「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

萎縮した 自己愛を抱えている (2)

2009年11月07日 23時22分01秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
(前の記事からの続き)

 自己愛性パーソナリティ障害は 誇大自己が肥大しており、

 境界性パーソナリティ障害は 親のイマーゴが肥大しているのが 特徴です。

 境界性パーソナリティ障害の人は、

 抱えきれないくらい強大な 親のイマーゴに支配され、

 誇大自己は すぐにしぼんでしまいます。

 その結果、 自己愛は非常に不安定で、

 自分に対する評価も 否定的になり、 罪悪感を抱きやすいのです。

 沈みがちなのを 何とか浮き上がらせようとして、

 誇大自己を満たしてくれることに のめり込んだりします。

 或いは、

 親のイマーゴの理想願望を 満足させてくれる存在との関係に 救いを求めますが、

 親のイマーゴは巨大すぎて、 実際には 期待を裏切られてしまいます。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子の 「理想化された 親のイマーゴ」 は、

 言うまでもなく 父親から与えられたものでしょう。

 幼い心子にとって、 父親は絶対的で パーフェクトな存在だったはずです。

 父親も 心子を厳しく育て、 完璧を要求しました。

 心子は恋愛対象として 父親を理想化し、

 長じてからも それが完全無欠な 男性像となったのだと思います。

 男性に対して、 最初は理想化して 慕ったり依存したりしますが、

 すぐに期待外れになって傷つき、 怒り、

 失望して 立ち去っていくことになってしまいます。

 それは 僕に対しても繰り返されました。

 万全な理想像を押しつけられても、 それに全面的に 応えられるはずはありません。

 理想が高い分だけ 失意は大きく、

 心子は より苦しみ苛まれることに なってしまうのです。
 
コメント (4)
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