「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「孤高のメス」

2010年07月25日 22時16分14秒 | 映画
 
 映画 「孤高のメス」 は、

 現職医師・ 大鐘稔彦の 小説を原作として、 映像化したものです。

 以前、  「メスよ、 輝け!!」 〔原作・ 高山路爛 = 大鐘稔彦〕 として、

 コミックで 連載されたこともありました。

 目の前の患者を 救うことを信念とする、

 無骨でひたむきな 外科医・ 当麻鉄彦 (堤真一) が、

 上からの圧力にも屈せず、 次第に周囲を巻き込んでいきます。

 設定は1989年で、 映画では脳死肝移植が 重大なエピソードとなっています。

 実は 原作者の大鐘先生には、 昔お会いしたことがあります。

 僕が90年代前半、 小学館ビッグコミックで、

 ホスピスのマンガ  「生死命 (いのち)」 を連載していたとき、

 取材で伺ったのです。

 大鐘先生は当時、 ホスピス医療をはじめ、

 リアルタイムでの手術公開、 エホバの証人の無輸血手術などを手がけ、

 患者のための 最先端の医療を実践していました。

 「孤高のメス」 も評判が良く、 僕も期待して 観に行ったのですが……、

 正直言って 少々がっかりでした。

 何故いま、 20年前の脳死肝移植を取り上げるのか よく分からないし、

 描き方も 脳死移植の通り一遍の問題を なぞっただけに 僕としては思われました。

 人物造詣なども 深みが感じられませんでした。

 実は 映画の舞台の1989年は、

 僕がシナリオの新人登竜門  「城戸賞」 を受賞した年で、

 受賞作は 脳死肝移植を題材にした  「生命の処方箋」 というものでした。

 (シナリオは その月の 「キネマ旬報」 に、 全編掲載されています。)

 脳死,移植の問題を かなり掘り下げたもので、

 これなら 「孤高のメス」 より こっちのほうがいいのではないかと、

 自分では思ってしまいました。  (^^;)

 折しも先日、 臓器移植法が改正されました。

 脳死とは何か、 移植とは何かを 知ってもらうためにも、

 この機会に、 ブログに 「生命の処方箋」 を 連載してみようかと思います。