旧知の友人からこの映画の中心人物であった昭和のアナーキスト、奥崎謙三氏が亡くなったことを聞いてはじめて知った。ううーむ、そうかあ、でもまだつい最近まで生きていたんですね。
なぜ僕が感慨に耽っているかというと、実は初めて購入した映画DVDはたしかこの 『ゆきゆきて、神軍』 であったと思うからである。同時発売された故・金子光晴の生涯を綴ったドキュメンタリー映画の傑作 『全身小説家』 も合わせて購入しましたが(苦笑)。この原一男監督の映画をはじめて観た時はとにかく感動したというか、全身で圧倒されましたね。それだけもの凄いエネルギーが注入されている、正真正銘の入魂のドキュメンタリー映画だと断言して僕は構わないと思います。とにかくスゴかったとしかいいようがありませんし(笑)。
幸い、僕の周囲にはこの奥崎謙三的な人物は居ませんのでとりあえず助かっておりますが、昭和の時代にはまだまだこのような方は多くいたんだろうなあ~、今でもたぶんどこかに多く潜んでいるんだろうな~、端で傍観している分には構わないんだが直接的に関係してきたら相当面倒なことになるな(苦笑)というのが実感。日本人の根底に流れているなにやらドロドロしたものが垣間見られる、百聞は一見に如かずの作品とはまさに本作のことを指しているんだと思います。未見の方は是非一度ご覧あれ。DVD化もされていますので、探せばまだ入手可能かと思われます。最後に多機能不全で亡くなられた奥崎謙三氏に合掌...。
◎DVD 『ゆきゆきて、神軍』 (パイオニアLDC、PIBD-7008)
「神軍平等兵」過激なまでの追求、歴史に埋もれた真実とは
奥崎謙三 事件歴
昭和31年 不動産業者を傷害致死 懲役10年
昭和44年 新年皇居参賀で天皇にパチンコ玉を発射 懲役1年6カ月
昭和51年 天皇ポルノビラをまく 懲役1年2カ月
昭和56年 田中角栄殺陣予備罪で逮捕 不起訴
昭和58年 元ウエワク残留隊隊長の息子に発砲 殺人未遂等 懲役12年
監督:原一男、疾走プロダクション(1987年公開)
※こちらは2007年8月に再発された新装版DVDです。
でも、やっぱりオリジナル版のタイトル文字だけの方がおどろおどろしくて、僕は好きですね(笑)。