「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

幼い頃の 過酷な体験が 要因となる

2009年11月20日 19時20分50秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 身体的, 性的虐待を受けると、

 境界性パーソナリティ障害を 発症する頻度が高くなります。

 離別体験や、 事故・事件の被害者となること,

 過酷な逆境体験も、 深い傷となり、 発症の原因となることがあります。

 情動システムが育っていく 最も大切な時期に、 外傷的な体験が起きると、

 傷つきやすさと情動コントロール不全が 併存することになります。

 ネガティブな体験の影響が、 人に対して 安心感が持てなかったり、

 対人関係で傷つきやすくなる 要因となり得ます。

 逆に、 元々 対人関係の不安定さや 傷つきやすさを持っている人は、

 ネガティブな体験ばかりが 心に残ってしまうという 側面もあり、

 悪循環を形作ってしまいます。

 一方、 明白な外傷体験がない 境界性パーソナリティ障害も、

 多くあることが分かってきました。

 外傷体験は ひとつの要因にすぎません。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 何回か書いてきたように、 心子は産後の 足の障害のため、

 親に抱かれずに 1年間独りで寝かされていたことが、

 根本的な外傷体験に なっていると思います。

 ネグレクトも虐待です。

 ただ 母親の話によると、 自宅は工場で、 何人かの職人を 雇っていましたが、

 昼休みになると 職人たちが心子をあやしたり、

 全く構われなかったという 状況ではなかったようです。

 それでも、 最も 親とのスキンシップが 必要な時期に、

 それが充分に 与えられなかったことは、

 この世に存在していいという 基本的な安心感が 損なわれてしまったでしょう。

 心子の 生まれつきの脳の気質は 分かりませんが、

 母親も激したときなど 心子にそっくりだといい、

 父親も 極端な人物だったようですから、

 遺伝的な要因も あっただろうと思われます。