「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

お年寄りを助け出した 高校生たち

2011年04月17日 21時42分57秒 | 東日本大震災
 
 津波にのまれた老人ホームから、 お年寄りたちを助けた 若者たちがいます。

 地元の高校の サッカー部員や野球部員です。

 日頃のランニングコースとして 馴染んでいる施設でした。

 部活中に地震に見舞われ、 高台の校舎から、

 町や施設が 津波にのまれる様子を 目の当たりにしました。

 「助けさ行くぞー!」

 第一波が老人ホームを襲うとき、 誰からともなく声が上がりました。

 両部員30人が 施設へと駆け下りました。

 膝まで波に洗われながら、 がれきをかき分けます。

 血を流している人、 息もできず青白くなっている人。

 28人を 校舎まで担ぎ上げました。

 夜は 寒さとの闘いでした。

 練習着や靴下をかき集め、 カーテンを引きちぎって お年寄りにかけました。

 懸命に体をさすりましたが、 朝までに 8人が息を引き取りました。

 「あと一人でも多く 助けたかった」

 1年生の部員は悔やみます。

 翌日からは 山を超えて、 水や米を探しました。

 避難してくる人は 500人に膨れ上がり、

 怪我人の治療や トイレの穴堀りも手分けしました。

 -- それから1ヶ月。

 今は 避難所の子供たちの 世話をしています。

 親が 炊き出しやがれき撤去で 忙しい間、

 子供たちに サッカー教室を始めているのです。

 サッカーをする前は ストレスで、 ケンカしたり叫んだりしていた子供たちが、

 今は毎日汗だくです。

 サッカー部員のH君は、 家や友だちを失いましたが、

 子供たちとの触れ合いの中で 見つけたものがあります。

 「先生になりたい」

 ふるさとを支えたいと思っています。

〔 朝日新聞より 〕