「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

認知症の人の  「食べる力」 を引き出す

2010年07月22日 22時26分07秒 | 介護帳
 
 認知症のお年寄りのなかには、 食事がテーブルに 並べられているのに、

 じっと座ったまま 食べなかったり、

 口に食べ物を運ぼうとすると 顔を背けてしまったりする人がいます。

 そんな人たちの  「食べる力」 を引き出す取り組みが 広がっているそうです。

 ある80代の女性は、 ご飯やおかず、 みそ汁など、

 食器がいくつもあると 手を付けないのに、 1つだけにすると 食べ始めました。

 何種類もの食器が並んでいると、 どこから手を付けていいか 分からなかったのです。

 器を変えたり、 1つだけにすると 集中できるようです。

 70代後半の女性は、

 テーブルの 真ん中から左側に 食器を置くと、 普通にご飯を食べています。

 脳梗塞の後遺症で、 右側に置かれたものが 認識できないため、

 左側に食器を置くといいのです。
 

 認知症には、 対象が何であるかを 認識できない 「失認」、

 目的に向かった 行為ができない  「失行」 などの症状があります。

 これらは 食事の場面でも表れます。

 失認の場合なら、 一口食べさせることで 食べ物であることを認識させ、

 失行なら、 利き手に箸やスプーンを 持たせるとよいでしょう。

 食事の様子を 注意深く観察し、

 その人に合った 介助法を選ぶことで、 食べる力を引き出せます。

 本人ができることもあるので、 介助しすぎないことも 大切です。

 周りが騒がしかったり、 テーブルの上が 乱雑だったりすると、

 食事に集中できないのは、 我々も同じです。

 食事の環境を 整えることも大切です。

(7月12日の記事  「本当は淋しい」 に書いたBさんは、

 少し離れたところに 食器を置き、 構わないふりをして 遠くから見守っていると、

 一人でゆっくり食べ始めます。

http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/archive/2010/7/12

〔 読売新聞 「くらし 家庭」 より 〕