道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

ホフマン物語(新国立劇場・渋谷区本町)

2013年12月09日 | オペラ道楽
12月1日に新国立劇場でオペラ・ホフマン物語を見に行きました。
概要の紹介は末尾に掲げます。
ホフマン物語は、第4幕の「ホフマンの舟歌」で有名ですが、オペラとして通じてみるのは初めてです。「ホフマンの舟歌」自体は、アレッツォが舞台になった映画「ライフ・イズ・ビューティフル」をはじめ、耳にすることが多いのですが。



後の概要でも書いてありますが、ストーリーは詩人ホフマンと歌姫ステッラの物語を最初と最後に据え、その中でホフマンが3つの恋の物語を語り、それらがみな別々のようで1つの物語で、最終的にはステッラとの恋の物語につながるというような話なのですが、個々の話はともかく、全体としてはわかりにくく、とらえどころのない物語です。
でも、それはそれとして音楽、歌、舞台を楽しめばよいかと思います。
舞台の演出では、やはり第2幕目の人形オランピアとの物語がとても面白いです。衣装もど派手な色使いですし、歌だけでなく機械仕掛けの人形をうまく演じた幸田浩子の演技力に感心します。
第3幕目はあまり印象がなく、第4幕目のヴェネチアの娼婦ジュリエッタとの恋の物語は、やはりホフマンの舟歌がいいですね。ただ、いつも感じるのですが、オペラ以外にコンサートで聞き慣れている曲は、重装備でのオケの音楽に聞きならされているので、オペラ座で本来の形で聞くと、オケの迫力が乏しく感じてしまうのが難です。

役柄かもしれませんが、ホフマン、ニクラウス(ミューズ)とも印象が薄くなりがちで、3つの恋の物語それぞれでホフマンの相手役をつとめた日本人歌手が皆、大いに活躍していました。
今回、極めて久しぶりにフランス語のオペラとなりました。オペラはドイツ語とイタリア語が多いものですから。Aujourd’hui, Pourquoi, Voilàなどの単語は聞き取れますが、聞き取れるのはその程度でして、フランス語を使ってフランス旅行をするというのにはかなり実力不足とわかりました(これでもフランス語が第2外国語なのですが。)。

ホールの中のクリスマスツリー




【指揮】フレデリック・シャスラン
【演出・美術・照明】フィリップ・アルロー
【衣裳】アンドレア・ウーマン
【振付】上田 遙
【キャスト】
ホフマン:アルトゥーロ・チャコン=クルス
ニクラウス/ミューズ:アンジェラ・ブラウアー
オランピア:幸田浩子
アントニア:浜田理恵
ジュリエッタ:横山恵子
リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット:マーク・S・ドス
アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ:高橋 淳
ルーテル/クレスペル:大澤 建
ヘルマン:塩入功司
ナタナエル:渡辺文智
スパランツァーニ:柴山昌宣
シュレーミル:青山 貴
アントニアの母の声/ステッラ:山下牧子

【あらすじ】
第1幕(プロローグ):歌劇場の隣の酒場で、歌姫ステッラを待つホフマンは友人のニクラウス達に、三つの失恋物語を語り始める。
第2幕:オランピアは科学者スパランツァーニが作った自動人形。人形師コッペリウスに売りつけられた不思議な眼鏡をかけると、その人形が生きているように見え、すっかり夢中になったホフマンは愛を告白。ホフマンと狂ったようにワルツを踊ったあげく、オランピアはコッペリウスに壊されてしまう。ホフマンはこの時初めて、彼女が人形だったことを知る。
第3幕:楽器職人クレスペルの娘アントニア。名歌手だった母譲りの素養を持っていたが、胸を病み父親から歌うことを禁じられていた。しかし、悪魔のような医者ミラクルが亡き母親の亡霊を呼び寄せ、アントニアに歌うよう誘惑する。歌い続けるアントニアは、ついに死んでしまった。
第4幕:ヴェネツィアの娼婦ジュリエッタ。彼女は魔術師ダペルトゥットからホフマンを誘惑して影を盗めと命じられていた。賭けですべてを失ったホフマンは魂と命と影をジュリエッタに渡してしまう。恋敵シュレーミルと決闘して勝利するが、当のジュリエッタは下僕と駆け落ちする。
第5幕(エピローグ):酒場。数奇な愛の遍歴を語り終えたホフマンの元に、歌姫ステッラが現れるが、彼女の崇拝者である上院議員リンドルフと腕を組んで立ち去る。酔いつぶれたホフマンは詩の女神ミューズの幻影を見る。

おまけ
もう初台の駅にはクリスマスツリーができていました。