風に吹かれてぶらり旅

まっすぐに生きる人が好き

みやこごころに広い空

2012-03-10 17:43:57 | 徒然

 うわー、もう1週間経ってしまうんだ。

先週の日曜日、3月4日に皇居三の丸尚蔵館へ行った時のことを
書こう書こうと思ったまま、あっという間に1週間が過ぎようとしている。

やろうと思ったことはその時にやらないと
機会を逃してしまうんだなと、改めて思いました。

さて、久しぶりにPCでブログを書いています。
いやーーーーー、やっぱりいいですねぇ
文章全体のバランスをみながら書けるというのは。
言葉一つひとつを紡いでいるんだけど(私のはそんな立派なもんじゃないですが)
言葉で文章という絵を描いているような…
そんな感じ!


 さてさて、話はさかのぼって
先週の日曜日、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の絵を観に三の丸尚蔵館へ赴いたお話…。

結局、若冲の絵を観ることはできませんでした。
若冲の細密描写が光る『動植彩絵』は現在ワシントン・ナショナル・ギャラリーへの
展示準備中ということで渡米中なんだそうです、残念。

また、三の丸尚蔵館の展示スペースは想像していたよりもずっとこじんまりとしていた。
美術品の保管をメインにした施設なんですね。
1~2ヶ月ごとに展示内容を変えるようで、現在は皇后陛下美智子さまが育てている蚕や
絹織物について展示されていました。
(皇后陛下喜寿記念特別展「紅葉山もみじやま御養蚕所と正倉院裂ぎれ復元のその後」)

奈良時代の絹織物の復元のため、美智子さまがお育ての「小石丸」という蚕の糸が
最も適していることが分かり、その糸を使って復元をしているそうです。
実際の絹糸や復元した古代の装束などを観ることができ…
雅な時間を過ごすことができました。
なんといっても、入館無料ですからね。
貴重なものを観ることができて得をした気持ちになりました、が…
やはり、この日の目当ては若冲の絵です。
ひととおり展示を観終わり、若冲はどこにあるんだろう???と思いながら
三の丸尚蔵館の出入口に小さな売店があったので、そこで『動植彩絵』の一筆箋を買い、
売店のおばちゃんに思い切って聞いてみた。

「あのう…、若冲の『動植彩絵』は展示されていないんですか」

「え?はい、えーと、今はアメリカに貸し出されていまして日本にないんですよ。
戻ってきてもすぐには展示せずに、休ませる期間が必要で。
それにここのスペースには全部はとても展示できませんから、とても狭いですし。
最近ですと2009年、即位20年の記念の年に上野の美術館で行われた
『皇室の名宝展』で30点全部ばーっと展示されました。
それには行かれました?」

「いえ、『皇室の名宝展』がやっていたのは知っていたんですけど…」

「あら~そうですか。いやー30点全部並んだのは圧巻でしたよ。感動しました」


ガーン…


そうですか、滅多に観られないんですか。
そういえば…あの若冲の群鶏図、どこでみたかといえば上野駅構内の
「皇室の名宝展」のポスターだよ!

あ~~~~~~!

ハァ…

まぁ仕方ない。
2009年春、京都国立博物館で天皇陛下即位20年を記念した皇室ゆかりの美術品の展示を観た。
埼玉に帰り、上野の東京国立博物館でも「皇室の名宝展」があると知り
チラシを手に取り、ああ、行ってみようかなーと思った。
思った!そう思った時が行くチャンスだったんだよなぁぁぁ~~~!

うううっ。

その頃は若冲の存在も知らなかったし、仕方ない。
とにかく、滅多にお目にかかれない作品だということがよく分かりました。
次に観られる機会を逃さないようにしたいと思いました。


 そんなこんなで、拍子抜け~の日曜日の午後、
時間がぽっかり空いてしまったので皇居東御苑を少し散歩することにした。

3月といってもまだ肌寒く、曇り空で少し風があった。
ニット帽とストール、ロングブーツに膝まであるコートを着ても
袖口から入る風が冷たく、体が冷える。

でも、、、かつての江戸城本丸跡、今は石垣しかないだだっ広い空間は
とーーーーーっても気持ちよかったです。
オフィスビルが立ち並ぶ環境の中、
東京駅のすぐそば、都心にこれだけの屋外空間があるなんて信じられない。
空がとっても広かったなぁ…

お堀があって、石垣があって、門があって、坂道をあがって、くねくね曲がって
ひろーいお城跡に芝生が広がっている。
奥には天守台跡がある。

江戸城跡の風に吹かれて…
なんだかしみじみ。
ここに江戸幕府ひらいた、徳川家康の居城があったんだなぁ。
そして、歴史は単なる学校で教わる科目の「歴史」ではなく、今もこうして残っている。
今に至るまで、ずーっと繋がっている。
そして人は必ず肉体の終わりを迎え、それでも時代は流れる。

うーん、この巨大な城をつくった歴史上の人物も
この本丸跡に至る坂道の途中にあった、同心番所にいたお城を守る役の人も
そして後世こうして観光で訪れている私も…同じ人間だ。
それぞれが、それぞれ天から与えられた役割があって
私の役割はなんだろう?と考えてしまった。
そういうことを考えさせられる場所でした。

 そうやって物思いにふけりながら歩いていると…
一人の外国人の男性に声をかけられた。肌が白く、金髪で
ニット帽をかぶりiPadを片手にデジタル一眼ぽいカメラを首からさげた
少し背が高く体格の良いホビット族という感じの、平和で牧歌的な雰囲気の人。
(こんな表現でごめんなさい)

英語で「あなたの写真をとっていいか」と聞かれたので
いい気になった私はOKし、引きと寄りで何枚か撮ってもらった。
そうかそうか、外国の人にはこのジャパニーズビューティフェイスが分かるのかと
私はひとり微笑みを浮かべながら調子にのって被写体になっていた。

写真を数枚とると、その男性はiPad上の地図を見せながら
「ここへ行きたい。でも、入れない。どうやったら行けるのか」と聞いてきた。
宮殿へ行きたいようだったが、ここには参観申込みをしないと入れない。
私は英語を聞き取ることはできても、うまく話せない。
御所付近までなら、見学することはできるけど事前に宮内庁への予約が必要
ということを言いたかったのだが、
「ディス、キャッスル、ジャパニーズ、ロイヤルファミリー」としか言えなかった。
(この時私は、東宮御所が宮殿にあると思い込んでいた)
外国の男性は「イエース」と頷き、そうじゃなくて
ここに行ってみたいんだけど入れないんだ。どうやって行けばいい?としきりに聞いてきた。
やがて彼は諦め、「5分くらい時間ある?」と聞いてきたので
私が「NoNoNoNoNoNo」と全力で否定したら
「オーケー、サンキュー」と言って彼は去って行った。

断るにしても、もう少し言いようがあったのではないかと
自分の英会話力のなさに悲しくなった。
せっかく日本に来てくれたというのに…
日本のことを外国の人に紹介できるくらいの英会話力を身につけたいと思った日曜日なのでした。

あーでも楽しかった。
天気が良い日にまたお散歩しよっと。