「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

依存性が強いタイプ -- 献身と背信を併せ持つ

2009年11月28日 22時01分41秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 いつも 誰かを頼らずにはいられず、

 人に尽くしすぎて 利用されてしまうタイプを、 依存性パーソナリティといいます。

 自分の本心よりも 相手の顔色ばかり見て、 相手に合わせてしまいます。

 そのため騙されやすく、 利用されている相手に 自分から尻尾を振ってしまいます。

 誰からも好かれたいと思い、 嫌な奴だと 思われないために、

 何も言えない人間に なってしまうのです。

 相手の話を聞くと、 何かしてあげなければと 思ってしまいます。

 自分は無能なので、 相手にすがらなくては 生きていけないと思い込んでいます。

 元来 献身的な性格ですが、 境界性パーソナリティ障害に陥ると、

 抑えていたものがはじけて、 不安定で衝動的な 傾向が強まります。

 きっかけは、 さんざん尽くしてきた相手に 裏切られたという体験が 典型的です。

 そうすると、 誰彼となく愛情を求めたり、

 些細なことで仲違いをすることが 頻繁になります。

 信頼し尽くしていた相手を、 突如 見捨てたり裏切ったりします。

 依存性パーソナリティから境界性パーソナリティ障害が 発症するタイプは、

 最も頻度が高く、 境界性パーソナリティ障害の 中核グループだと言えるでしょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子は僕に対しては 依存が強く、

 すがらなくては生きていけないと 思っていましたが、

 他の人に対して そういうことはありませんでした。

 僕と付き合うようになるまで、 仕事面でも優秀で 自立して生きていました。

 誰からも好かれたいという 八方美人的なところはなく、

 相手が誰でも 言うべきことは言うという、 確固としたものを持っていました

 そのために 自分が不利になっても 少しも構わず、

 依存性とは正反対の 性向だったと言えるかもしれません。

 でも 僕に対して、 信頼し尽くしていたのに、

 些細なことで突然 見捨てて去っていくことを 繰り返していました。

 また、 悩んでいる人の 話を聞くと、

 自分がどんなに辛くても 何とかしてあげようとしていました。

 ただ これは 相手に好かれるためというより、

 自分が誰より 苦しみを知っているために、

 相手の苦しみを放っておけないという 心理だったのではないかと思います。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

強迫性の強いタイプ -- 妥協できない優等生

2009年11月28日 08時09分32秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 生真面目で潔癖で、 妥協できない性格は、 強迫性パーソナリティと呼ばれます。

 努力家で 滅多に弱音を吐かず、 親が安心するような 優等生です。

 自分に厳しく、 完璧を求めすぎ、 それができないと焦ってしまいます。

 このタイプの人は、 きちんとした両親に 厳しく育てられています。

 子供は 良い子になることを 求められすぎて、 親に支配されています。

 全て 親から与えられた価値観で 生きてきたのです。

 こうした子が 思春期や青年期を迎えたとき、

 与えられたものに 違和感を覚え始めます。

 それは 自分自身を確立しようとする 営みなのですが、

 親にはそれが 自分たちの期待を裏切るように 見えてしまいます。

 本人は 今までやってきたことに 疑問を感じつつも、

 新たに自分を 築き直す自信もありません。

 このタイプの人が 境界性パーソナリティ障害をきたす場合、

 勤勉な努力家だった子供が、 急に投げやりな 怠け者になり、

 悪いことに手を染めたり、 親を失望させることを し始めます。

 摂食障害を 伴うことがありますが、

 完全主義や 人の評価を気にする 傾向が、 しばしば影響しています。

 別人のように 性格が逆転してしまったように 見えますが、

 積もり積もった無理が 爆発してしまったのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子の父は 厳しくて支配的だったようですが、 心子は普段は、

 怠け者だったり 悪事を働いたりすることは、 全くありませんでした。

 頑張りすぎるほど 頑張り屋であり、 決して 妥協というものをしませんでした。

 しかし 一旦落ち込むと、 引きこもって 何もできなくなってしまったり、

 全ては無駄だと 投げ出してしまったりします。

 摂食障害もありましたが、

 父親から与えられた 完全主義的な価値観が 影響していたのでしょうか。

 BPD発症以降、 性格が逆転した ということではないようですが、

 父親から厳格に 躾けられた故の、

 潔癖で優等生の 側面はあったのだろうと思います。

 ただ 母親は心子に 厳しくしなかったので、

 典型的なタイプとは 言えないかもしれません。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする