クラシック 名盤探訪

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とっておきの名盤 その95 ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調「運命」 作品67

2007年07月29日 | とっておきの名盤「交響曲」
吉田秀和氏は別として、私が数ある音楽評論家の中で、宇野功芳氏の存在を特に意識したのは昭和39年頃だから、もう40年以上はとうに過ぎている。
当時、音楽之友社から出していた雑誌「ステレオ」の増刊号「世紀の指揮者ブルーノ・ワルター」の中で、「指揮者として」というワルターについての氏の一文を読み、その説得力ある評論と言うかワルターに捧げる熱烈な思いに、胸を強く打たれたことを今でも覚えている。
氏の愛聴する曲とその名盤をエッセイ風にまとめた本、「名曲とともに」は私の特別の愛読書として、今でも所々のページを開きながら音楽に耳を傾けている。
その中で紹介されたレコードの幾つかが、ここで紹介している「とっておきの名盤」に入っているのも、私が氏の演奏感に共感する証となっていると思う。
ところでこの「運命」のレコードだが、私がこの曲をこう演奏して欲しいと願っていることを、隅から隅まで実現してくれているのが何とも嬉しい。
アマチュアであるからこそ思い切ったことが出来るとはいえ、第四楽章のフィナーレの、あっというようなリタルランドの中でのティンパニの炸裂は特に印象的だ。
現在、入手が難しいかも知れないが、「運命」が好きな方には何としても聴いて欲しい一枚。
ベストファイヴを挙げる、上位3枚は同列としたい。
・カルロス・クライバー指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 <Grammophon>
・オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団 <EMI>
・宇野功芳指揮、アンサンブルSakura <FONTEC>
・ハンス・クナッパーツブッシュ指揮、ヘッセン放送交響楽団、1962年 <TAHRA>
・ウイルヘルム・フルトヴェングラー指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団、1947年 <Grammophon>