「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

5000万恐喝 元少年の明暗 -- 更生への道 (6)

2010年07月06日 20時13分25秒 | 罪,裁き,償い
 
 99~00年、 少年17人が 一人の中学生から、

 計約5000万円を 恐喝するなどし、 教育界を揺るがした事件。

 地検は主犯格に 刑事罰を科すべきとしましたが、

 家裁は  「教育で 事件の重大性を認識させ、 思いやりを植えつけるべき」 と、

 中等少年院送致にしました。

 主犯格は 02年に少年院を出て、 家業を手伝っていましたが、

 やがて 昔の仲間との付き合いが 復活します。

 06年、 誘われて パチンコ店の店員に 暴行を加え、 約1200万円を強奪。

 恐喝事件のときに関わった、 元裁判官は語ります。

 「少年は 罪の深刻さに気付けば、 自分から変われることが多い。

 彼も 年相応の素直さはあったのに、 再犯は本当に残念」
 

 同じ恐喝事件を起こした もう一人の男性は、

 少年院仮退院後、 地元には戻らず、 更生保護施設に入りました。

 「自分は流されやすい。

 このまま帰れば、 以前の仲間とつるんでしまう」

 施設にいる間、 左官の仕事を経験し、

 自分が脅し取った数百万円は、 1年働いても 稼げない額だったことも知ります。

 施設で10ヶ月を送ったあと、 地元に戻ると、

 つい 昔の暴走族仲間に連絡し、 暴力団関係者と 食事をしたこともありました。

 そのとき、 少年院の窓の 鉄格子が頭に浮かびました。

 「二度と ああいう所へは戻りたくない」

 仕事を理由に断っていると、 誘いは来なくなりました。

 危うい場面に遭遇して 何とか踏みとどまれたのは、

 少年院や施設で 自分の芯ができていたからでしょう。

 今の職場は 勤続7年なり、 毎月3万円の 被害者への支払いも続けています。

〔 読売新聞 「罪と罰 -- 更生への道」 より 〕
 
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