「作業員の安全」 か、 「原発事故の収束」 か--。
究極の選択が迫られています。
ある厚労省幹部は 心情を漏らしました。
「仕事に 『命がけ』 が あっていいわけがない。
でも 原発を抑え込む重要性は、 労働政策の域を超えている。
労働者の安全と どちらが優先されるべきか、 自信が持てない」
「原発の危険を収束させてほしい」 という 国民の期待が大きく、
労働者の安全確保に 影響することが懸念されています。
平時と比較すると、安全管理は機能マヒと言えます。
深刻なトラブルが 連鎖的に起こり、 その対応に追われて、
作業の安全管理まで 把握できなかったということです。
3月24日には、 作業員が 放射線の線量計を持たずに 水に浸かって、
被曝しました。
東電は高レベルの放射線量を 確認していたにもかかわらず、
作業員に伝えていませんでした。
人手が足りず、 正規の作業手順が省略されることが 続出していたといいます。
ケーブル敷設や水の除去など 作業は山積みですが、
作業時間が長くなれば 被曝量は多くなります。
一人の放射線量が増えないよう 人海戦術が必要ですが、
作業員の安全な作業のために 環境を細かく把握しなければなりません。
しかし、 作業員たちが危険を覚悟で 臨んでいることも事実です。
作業員は、 「とにかく自分たちで 何とかするしかない」 という 思いでいます。
ある協力会社は社員に、
「作業を拒否できる」 ことや、 「拒否しても査定に影響しない」 ことを
明示しましたが、 全員が 「行きたい」 と答えたそうです。
〔 朝日新聞より 〕