「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

過保護すぎる環境

2009年11月24日 20時21分16秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 少子化によって、 過度に満たされた環境で 育つ子が増えています。

 そのため 苦しみに耐える 力が低下し、

 感情や対人関係の コントロールがうまくいきません。

 忍耐力は 比較的幼いうちに 作られるもので、

 その時期に 過保護に育てられると、 脆弱さを露呈することになります。

 さらに 技術の進歩によって、

 小さな子でも、 暑ければ エアコンのスイッチを入れます。

 環境を自分に合わせるのが 当たり前になると、

 余計に我慢が 利かなくなってしまいます。

 メールやネットに慣れると、 気が短くなる 人がいます。

 操作可能な環境は、 人を子供にする方向に 働きやすいのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子は父親には 厳しく育てられましたが、

 母親はむしろ 過保護気味だったのかもしれません。

(ただし本人は、 母親から愛情を 与えられなかったと感じています。)

 心子は 僕や母親などに対して、

 言動のコントロールができなかったのは 言うまでもないことです。

 しかし一方で、 勉強やリハビリなど、 刻苦勉励をものともしませんでした。

 夏休みの1ヶ月間、 遠方で 超過密スケジュールの 心理学セミナーに皆勤し、

 試験も全科目 優で合格しました。

 怪我をした後の リハビリでも、

 筋肉がなくて 普段は筋トレなど できないはずなのに、

 腹筋や背筋などの運動を、 僕でも音を上げるほど 頑張っていました。

 心子はそれまで、

 「もっと頑張ればよかった」 という後悔を したことがないと言います。

 父親に認められ 愛されるために、

 子供の頃から馬車馬のように 頑張ってきてしまったのかもしれません。