「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

児童わいせつ 繰り返す息子 -- 更生への道 (5)

2010年07月03日 21時23分58秒 | 罪,裁き,償い
 
 元受刑者の男性 (34才) は、

 8才の男児に わいせつ行為をした罪で 服役しました。

 以前にも 同様の罪を犯し、

 男性の母親は  「小さい子には 絶対近寄らない」 と 約束させました。

 母親は、 息子はもうしないと 信じたいけれど、 確信は持てないと言います。

 法務省は05年から、 子供を狙った 暴力的性犯罪者について、

 出所後の行き先を 警察に通知しています。

 が、 それを地域住民に知らせることは 禁じられています。

 住民が元受刑者を 監視するようなやり方は、 彼らや家族の 孤立感を深め、

 かえって 社会復帰を阻害します。

 けれども、 地域の 防犯パトロール隊の隊長は、

 小学生の下校を見守りながら、 心が揺れています。

 「元受刑者のためには、 地域で温かく 受け入れることが望ましいが、

 不安も正直ある。

 防犯活動では、 彼のことを意識せざるを得ない」
 

 7才の男児を わいせつ目的で誘拐、 絞殺した男性 (当時17才) は、

 10年の服役後、 弁護士や法学部のゼミ生らに 度々激励会を開いてもらいました。

 それを 楽しみにする一方、 車で遠方へ出かけ、

 犯行を繰り返すようになっていました。

 「さびしい時に 小さい子に会うと、

 誘い込まれるように わいせつ行為に走ってしまう」

 男性に関わった准教授は、 こう話します。

 「彼と 就職や恋愛について、 本音で相談できる 関係を築けなかった。

 彼には、 覚悟と愛情を持って 一緒に生きていく人が 必要だった」

 男性の母親は 親子の縁を切ると 伝えましたが、 今は思い直しています。

 「被害者のことを きちんと考えさせ、 やり直させたい」

 男性は人生の大半を 刑務所で過ごすことになり、

 出所時には 50才になっています。

〔 読売新聞 「罪と罰 -- 更生への道」 より 〕