「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

萎縮した 自己愛を抱えている (1)

2009年11月06日 20時45分52秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 子供は 幼い自己愛が 程よく満たされることによって、

 現実とバランスの取れた 自己愛を獲得していくことができます。

 しかし境界性パーソナリティ障害は、

 自己愛が萎縮したタイプの 自己愛障害だと理解されます。

 自己愛の発達には、  「誇大自己」 と

 「親のイマーゴ (強い影響力を持つ 内面的な像) 」 があります。

 自己愛が健全に育つには、 両者が適度に充足され、

 かつ 徐々に手放していくことが 必要です。

 誇大自己は、 自分を神と錯覚したような、

 最も未熟な自己愛で、 顕示的欲求や万能感を持ちます。

 親のイマーゴは、 親を神のように 絶対的に畏怖し、

 それを 現実の人間に投影します。

(次の日記に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕


 「理想化された 親のイマーゴ」 は、

 自分にとって 都合のいい相手の 理想像を作り上げてしまいます。

 万能感が 相手に投影された自己愛です。

 これは 尊敬できる相手によって 満たされると、

 生きる指針となる  「理想」 や 「道徳」 を 育てていくことができます。

 健全に育っていけば、

 相手を尊敬したり、 慈しんだりすることができるようになります。

 しかし、 実際の親が 余りに厳し過ぎると、

 親のイマーゴは 過剰に理想化されて、 子供を強く支配します。

 成長してからも 相手に過大な理想を求め、

 現実には 期待を裏切られて、 傷つき失望してしまいます。

 逆に、 親が拒否的だったり 頼りなさ過ぎると、

 自分の理想となるべき 親のイマーゴの 形成に失敗し、

 理想化の自己対象を 失ってしまいます。

 その結果、 安定した自己を 確立することができず、

 人を尊敬したり 信頼したりもできなくなってしまいます。

 親のイマーゴは 最も基本的な他者像でもあり、

 人との関わり方に 極めて大きな影響を与えます。
 
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