「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

俗説5 「BPDの人はまともでなく、 理解しがたい」

2011年09月07日 20時56分42秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 全ての行動は その人にとっての意味があります。

 BPDの人は、 一見 理解しがたく思われる 行動に出てしまうことがありますが、

 それは 激しい感情の痛みから 自分を解放するためのものです。

 薬物や自傷行為, 自殺行動などは、 短期的には その効果があるのです。

 問題なのは、 長い目で見ると自己破壊行為は 深刻な状況を招くということです。

 BPDの人の考え方は、 実は非常に分かりやすいものです。

 過去に自分が拒否されたりした 苦しい経験があるため、

 見捨てられるのではないかということを 非常に恐れてしまいます。

 それは自分を守るための 自然な反応なのです。

 行動や考え方の 原因に目を向ければ、 BPDの人は とても理解しやすいのです。

 BPDの人は 他の人と 本質的に違いません。

 どんな人でも、 ある程度の否定的な感情を 経験していますが、

 BPDの人は その経験が 人より強いだけなのです。

 さらに パーソナリティ特性には良い面もあります。

 BPDの人は 否定的な感情だけでなく、

 肯定的感情 (幸せや喜び, 熱狂) も 激しく感じることができ、

 生活はより豊かに、 満たされたものになるのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 

 拙著にも、 「我々は ボーダーの人の雛型だ。」 と書きました。

 「BPDの人は、 誰しもが持ち合わせている 普遍的な性 (さが) を、

 いとも鮮烈に 見せつけてくれる」 のです。

 心子は感受性が豊かで、 幸せなときは 至上の喜びを感じていました。

 天国と地獄の間を 行き来していたのです。

 僕は 心子の言動に囚われるのではなく、

 内面の苦しみに 目を向けるようにしていました。