風に吹かれてぶらり旅

まっすぐに生きる人が好き

うつむき歩く帰り道に

2006-03-17 01:51:19 | 出会い
 今日は朝はよく晴れ、午後から曇り、夕方から雨と強い風。

こうしてブログを書いていると、
びゅうびゅうと鳴る風の音、ザァァと降る雨音が聞こえる。

春の嵐、南風だ。家の中に春の匂いがする。
この強い風がどこからか入ってきたのだろうか。
花の香りとは違う、湿気を含んでほどよく暖かく、草木の芽吹きと太陽を感じさせるにおい。

 JR東海の京都キャンペーンのCMを観て、焦ってしまった。
美しい桜の季節がすぐそこまで来ている。
春を迎える準備はまだできていないのに。
でも、桜は一年間この季節をずっと待って準備してきたんだ。
こちらが春を迎える準備ができていようが、できていまいがお構いなく。

 そうやって一日は過ぎ、一年が過ぎていく。

今を大事にしなさいって桜が教えてくれている。
さっき玄関と廊下にほのかに薫る春の匂い感じてそんなことを思った。


 さて、昨日は一日空回り気味であった。
内装監理室での私の仕事は事務というけれど、雑用全般である。
たまに図面の打ち出しなどを頼まれるけれど、CADで図面を描くわけでもない。

 ただ、気持ちはいつも張っている。
気を利かせるには事務所のスタッフの人の先を読んでいなければならないから。
ファイルがこう整理されていれば見やすいはずだとか、
○時から打ち合わせだから資料を揃えておこうとか、
スタッフの人に聞く前に筋道だてて考えて分かることは考えてやってみる。
…なーんて、取り立てて言うまでもなく、ごく当たり前のことなんですが、これが焦って疲れて空回りしているとできなくなる。

 昨日はこれをやったぞ、という事務として建設的な仕事ができず、自己嫌悪に陥っていた。
うつむいてしまう時は、本当に下を向いたままになる。
頭を上げようと思ってもうつむいてしまう。

 大宮の駅に着いて、一ヶ月前までほぼ毎日通って基礎数学などを勉強していた喫茶店へ向かった。
すると思いがけず「ほんださん」と声をかけられた。

 声をかけてくれたのは去年の秋まで通っていたバイオリン教室の先生だった。
先生は、私の3歳上のお姉さんなのだがとても可愛らしく、品があり、落ち着いてて大好きな先生だった。
この先生だったから辞めたくなかったし、この先生だったからこそバイオリンを弾くのが楽しいと思えたのだと思う。

 先生は旦那さんの転勤の都合で今月いっぱいで辞めて九州へ行ってしまうらしい。
ショックだった。
でも先生はどこへいってもバイオリンを弾き、また九州でバイオリンを教えたり、
私のようにバイオリンを弾くのが楽しいと思わせる生徒をつくるんだろうなと思うと
羨ましくもあり、元気をもらう。

 全身黒のスタイルにバイオリンケースを抱えた先生の後姿はかっこよかった。
自分らしく生きている人の姿は凛としていてかっこいい。

私がバイオリンを始めるきっかけとなったのは、千住明の『世紀末の詩』という曲を聴いたことだ。
誰にやれといわれたわけでもなく、自分やると決めて始めたバイオリン。
そういう「自分で選んだこと」はこれからも大切にしたいと思った。
そう、今この道を選んで歩んでいるのは自分で選んだことだ。
疲れることも焦ることも、自分の責任。そうならないようにすればいい。

 出会いは何かを教えてくれるものだな。
喫茶店へ入って、少し気持ちを整理するために書き物をした。
うつむいていた顔がもとに戻った。

 ちなみに…ミーコの経過は順調で、今日抜糸をした。
 腸の調子も良いようだ。