私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

世界初録音盤ーマゼールのツェムリンスキー「抒情交響曲」

2015-08-21 13:25:15 | 交響曲

 写真のLP、ユリア・ヴァラディ(ソプラノ)、ディ-トリヒ・フィッシャー=ディスカウ(バリトン)、ロリン・マゼール&ベルリン・フィルによるツェムリンスキー「抒情交響曲」作品18は思い返せば世界初録音盤だった。(独グラモフォンー2532 021 1981年デジタル録音)作曲者のツェムリンスキー(Alexander Zemlinsky/1871~1942)は当時オーストリア=ハンガリー帝国だったウィーンの生まれでシェーンベルクの義兄にあたる。また彼は「ウィーン・フォルクスオーパー」初代音楽監督や「プラハ・ドイツ歌劇場」の音楽監督も務めた人である。ちなみに当作品は作曲された翌年の1924年に自身の指揮でプラハで初演されている。曲は7つの楽章から構成されテキストはインドの大詩人タゴールの詩集からとられている。内容は平たく言えば男女の恋愛が語られている。当盤は鬼才マゼールの鋭い感性が伝わる名演でデジタル初期録音としても優秀だった。

 

 


A.メリク=パシャーエフ&ボリショイ劇場管弦楽団の「悲愴」・「未完成」

2015-08-06 13:52:32 | 交響曲

 今日、紹介するグルジアの首都トビリシ出身の指揮者、作曲家アレクサンドル・メリク=パシャーエフ(Alexandre Melik-Pashayev,1905~1964)は日本はもとより西側諸国ではほとんどその名は知られてなかった。彼は地元のトビリシ音楽院で学んだ後レニングラード音楽院でアレクサンダー・ガウクの薫陶を受け1931年よりボリショイ劇場でオペラ指揮者となり、1953年には音楽監督に就任、以後10年間に渡り「ボリショイ・オペラ」の育成に努めた人である。また記録によれば1938年開催の「全ソ指揮者コンクール」で巨匠エフゲニー・ムラヴィンスキーに次ぐ「第2位」に輝いている。レコード録音はロシア・オペラ作品を中心に「ソヴィエト・メロディア」に数多く残しているが西側レーベルで出回ることはほとんどなかったと思う。写真のCD、「ボリショイ劇場管弦楽団」と入れたチャイコフスキー「交響曲第6番<悲愴>」(1960年モノラル録音)・シューベルト「交響曲第7番(旧・第8番)<未完成>」」(1962年モノラル録音)は2012年に「新生メロディア・レーベル」からリリースされた彼の貴重な管弦楽曲録音のひとつといえるだろう。ちなみに「悲愴」の音源はだいぶ以前に「独テレフンケン」からもLPで出ていたような気がする。録音も大変良好でどちらもじっくりと重厚で聴きごたえある演奏だ。(写真/ロシア・メロディアーMEL CD 10 02072)


ベイヌム&コンセルトヘボウの「シェエラザード」スタジオ録音盤

2015-08-02 12:36:56 | 管弦楽曲

 以前にエドゥアルド・ヴァン・ベイヌム&アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団によるリムスキー=コルサコフ交響組曲「シェエラザード」の1957年ライヴ盤(伊/MOVIMENTO MUSICA盤)を紹介した際(2013・4/26)「ベイヌムの当作品のスタジオ録音はなかったと思う」と記したがレコード棚の隅からすっかり忘れていた写真の同コンビによるスタジオ録音盤が出てきたので今回訂正しておきたい。(写真/国内盤EPIC-BOM1005)このLPは1957年にリリースされた「EPIC」最初期イエロー・レーベル、モノラル盤である。レコードの解説には録音年月日のデータは記載されてないが手元の資料等から1950年代中頃と推定される。久しぶりに針をおろしたが演奏スタイルはライヴ盤とほとんど変わりはない。またこちらのスタジオ・セッション録音も音質が大変すばらしいことも印象的だ。ソロ・ヴァイオリン当時のコンサート・マスター、ヤン・ダーメンのしなやかな音色にうっとりさせられる。

 

 

 


イェルジー・セムコフのチャイコフスキー

2015-07-29 15:14:23 | 交響曲

 先日もイェルジー・セムコフのワルシャワ国立フィルによるベートーヴェン交響曲第6番「田園」のライヴ盤を紹介したところだが今日は写真のチャイコフスキー交響曲第4番を取り上げてみたい。こちらもポーランド老舗レーベル「Polskie Nagrania」(ポルスキエ・ナグラニア)、通称Muza(ムザ)盤で現在では入手困難な1枚になっている。オーケストラはワルシャワの南に位置する工業都市カトヴィツェ(Katowice)に本拠を置くポーランド国立放送交響楽団である。レコードのデータによれば録音は1980年6月20日に本拠地カトヴィツェで行われている。演奏はおおむねオーソドックス・スタイルで派手さはないが幾分の渋味が魅力的だ。またジャケット・デザインもシンプルながら個人的には大変気に入っている。また余談だが彼はこの録音とほぼ相前後して「第5番ホ短調」も当レーベルに録音している。(写真ーPolskie Nagrania(MUZA)LP -SX2138ステレオ)

 

 

 

 


長時間収録LPレコード再考

2015-07-27 17:59:27 | その他

 過去に長時間収録国内盤LPをいくつか取り上げたことがあった思うが今日は海外盤から興味深い1枚を紹介したいと思う。写真は1970年前後にリリースされたフランス盤の長時間収録LPである。ジャケットに「Trimicron triple durée」とあるようにまさに超長時間カッティング・レコードである。ちなみにこのレコードにはチャイコフスキーの「交響曲第6番<悲愴>全曲と「弦楽セレナーデ」第1楽章が第1面に裏面には残り第2楽章ー第4楽章に加えて「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」全曲がおさめられている。参考までに収録時間第1面=56分44秒、第2面=53分14秒で合計109分58秒に及ぶ。私の長時間収録LPコレクションの中でも当盤が驚異的に長い。当時としてもLPの片面収録時間はせいぜい長くても25分~30分前後が一般的だった。詰め込めば詰め込むほど理論的にはダイナミック・レンジが縮小され音質も劣化することは当然のことだがこのLPは針が内周に進んでもほとんど音質に歪を感じさせないのがデジタル時代の現在も摩訶不思議である。

 Trimicron33T triple durée, LS14 STEREO録音 演奏データ:

 チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調Op.74<悲愴>指揮:E. Lindenberg ウィーン・フォルクスオパー管弦楽団 ・ 弦楽セレナードOp.48 指揮:A. Schulz 南ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団 ・ ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35 指揮:O. Maga  ニュルンベルク・フィルハーモニー管弦楽団  (録音年月日等 不詳)

 

 

 

            

 

 

 

 

   

  

 

 

 


スタニスラフ・ヴィスロツキのベートーヴェン

2015-07-25 19:55:50 | 交響曲

  スタニスララフ・ヴィスロツキ(1921~1998)はヴィトルド・ロヴィツキ(1914~1989)と並ぶポーランドを代表する指揮者だったが日本では西側でも活躍したロヴィツキの方が印象度も高い。というのもヴィスロツキのレコードの大半はポーランド・ムザ盤でリリースされており日本ではリヒテルとドイツ・グラモフォンに録音した名盤、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」(1959年録音)ぐらしか思い浮かばない。今回紹介する写真のLPは彼が「ポーランド国立放送交響楽団」と録音したベートーヴェン交響曲第1番・第3番「エロイカ」を収めた2枚組のポーランド・ムザ盤である。LPには詳細なレコーディング・データの記載がないので録音年月日等は不詳だがオリジナル・ステレオ録音なので彼がこのオーケストラの首席指揮者を務めていた1970年代後半から80年代初頭にかけてのものかと思われる。演奏はおおむねオーソドックス・スタイルのベートーヴェンで可も不可もない。LP2枚組のため第1面に交響曲第1番の第1楽章~第3楽章、第2面に第4楽章・「エロイカ」第1楽章、第3面に第2楽章、第4面に第3楽章・第4楽章とちょっと贅沢にカッティングされている。(写真/POLSKIE NAGRANIA, MUZA SX1822-23 2LP)

 


超個性的指揮者、シルヴェストリのチャイコフスキー/交響曲第4番

2015-07-23 21:45:00 | 交響曲

 ルーマニア、ブカレスト出身のちにイギリスに帰化した超個性的指揮者コンスタンティン・シルヴェストリ(1913~1969)については過去に名盤を何枚か取り上げたと思うがこのフィルハーモニア管弦楽団との「チャイコフスキー交響曲第4番」はやはり忘れることができない。(写真/国内盤LP-東芝ASC1002) 1957年2月ロンドン、キングズウェイ・ホールにおけるステレオ録音で同時並行して「第5番」「第6番」の録音も行われている。とりわけ、この「第4番」は冒頭のファンファーレからして聴き手がズッコケそうになるユニークなリズムが大変興味深くこのような演奏スタイルをとる指揮者は他に聴いたことがない。彼は1964年に来日しNHK交響楽団に客演、当時のプログラムをめくりながら思い起こしている。(写真・下)ちなみにこの「第4番」は公開放送収録で当時の旧NHKホールで取り上げている。(2012年「N響85周年記念ライヴ・シリーズ」CD化)

 

 

        

 

 


ジャン=ピエール・ジャキヤ&パリ管弦楽団「ラ・マルセイエーズ」

2015-07-11 16:38:29 | 管弦楽曲

 「パリ音楽院管弦楽団」を発展的に解消、あらたに「パリ管弦楽団」が創設されたのは1967年のことだった。シャルル・ミュンシュを音楽監督、セルジュ・ボドを常任指揮者に迎えミュンシュ門下のジャン=ピエール・ジャキヤ(Jean-Pierre Jacquillat)が当時副指揮者を務めた。今日紹介する写真のLPはおそらくジャキヤの「パリ管」デビュー盤と思われる。アルバムのタイトルは「LA MARSEILLAISE」(ラ・マルセイエーズ)で内容はフランス管弦楽名曲集である。タイトルのルジェ・ド・リール作詞・作曲のラ・マルセイエーズ」(フランス国歌)はベルリオーズ編曲版で演奏されアンドレア・ギオーのソプラノ、クロード・カレのバリトンに「パリ木の十字架少年合唱団」、「フランス国立歌劇場合唱団」が加わり壮大な演奏が魅力的だ。そのほか当時フルート首席を務めたミシェル・デボストのソロが印象的なドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」も素晴らしい。録音は1968年5月に行われている。このほか収録作品はシャブリエ/狂詩曲「スペイン」、デュカ/交響詩「魔法使いの弟子」、サン=サンース/「死の舞踏」、ラロ/「スケルツォ」が収録されている。指揮者のジャキヤは惜しくも1986年不慮の自動車事故で亡くなっている。(写真ー国内盤LP 東芝AA-8429、1969年発売)

 


NPO法人「龍ヶ崎ゲヴァントハウス」-夏の特別企画 ー (終了)

2015-07-09 15:23:40 | 余暇文化活動

 NPO法人「龍ヶ崎ゲヴァントハウス」から夏の特別企画のお知らせです。今回も皆様お誘い合わせのうえご来場ください。 

 今年の「夏の特別企画」は久々にNHKクラシック音楽番組サウンド・エンジニア、辻本 廉氏を特別講師にお招きし「FM長時間音楽番組の放送技術の移り変わり」(仮題)をテーマにしまして戦後放送された1952年の「バイロイト音楽祭」音源や1957年、カラヤン&ベルリン・フィル初来日公演音源等々を取り上げAM放送からFM放送移行期、さらにはステレオ化並びにデジタル回線導入に始まるハイテク技術までの変遷を「サウンド・エンジニア」としての氏の裏話も交えながら当時の音源に耳を傾けたいと思います。

                         (記)

  1.(期 日) 2015年 8 月 1日(土) 14時 ~ 16時15分 (休憩あり)

  2.(会 場) ショッピング・センター「リブラ龍ヶ崎」 2階 旧映画館(無料駐車場完備)

          茨城県龍ヶ崎市馴馬町字上米754

  3.(交 通) JR常磐線 佐貫駅下車 乗り換え、関東鉄道「龍ヶ崎線」-終点「龍ヶ崎駅」下車徒歩約5分

  4.(入場料)     無 料

  5.(特別講師) NHKクラシック音楽番組 サウンド・エンジニア 辻本 廉(つじもと きよし)氏

  6.(主な使用音源・予定) 

              ●1952年、最初にAM放送された「バイロイト音楽祭」におけるカラヤン指揮の

               楽劇「トリスタンとイゾルデ」から オリジナル音源CD

              ●1957年カラヤン&ベルリン・フィル来日公演から AMエア・チェック音源CD

              ●英デッカによる史上初の「バイロイト音楽祭」ステレオ録音から ヨゼフ・カイルベルト指揮

                                                       等々

    

   (「NPO法人龍ヶ崎ゲヴァントハウス」のオーディオ装置)

 

 

              

       

 

 

   

 

 


サー・マルコム・サージェントのホルスト/組曲「惑星」(1957年ステレオ)

2015-07-07 11:53:33 | 管弦楽曲

 写真のLPはイギリスの名匠、サー・マルコム・サージェントがBBC響首席指揮者時代1957年にステレオ録音したホルスト/組曲「惑星」の英EMIオリジナル盤である。(ASD269)彼はこの作品をすでに1954年にモノラルでロンドン響とも録音していたがステレオで取り直した当盤がやはり聴きごたえがある。ロンドンのキングスウェイ・ホールにおけるセッションで録音も秀逸、今聴いてもステレオ初期録音とは思えないほど各楽器群が鮮明に響く。国内盤は1990年代に一度CD化されたと思うがまた復活をのぞみたいところだ。