写真のLP、ユリア・ヴァラディ(ソプラノ)、ディ-トリヒ・フィッシャー=ディスカウ(バリトン)、ロリン・マゼール&ベルリン・フィルによるツェムリンスキー「抒情交響曲」作品18は思い返せば世界初録音盤だった。(独グラモフォンー2532 021 1981年デジタル録音)作曲者のツェムリンスキー(Alexander Zemlinsky/1871~1942)は当時オーストリア=ハンガリー帝国だったウィーンの生まれでシェーンベルクの義兄にあたる。また彼は「ウィーン・フォルクスオーパー」初代音楽監督や「プラハ・ドイツ歌劇場」の音楽監督も務めた人である。ちなみに当作品は作曲された翌年の1924年に自身の指揮でプラハで初演されている。曲は7つの楽章から構成されテキストはインドの大詩人タゴールの詩集からとられている。内容は平たく言えば男女の恋愛が語られている。当盤は鬼才マゼールの鋭い感性が伝わる名演でデジタル初期録音としても優秀だった。