アルツハイマー病と診断された ある患者は、
認知症の薬 アリセプトを飲んでいましたが、 症状は一向に 良くなりませんでした。
家族に暴力を振るうなど、 日に日に状態は悪化し、
半年後、 認知症の専門医を訪れました。
専門医は、 家族が記した 患者の症状の中で、 幻覚が見えるという 点に注目し、
アルツハイマー病ではなく、 レビー小体型認知症と診断しました。
レビー小体型認知症には 「抑肝散」 という漢方薬が 効く場合があるとされ、
この薬で治療を行なうと、 幻覚がなくなり、
3~4日で 劇的に症状が改善したといいます。
アルツハイマーの治療薬である アリセプトを、 レビー小体型認知症の患者に使うと、
強く効きすぎることが 多いといいます。
この患者も 薬の副作用で、 興奮状態を招いていたのでしょう。
他に 抗うつ薬や抗精神病薬を用いますが、
適量や効き目, 副作用は 個人差が大きく、 専門医との相談が大切です。
しかし 幻覚があるかないかを 診断するのには、 難しい面があります。
患者に 「何か不思議なものは見えないか」 と 問診しても、
患者にとっては 当たり前に見えているものであり、 不思議なものではないため、
「見えません」 と 答えたりするわけです。
限られた情報で 判断しなければならないので、 認知症は誤診が起こりやすいのです。
レビー小体型認知症は 物忘れや幻覚のほか、 小股で歩いたり つまずいたりする,
大声で寝言を言う, 奇声を上げる, 怒る, 暴れるなどの症状があります。
〔 NHK クローズアップ現代 「誤診される認知症」
読売新聞 医療ルネッサンス 「あきらめない認知症」 より 〕