「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

俗説1 「BPDの人は、 人の心を巧みに操って、 気を引こうとする」

2011年09月01日 21時08分00秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 BPDに関して 広く信じられているものには、

 誤った情報や 根拠のない説が数々あります。

 それらの俗説と、 正しい事実を述べていきます。

 まずひとつめは、

 「BPDの人は、 人の心を巧みに操って、 気を引こうとする」 というものです。

 これはメディアだけでなく、 学問的な文献などにも見られるほど 一般的な考えです。

 特に、 自殺行為や自傷行為について 説明するために使われます。

 こういう行為はショッキングで、 恐ろしく、 不可解なものです。

 その結果、 BPDを持たない人に、

 恐怖, 怒り, 悲しみ, 罪悪感や 混乱を呼び起こします。

 そして その行為をやめさせよう、 助けようと思ってしまいます。

 そういう思いが、 BPDの人が 人の心を操ろうとしているという、

 間違った信念を 導いているのかもしれません。

 しかし問題点は、

 「その人の行動によって、 その人の意図を 知ることはできない」 ということです。

 例えば 水を飲んでいる 女性がいたとしても、

 その人は喉が渇いていたのか、 喉がいがらっぽかったのか、

 または しゃっくりを止めようとしていたのか 分かりません。

 自傷行為や自殺企図の 主な理由も、

 他人の気を引くことではないことが、 研究によって明らかになっています。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 

 心子は 自傷行為は少なかったですが、 するときは 独りでやることがありました。

 自殺企図は頻繁でしたが、

 最期の 実際の旅立ちのときを除いて、 必ず僕の目の前で 行ないました。

 それは、 助けてほしいという 欲求だったと思います。