道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

2013大回顧展(印象に残った美術展10)

2013年12月30日 | 美術道楽
今年も残すところあと2日です。
私も、自分の整理のため、今年見た美術展のうちお気に入りのものを挙げて行きたいと思います。
美術館に通う頻度があがるほど、それぞれの企画の良さや苦労もわかるような気がしてきまして、本当は私のような素人が美術展をランキングするなど僭越至極という気がします。また、病院や弁護士の業務などプロの仕事をランキングしたものは、多くの場合、実際の仕事についての技量が全く反映されす、単に大衆受けするものが上位に行くことになり、極めて皮相的な結果に終わり、有害無益なものとなっていますが、私が美術展を選ぶとそれと同様の根本的な誤りを犯すことになるかもしれません。
弁解ばかりでスタートしましたが、自分の感性で、自分の気に入ったものという基準だけで選びたいと思います。客観的な評価とあわないことがあることはご容赦下さい。

1位:ラファエロ展(国立西洋美術館)
この展覧会、本当に好きでした。もう何度行ったのかわからなくなる位に通いました。定期券があればいいのにと真剣に思いました。
「大公の聖母」何度見ても飽きませんでした。

2位:アンドレアス・グルスキー展(国立新美術館)
日本初の回顧展でした。ゲルハルト・リヒターとは正反対のアプローチで、絵画のような写真を楽しむことができました。写真の編集にはものすごいエネルギーを使うのだと思います。
展示方法、音声ガイドの音楽などもお気に入りでした。
今年は、その後、ドイツでも何度もグルスキーの作品を見ることができて感激です。

3位:フランシス・ベーコン展(東京国立近代美術館・千代田区北の丸公園)
一見するととっつきにくく、非常に神経質な画家のイメージが膨らみます。でも、独特の画法、反射するガラスの入った額縁に鑑賞者が映り込まれて作品と一体になる展示方法など、興味深く思われました。

4位:貴婦人と一角獣展(国立新美術館・港区六本木7丁目)
6枚の一角獣の作品群のみの展示(それ以外の作品もありますが)といっても過言ではないような展示の企画展でしたが、暗く大きく広がったスペースでこの作品群を見ていると何とも落ち着いた気持ちになりました。この空間にいたくて、ここも何度も通ってしまいました。

5位:特別展京都(東京国立博物館)
二条城の黒書院の一の間、二の間が本物のふすま絵で再現されているのが、圧巻でした。
また、全国から洛中洛外図屏風を集めてあり、比較しながら見ることができたのも大変に面白く思われました。

6位:アメリカン・ポップ・アート展(国立新美術館・六本木七丁目)
これもお気に入りの展覧会でした。アンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタインを中心にそのほか、ロバート・ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズなどコレクションの充実ぶりに目を見張りました。これらの作品群がすべて個人のお宅にあったというのは信じ難いことです。ウォーホルから個人的にプレゼントされたという小作品はメインの作品に優るとも劣らないほどいい作品でした。

7位: ル・コルビュジエと20世紀美術展(国立西洋美術館)
常設展スペースの中に置かれた展覧会でしたが、とても興味をひかれ、リピーターとなり3度も出かけてしまいました。ル・コルビジェの作品は正直なところ今ひとつでしたが、それ以外のレジェ、ピカソ、デュビュッフェの作品などが魅力的でした。

8位: エル・グレコ展(東京都美術館)
だいぶ前のことで忘れつつあります。まだ私は単身赴任中の展覧会ですので、ブログにも収録していません。受胎告知、マグダラのマリア、無原罪のお宿りなど作品が展示されていました。台湾、ハンガリー、スペイン(ティッセン=ボルミッサ美術館)などから展示作品が来ていました。

9位: 国宝 興福寺 仏頭展(東京芸術大学美術館)
木造彫十二神将図と仏頭が600年ぶりに再会するというコラボが良かったです。もっとも、仏頭も実は平重衡の南都焼き討ち後に興福寺が山田寺から略奪したものでした。

10位: ルーベンス展(Bunkamuraザ・ミュージアム)
こちらも単身赴任中でブログ再開前の展覧会なので,ブログ記事はありません。ティッツィアーノの模写の「毛皮をまとった婦人像」や「復活のキリスト」「ロムルスとレムスの発見」 「ヘクトルを打ち倒すアキレス」などが印象に残る作品ばかりです。



番外編
西洋絵画の流れ-ブリューゲルからピカソまで 特別展示ジゼル・ツェラン=レトランジュ(神奈川県立近代美術館・鎌倉別館)
私は、本当はこれを10位以内に入れたくて仕方なかったのです。神奈川県立近代美術館の鎌倉別館という小さな美術館での展示でしたが、とても気に入りました。ジゼル・ツェランの作品がまとまって公開されるのは日本では初めてということでした。
ライプツィヒ出身のマックス・クリンガーの版画もとても良かったです。

ポール・デルヴォー展(埼玉県立近代美術館)
シュルレアリズム大好きの私には大喜びの展覧会でした。デルヴォーの作品の幅というものも感じられました。

上海博物館 中国絵画の至宝(東京国立博物館)
こちらも、常設展の中に間借りした企画ながら、「清明上河図(せいめいじょうかず)」に匹敵するといわれる「閘口盤車図巻(こうこうばんしゃずかん)」など興味深く見ました。こちらも上位にランキングしてもおかしくない作品です。

LOVE展(森美術館)
愛をテーマに様々な作品が展示されていました。個々の作品もさることながら、作品の取り合わせを見ていることが興味深く思われました。

番外編の番外編
レオ・レオニ 絵本のしごと(Bunkamuraザ・ミュージアム・渋谷区道玄坂)
ねずみ属には興味が尽きません。
「ねずみが世の中で一番偉い」と嘘をついて結局、嘘がばれて逃げ惑うねずみの話など興味深いものがありました。ドイツのマウスに似ているフレデリックの表情も良かったです。

海外編(企画展のみ)
WELTENSCHÖPFER RICHARD WAGNER, MAX KLINGER, KARL MAY MIT RÄUMEN VON ROSALIE(Museum der bildenden Künste Leipzig)
ライプツィヒの造形美術館の「世界の創造者―リヒャルト・ワーグナー、マックス・クリンガー、カール・マイ―ロザリエによる空間とともに―」という訳のわからないタイトルの企画展です。結局、シュトゥットガルトで活躍中の光の芸術家ロザリエが、三者それぞれのイメージの作品で、光を使った芸術作品を各1作づつ造ったというだけのつながりのようでしたが、奇抜な取り合わせは面白く思いました。この美術展はドイツでも2013年に注目された企画展のようで、美術カレンダーにも日程が紹介されていました。

BODY PRESSURE(Hamburger Bahnhof Museum Berlin)
要するに様々な彫像の展示ですが、普通「彫像」とはいわないようなリアルな人物の模型あり、映像ありで様々です。

AUS DER SAMMLUNG:KUNST IN BERLIN 1933–1938(Berliniche Galerie)
1933年から1938年のベルリンの芸術展です。


今年いい作品に巡り会えたことに感謝しつつ、来年もいい作品を見たいと願います。