「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

優等生の子供は危ない

2009年11月17日 20時13分51秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 境界性パーソナリティ障害の人が 育った家庭では、

 子供の欠点を責めたり、 否定したりしていることが 多いと言われます。

 本人の自信や尊厳を 奪ってしまう環境を、  「不認証環境」 と呼びます。

 一見して 横暴で気まぐれな 親の場合もありますし、

 逆に 極めて折り目正しく、 学歴や教養が 高い場合もあります。

 どちらも 親によって支配され、

 子供の気持ちが くみ取られないという点で 共通しています。

 親が与えた 否定的な評価は、 無意識に子供の中に 刷り込まれます。

 その子はいつのまにか  「失敗者」 の烙印を押されてしまいます。

 親の価値観に合った  「よい子」でも、 いつか 本当の自分を見つけようとし、

 親の価値観に則ってきたものが 壁にぶつかったとき、

 もっと大きな打撃を こうむることになります。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子の父親は、 心子の素質を見込んで、

 幼いときから 英語や礼儀作法、 社会の表と裏を 教え込みました。

 心子を 学校へはあまり行かせず、 家や実地で 教えましたが、

 学校のテストは 百点でなければ 目の前で破り捨てたといいます。

 父親を愛していた心子は、 父の愛情を得るため、

 完全なよい子である自分を 無意識に作り出したのでしょう。

 常に100%でなければ 父に褒められない,

 自分の存在意義が 見つけられないゆえに、 馬車馬のように頑張ってしまいます。

 でもそれは、 そもそもの 自然な自分ではありません。

 “仮の自分” を作り出して 一時を切り抜けたとしても、

 いつしか 何らかの問題にぶつかったとき、

 意識下に抑圧していた 矛盾が噴出してくるのです。