「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

親に振り回された人に多い -- 依存性パーソナリティ

2009年11月29日 20時20分35秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 依存性パーソナリティから 境界性パーソナリティ障害になった人は、

 愛情が乏しく、 不安定な環境で育っていることが 多く見られます。

 虐待を繰り返している 場合もあります。

 子供は本音を言わず 相手に合わせ、

 自分の将来は 突然理不尽に変わるものだという 無力感を、 身に付けさせられます。

 自分が主体的に 生きていくのではなく、

 保護してくれそうな人に 盲目的に従い、 過剰に尽くしてしまいます。

 そうした無理を 重ねているうち、 次第に心に変調をきたし、 不安定になります。

 親の呪縛から逃れて、 外の世界で 自分が受け入れられたとき、

 味わったことのない 自由と解放感を 覚えることもあります。

 でも 自分で自分を支え、 コントロールすることには 慣れていないので、

 誰かに頼ろうとし、 危険に行き当たります。

 このタイプの人が 回復するには、

 安定して 保護者としての能力が高い 伴侶と出会うことが 最も幸運です。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子の中の主観的事実は、

 親は家業が忙しくて 余り構ってもらえなかった というものです。

 心子にとっては、 愛情が乏しい家庭だった ということになるでしょう。

 また 心子の父親は、

 いつ 命に関わる発作が 起きるか分からない 病気を抱えており、

 独りで逝くことを恐れて、 心子と一緒に死ぬことを 求めていたといいます。

 これは、 親に振り回されていたと 言えるのではないでしょうか。

(客観的事実はそうでなかったとしても、 心子にとっては そのような家庭でした。)

 でも心子は 父に躾けられて、

 幼いときから 何でも独りでするような 子になっていました。

 父親に好かれたくて 頑張ることはしても、

 顔色をうかがって ものが言えないような 依存的ではなかったでしょう。

 17才で家を出て、 自立的な生活をしていたといいます。

(それは 母親から離れるためでもありましたが。)

 恋人に対しては依存的でも、 以前は主体的に 自分をコントロールしていたので、

 心子の元の性質は 依存性ではなかったのだろうと思われます。
 
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