亡くなった杉浦日向子さんを中心に編まれた「ソバ屋で憩う」(いま手許にあるのは新しい版の「もっとソバ屋で憩う」だが)という、ソバ屋さん好きのバイブルみたいな本がある。
いろんな名店が紹介されているのだが、その中でも冒頭を飾る「特撰五店」は杉浦日向子さんとソ連(ソバ好き連)が特別に大事にしているお店。
並木藪蕎麦。ここの辛つゆと樽の菊正と午後に流れる時間がいいんだよねえ。
室町砂場。蕎麦も素晴らしいが、仲居さんたちの客あしらいがまた見事。
鞍馬。忘れもしません。杉浦日向子さんにほほえみかけられたお店です。
傘亭。ぼくがソバ屋さん巡りを始めたきっかけになったお店。ご主人との一対一の緊張感がたまりません。
と、4つのお店には行ったのだが、残りの1軒はなんと山形。なかなか行く機会がなかったのだが、今回山形を旅するわけでこれは是非詣でて来なくちゃ。
お店の名前は「萬盛庵」。
「もっとソバ屋で憩う」をひもといてみよう。
「出されたソバは、水切れのよいキリリとした、見るからに小粋な細麺。つゆも熟成のまろみのある辛口。まさに江戸前だ」
「ソバは、幾星霜連れ添った古女房以上に、あうんの連係プレーの完成した、地元製粉所に委託した地粉を、手ごね機械打ち。江戸前ののどごしを重んじて、小麦粉を、一、二割、そのときのソバのコンディションにより、九一、外二、二八の間で微調整する」
期待できる。いや、なにしろ神楽坂の「たかさご」ですら入らない特撰五店である。期待できないわけがあるまい。
山寺から車で山形へ戻り、いよいよ念願の萬盛庵へと突入。
土曜日の正午チョイ前。
ガラス戸を開けると客は誰もいない。おお、口開けのお客さんである、わたくし。
ソバを注文して、庭を眺める。
しばし待たされて来たのがこれ。せいろの上に4つの小山になって乗っている。
細打ちで、星がきれいに入っていて、見るからにうまそうである。
一口すする。
うそ。
無言ですする。
残しても仕方がないので、どしどしすする。
ゆで時間を間違えたのか、茹でてからおいたのかわからないが、コシがまるでない。当然喉ごしだってよくない。どっちを食べるかと言われたら、しまだやの流水麺を選ぶ。
食べ終わる。時間は正午を回っている。客は相変わらずぼくだけ。
何かが変わってしまったのだろうか。
いろんな名店が紹介されているのだが、その中でも冒頭を飾る「特撰五店」は杉浦日向子さんとソ連(ソバ好き連)が特別に大事にしているお店。
並木藪蕎麦。ここの辛つゆと樽の菊正と午後に流れる時間がいいんだよねえ。
室町砂場。蕎麦も素晴らしいが、仲居さんたちの客あしらいがまた見事。
鞍馬。忘れもしません。杉浦日向子さんにほほえみかけられたお店です。
傘亭。ぼくがソバ屋さん巡りを始めたきっかけになったお店。ご主人との一対一の緊張感がたまりません。
と、4つのお店には行ったのだが、残りの1軒はなんと山形。なかなか行く機会がなかったのだが、今回山形を旅するわけでこれは是非詣でて来なくちゃ。
お店の名前は「萬盛庵」。
「もっとソバ屋で憩う」をひもといてみよう。
「出されたソバは、水切れのよいキリリとした、見るからに小粋な細麺。つゆも熟成のまろみのある辛口。まさに江戸前だ」
「ソバは、幾星霜連れ添った古女房以上に、あうんの連係プレーの完成した、地元製粉所に委託した地粉を、手ごね機械打ち。江戸前ののどごしを重んじて、小麦粉を、一、二割、そのときのソバのコンディションにより、九一、外二、二八の間で微調整する」
期待できる。いや、なにしろ神楽坂の「たかさご」ですら入らない特撰五店である。期待できないわけがあるまい。
山寺から車で山形へ戻り、いよいよ念願の萬盛庵へと突入。
土曜日の正午チョイ前。
ガラス戸を開けると客は誰もいない。おお、口開けのお客さんである、わたくし。
ソバを注文して、庭を眺める。
しばし待たされて来たのがこれ。せいろの上に4つの小山になって乗っている。
細打ちで、星がきれいに入っていて、見るからにうまそうである。
一口すする。
うそ。
無言ですする。
残しても仕方がないので、どしどしすする。
ゆで時間を間違えたのか、茹でてからおいたのかわからないが、コシがまるでない。当然喉ごしだってよくない。どっちを食べるかと言われたら、しまだやの流水麺を選ぶ。
食べ終わる。時間は正午を回っている。客は相変わらずぼくだけ。
何かが変わってしまったのだろうか。