「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

不運な人生の出来事 -- 境界性パーソナリティ障害と環境

2011年09月14日 22時51分25秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 BPDは生まれか育ちか、

 つまり、 遺伝子的要因か生育歴かという議論は 時代遅れです。

 生まれも育ちも 全ての精神障害に関係しています。

 さらに、 遺伝子活性が 環境に左右されるということも明らかになり、

 生まれと育ちを 分けて考えることすらできません。

 環境は 脳活性や生体系にも 影響を及ぼすのです。

 一番言われる環境要因は、 幼児期の虐待です。

 BPDの人の約半数が、 幼児期に性的虐待を受けている という結果が出ています。

 より深刻な虐待は、

 より深刻な 認知的症状や人間関係の症状と 関わっているという調査もあります。

 認知症状には、  「解離」 と 「不信感」 があります。

 解離症状が表れるのは、

 過去の虐待に関わる ストレスや情緒不安を和らげるためです。

 人間関係の症状には、 見捨てられ感, 不安定で雑然とした人間関係が 含まれます。

 養育者からの虐待は、 対人関係で安心するのが とても難しくなります。

 自殺行動や自傷行為も、 性的虐待と関係しています。

 全体的に、 幼児期の性的虐待は BPDの典型的な問題と 関連しています。

 しかしそれだけでは、 BPDを発症する 要因にはならないのです。

 虐待とのつながりから、

 BPDは PTSDが複雑化した障害だと 思っている人がいます。

 しかし、 BPDの人の約半数は 幼児期に性的虐待を受けていません。

 そして半数以上が、PTSDの基準に達していません。

 また BPDの人の中には、 トラウマを経験していない人もいます。

 BPDの人の全てが PTSDというわけではないのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 
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