「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

両極端にしか 考えられない

2009年11月02日 23時38分22秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 認知の観点で見ると、

 境界性パーソナリティ障害は 両極端で二分法的に 陥りやすいわけです。

 この二分法的認知が、 対人関係や気分の面で 両極端の変化を生んでしまいます。

 二分法的認知は、 幸福よりも不幸を 引き寄せる本性を持っています。

 どんなに親切で 優しい人が 一肌脱いでくれたとしても、

 少しでも アラや不満な点を 感じた瞬間、 裏切られたと感じ、

 怒りすら覚えてしまうのです。

 そうすると 0点どころか、

 裏切ったという点で マイナス100点になってしまいます。

 援助する側も 裏切られたと感じ、 怒りを覚えます。

 境界性パーソナリティ障害の人の 心の中で起こっているのと 同じことが、

 援助する側にも 起こっているのです。

 境界性パーソナリティ障害からの 回復を助けるには、

 相手の感情の渦や 二分法的思考に巻き込まれず、

 周囲が 適切な反応の手本を 示すことです。

 例えば、 周りが全員 英語をしゃべっていれば、

 本人も英語を話しだすのと 同じ原理です。

 そうして 本人の受け止め方を 変えていくと、

 人生は 違ったものに見えてきます。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕


 白か黒か、 100か0かの二分思考、

 それが心子や周りを 最も苦しめたもののひとつでしょう。

 心子は 自分がオセロのようだと 言っていました。

 それまで真っ白だったものが、

 ひとつが黒くなると 一瞬にして全部 黒になってしまうのです。

 言い得て妙、 心子は 自分を的確に見て 表現する面もありました。

 でも マイナスの感情にとらわれると、

 分別など跡形もなくなって、 激流に呑み込まれてしまうのです。

 僕は それに巻き込まれないように、 動じないように努めていました。

 それは ボーダーの人に対して、

 この世には 何があっても変わらないものがあるのだと、

 教えることになったかもしれません。