被災から一ヶ月半余り、
避難所では 大人たちも怒りっぽくなったり、 不眠を訴える人が 多くなっています。
子供は 急に甘えたり、 多弁になったりします。
「地震ごっこ」 も、 言葉で表せない 内面の表現として 有名になりました。
これらは、 異常な出来事に対する、 人間の正常な反応です。
周りの人が それを理解して、 「大丈夫ですよ」 と 伝えることが大切です。
被災者が 自然に力を回復するのを 見守り、
「つながっている」 という 感覚を持ってもらうのです。
うつ病やPTSD (心的外傷後ストレス障害) が 慢性化する心配もあります。
どのように防ぎ、 どのように対処するかが 問われます。
医師や臨床心理士など 心の専門家を増やし、
彼らの連携による 「心のケア体勢」 を 地域に築くことが必要です。
津波では、 人を助けようとして 犠牲になった例も少なくありません。
喪失感に加え、
自分だけ生き残ってしまった という罪悪感が、 人々の心を苦しめます。
「津波てんでんこ」 という 三陸地方の言葉も、 よく知られるようになりました。
「津波のときは 人に構わず てんでばらばらに逃げろ」 という意味です。
この言葉によって 教訓を伝えると同時に、
自責の念を和らげる メッセージにできないでしょうか。
被災地が 力を取り戻し、 再建する長い過程を、 社会全体が後押しする。
そのことが 「心の復興」 にもつながるでしょう。
〔 朝日新聞より 〕