毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

横浜ウォーカー2

2009年07月17日 21時14分31秒 | 観光

 幕張とか横浜のこの辺とか、結局おんなじような景色の中、パシフィコ横浜の前を通って赤レンガへ。この日はパシフィコでコスプレの大会があったらしく、普段見ないような服装と髪の色をした人たちがわんさかいた。亜麻色はあっても、青い髪は普段見ないよね。でも、ぼくは、実は「亜麻色」って何色なのか知らない。
 停まっているバスは「あかいくつ」号。昔、ここに女の子と二人でやって来た時、ちょうど全国物産展をこの広場でやっていた。いろんなのを買い食い買い飲みして二人でニコニコしていたのに、イナゴの佃煮を嬉しそうに買ったら思い切り引かれた。妻もバッタなんて食べるなんて(イナゴだよ、バッタじゃないんだ)信じられないと言うが、蜘蛛を食うきみに言われたくない。


 なにやらかけ声がするので振り向くと子どもたちが運河でボートの訓練。
 子どもの一生懸命感って、大人を振り向かせるに十分値する。一生懸命ボートを漕ぐ子どもたち。一生懸命走っている子どもたち。一生懸命粘土細工に没頭する子どもたち。ちょっと想像してみて、どれもいい。一生懸命立派な区議会議員になるために選挙のときに妻ともども回れるよう自転車に乗る練習をしている子どもたちとか、そういうわれわれが抱く「子どもたち観」をくつがえしてくれるような子どもたちなんかも、なんだか応援したいくらいだ。彦星を暗殺するために、一生懸命、三ヶ月を研ぎ澄ませてる子どもたち、とか。

 いつの間にかできていた象の鼻とかを通り、山下公園へ。
 ああ、懐かしいねえ。来たよ、ここ。なんだか、とりあえずデートに横浜に来るっていうのは、たぶん、大阪市の人間がデートで神戸に行くような感じなのかもしれない。その半端な距離感でありながら、自分のテリトリー外の不思議な感じ。だって、東京北部の人間にとって、横浜は遠いよ、半端に。そのくせ鎌倉まで行くのであればリュック背負っても不思議はないんだけれど、横浜だとそういうわけにもいかなくて、みたいなそんな距離感(大阪の人だと鎌倉の距離感ってどこだ、明石か、あ、そうか京都か、まさに。でも神戸と京都って同じくらいじゃないのか。すみません、大阪換算できませんでした)。


 山下公園横の横浜ニューグランドホテル。ナポリタンスパゲッティの日本発祥の地。でも、さすがにここではケチャップではなく、トマトソースを使ったソースで提供していたという。ケチャップってドイツ系アメリカ人のハインツくんが発明したわけで、イタリアンじゃなくてアメリカンだもんね。前に神戸のジャズクラブでパスタを頼んだら、ケチャップの味がしてびっくりした。で、ああそうか、アメリカンだからか、と。なら、タバスコなんか出てきてもいいかな。
 ここのレストランに若い頃背伸びして入ったことがあった。でもね、ぼくは思うんだけれど、ほとんどすべてのことは模倣から始まるわけで、紳士ぶったり、インテリぶったりしているうちに、それがいつの間にか身に付くようになって大人になっていくんじゃないか、と思う。毎週、週末ノーパンで自転車乗ってる人間に紳士とか言われたくねえよという意見があるのはわかってるよ。


 横浜ポートタワー。
 びっくりした。リニューアルしてんじゃん!
 ぼくが行った頃(前世紀だよ、もちろん、それも90年代とかじゃなく)には、なんだかあか抜けない、どうにもならないような施設だった。凡庸が作った料理を退屈が運んで来るようなレストランで食事をした覚えが二、三回ある。

 神奈川県に住んでいる彼女に誘われて横浜に行ったのに、彼女は横浜を知らず、ぼくは同じ県なんだから、彼女がコーディネートしてくれるんだろう、と何も知らないまま、横浜に出かけた。毎日ひげ剃りなんかしなくても、ぼくのあごがまだきれいだった頃、親と中華街に行ったことはあったけれど、それ以外では初めての横浜。山下公園でこの先どうしようかと二人とも途方にくれてしまった時、なんだか楽しくなってしまったのを覚えてる。だって、何も知らない二人がここにいるってすごいじゃないか! ぼくたちは、歩く一歩ごとに新しいものを下準備も何もなく感じられる。
 「ねえ、あそこに気取ったホテルがあるから、懲らしめのためにもそこで夕飯食べよう」
 なんだか知らないけれど、彼女は大笑いした。
 それ以後、その言葉は彼女の中に長く残っていて、笑いとともに、「いったい何をこらしめたかったの」と突っ込まれることも何回かあった。照れ笑いで、ヘヘ、何だろうって言ってたけど、でも、実は、ぼくはいまだに何をこらしめたかったのかわかっていない。懲らしめたいって、強いて言えば、「全体的に」だ。
コメント
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