「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

自立センター  悩む住民 -- 更生への道 (8)

2010年07月09日 21時14分19秒 | 罪,裁き,償い
 
 自立更生促進センターは、 帰る先のない 仮釈放者が滞在して、

 自立の準備をする 国の施設です。

 その開所に反対する 地元中学校の保護者会が、

 反対の署名への依頼文を 生徒に配りました。

 開所を公表していた 保護観察所は、 市教育委員会に 非難の意思を表しました。

 「差別と排除の論理を 助長する活動が、

 学校現場で行なわれているとすれば、 憂慮せざるを得ない」

 センターの場所は 学校が多い地区で、 再犯を懸念する 住民の反対は根強く、

 250人がデモ行進を行なうなど、 対立しています。

 ある中学教諭は、 開所反対の署名を頼まれましたが 断りました。

 「生徒が失敗しても やり直せると信じるのが 教師。

 それは センターの理念は同じ」 と 思ったのです。

 けれども その後、 友人の女性が 性暴力の被害に遭いかけ、

 犯罪は身近でも起きると 実感しました。

 「生徒に何かあったら と思うと……」

 今は 反対の立場を取っています。

 一方、 最初は反対の署名をし、 その後、

 窃盗で服役中の男と 面会するようになった人がいます。

 男は 帰る場所がなく、

 「苦悩を背負っていくのも 私に課せられた試練」 と、

 手紙に 罪への悔いをつづります。

 「支援がないと 同じことを繰り返してしまうのでは」

 その人はそう思い、

 センター運営に 協力する会を結成して、 知人らに理解を求めています。

〔 読売新聞 「罪と罰 -- 更生への道」 より 〕

(次の記事に続く)