風に吹かれてぶらり旅

まっすぐに生きる人が好き

夢を追う夢すら忘れて

2014-03-23 12:30:53 | 徒然
先日、『下町ロケット』を読み終えた。
昨年の暮れからずっと手元にあったのに、最初は中々読み進められなかった。
後から読み始めた『永遠の0』の方が早く読み終わってしまった。
なぜだろう?

下町ロケット、というタイトルで、ある程度ストーリーが想像つくからか。
それともその時によって、私の求めるものや興味が変化しているからなのか。
今の私にとって、この小説の内容は共感できることばかりだった。
半沢直樹の原作シリーズ『俺たちバブル入行組』『俺たち花のバブル組』のような
絶対絶命からの起死回生、勧善懲悪という池井戸潤の作風が、単純に好きなのかもしれない。

今の私に必要なのは夢だ。

今の私には夢がない。
夢を追うことを夢みていただけだ。
いや、それすらも忘れていた。

そりゃあ、無理にひねり出すことはないけど
あったはずだ。
ワクワクする気持ち、どんどん世界が広がって
思わず空を仰ぎたくなるような、深呼吸したくなるような
そんな気持ちにさせる何かが。

今はわかる。
一通り、これはやっといた方がいつか役立つかなとか、無難かなとか
ちゃんとした人に見られるとか
そうやって、本当に自分がやってみたかったことにチャレンジするのを
後回しにしていると、失敗が怖くなって、ずっと後回しにしたままになる。

そしてその臆病さが、一時の安定と虚無感を生む。
長い目でみたら今の失敗なんて小さなことなのに、結果を焦ってしまう。

『下町ロケット』は、そんな大切なことを思い出させてくれたのでした。

冬と春の間に

2014-03-04 20:24:37 | 徒然
先週の金曜日、
昼休みに会社の近くを散歩した。

暖かくて、抜けるような青空で
思わず外を歩きたくなったのだ。

街を歩くとさりげなく梅の花が咲いている。

一年に一度、この季節に梅の花が咲くなんて
毎年のことなのに、どうしてこんなにハッとするんだろう。

君たちはどうして咲いているの?
咲いてしまったら、あとは散るだけなのに
そしてまた一年間待って、咲いて、散る
その繰り返しに何の意味があるの?

思わず、そう問いかけたくなるくらい
梅の花は、冬と春の間にいつの間にか咲いて、散っていく。
その佇まいはまるで、自分の生命の役割を全て受け入れた
悟りの境地にいるようだ。

毎日決して同じことの繰り返しではないけれど
人から求められることは、決して嫌ではないけれど
やっぱり、時々分からなくなることがある。
このままでいいのかな?
ずっと時間に追われている調子が続くのかな?
この日々の繰り返しで、いつか年老いて、死んでいくのかな?

実は、分からなくなっていることすら
気付けなかったりする。

そんな時、美しい梅の花は教えてくれる。
止まらない思考の渦から引き離して、息継ぎをさせてくれる。

私も、美しい人でありたい。