。  (^^)

 最初から膨みがなく 散ってしまう花が 沢山ありますが、

 実はゴーヤには 雄花と雌花があるのだそうです。

 膨らむのは雌花で、 つぼみのうちから 膨らんでるのがありますね。

 つるの高さは 軒下まで届いて、 ネットの上の方で 行き場がなくなり、

 ゴチャゴチャ生い茂ってます。

 高さを制限するには、

 ある程度延びたら 親づるの先 (生長点) を切り (摘芯)、

 子づる, 孫づるを誘引して 伸ばすといいそうです。

 それも高くなってきたら、 また先を摘芯するとのこと。

 葉や茎が混み合わないよう、 ネットの上を うまく誘引するといいようですね。

 来年はそうしてみましょう。

 (なおゴーヤは、

 2年続けて同じ土 (プランター) で 育てることはできないそうです。)
 

俗説3 「BPDは一生治らない。 治療できない」

2011年09月03日 20時53分43秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 数年前まで、 BPDは不治の病で、

 一生付き合っていく 障害であると思われていました。

 しかし現在では、 回復する可能性が 大いにあることが分かっています。

 さらに、 躁うつ病よりも 回復する可能性が 高いことも明らかになりました。

 治療の発達だけでなく、 BPDの知識が増えたことも 貢献しています。

 BPDの診断を受けても、 充分な希望があるということを 忘れないでください。

 BPDについて 明らかになっていなかった頃は、

 多くの専門家は BPDの治療の難しさを感じて、

 自分の治療法が効果がないから、 BPDは治療不可能だと 判断してしまいました。

 それは、 ジムに行って 200ポンドのバーベルが 上がらなかったからといって、

 200ポンドは誰も上げられないと 諦めてしまうのと同じです。

 当時の治療が ただ効果的でなかった というだけのことです。

 現在では BPDのために開発した 治療法を受けた患者が、

 短期間で 驚くような回復を遂げています。

 意気消沈や不安といった 症状だけでなく、

 自殺企図や自傷行為という行動を 回避する可能性が、

 ほんの1年ほどで 劇的に減少します。

 3ヶ月の治療でも 有効であることが分かっています。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 

 心子は残念ながら、 回復する前に逝ってしまったわけですが。

 当時は 治療法も知識も、 現在とは大きな差がありました。

 もし心子が 今生きていたら、

 もっと違う道が あったのではないかと 思えてなりません。

 心子が回復した姿を 想像すると、 やるせないものがありますね。
 

俗説2 「BPDの人は暴力的で、 他人を傷つける 危険性が高い」

2011年09月02日 19時57分31秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 テレビで 描写されたこともありますが、 これも間違っています。

 概してBPDの人は、 人を傷つける可能性は 低いのです。

 その上、 他人を傷つけなくて済むなら どんな苦労も惜しみません。

 自分を犠牲にしてでも 他の人の機嫌を取ります。

 ひとりぼっちになるのが怖くて、 人間関係を保つことに必死です。

 BPDの人は 他人を傷つけるよりも、

 自分自身を傷つける場合が はるかに多いのです。

 怒りを外に向けるのではなく、 内にためこむ傾向にあると 認知されています。

 BPDと 反社会性パーソナリティ障害 (ASPD) を区別する

 ひとつの方法として、

 怒りや危害を 内側に向けるか、外側に向けるかの 程度があります。

 BPDの人の多くは、 怒りの表現を恐れ、

 いかなる犠牲をはかっても 怒りの表現を避けようとします。

 虐待や過酷な経験を じかにを受けることで、

 何らかの怒り または攻撃性に対して 我慢できなくなり、

 決して 他人に危害を 加えないようになる人もいます。

 攻撃性を避けるために、 自分の全ての怒りを 中にしまい込んでしまうのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 

 心子の攻撃は 外にも内にも向かいました。

 内に向かうときは 激しい自己嫌悪、 外に向かうときは 猛烈な言葉によってです。

 外に対して 肉体的な暴力はありませんでした。

 ただ1回だけ 腕を振るったことがありましたが、

 僕はすんでのところで かわしました。

 心子は 僕がよけられるように、

 わざと 大きく腕を振り回して 殴りかかったように思えます。
 

俗説1 「BPDの人は、 人の心を巧みに操って、 気を引こうとする」

2011年09月01日 21時08分00秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 BPDに関して 広く信じられているものには、

 誤った情報や 根拠のない説が数々あります。

 それらの俗説と、 正しい事実を述べていきます。

 まずひとつめは、

 「BPDの人は、 人の心を巧みに操って、 気を引こうとする」 というものです。

 これはメディアだけでなく、 学問的な文献などにも見られるほど 一般的な考えです。

 特に、 自殺行為や自傷行為について 説明するために使われます。

 こういう行為はショッキングで、 恐ろしく、 不可解なものです。

 その結果、 BPDを持たない人に、

 恐怖, 怒り, 悲しみ, 罪悪感や 混乱を呼び起こします。

 そして その行為をやめさせよう、 助けようと思ってしまいます。

 そういう思いが、 BPDの人が 人の心を操ろうとしているという、

 間違った信念を 導いているのかもしれません。

 しかし問題点は、

 「その人の行動によって、 その人の意図を 知ることはできない」 ということです。

 例えば 水を飲んでいる 女性がいたとしても、

 その人は喉が渇いていたのか、 喉がいがらっぽかったのか、

 または しゃっくりを止めようとしていたのか 分かりません。

 自傷行為や自殺企図の 主な理由も、

 他人の気を引くことではないことが、 研究によって明らかになっています。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 

 心子は 自傷行為は少なかったですが、 するときは 独りでやることがありました。

 自殺企図は頻繁でしたが、

 最期の 実際の旅立ちのときを除いて、 必ず僕の目の前で 行ないました。

 それは、 助けてほしいという 欲求だったと思います。