風神・雷神図屏風展 出光美術館(~10/1)
キュレーターの解説、アイデアが秀逸な展覧会。
あまりにも有名な俵屋宗達の「風神・雷神図屏風」(教科書にも載っていたけれど、改源の「風邪ひいてまんねん」も有名か)。
それを模写した尾形光琳、酒井抱一、合計3つを展示。これを面白くしていたのが、キュレーターによる風神・雷神各パーツの比較。形や味、絵の具のノリなどを拡大、比較したもので、3つ見比べたあと、これを見てからもう1度見ると面白い。
あとになるにつれ、神のもつ猛々しい獣性が薄れ、より人間らしく、そして剽軽な風情を見せていく。それはまるで、神が次第に人間に堕落していく様を見るようで感慨深いものがある(もっとも酒井抱一は光琳をオリジナルと思っていて、俵屋宗達を見ていない、とのこと)。
しかし、それは単なる低級なものへ移行する俗化だと言い切れるだろうか。ぼくはそこに何か新しい時代を開こうとする酒井抱一の意志のあらわれを感じるのだ。同時に展示されていた抱一の有名な「夏秋草図屏風」はもともと尾形光琳の「風神・雷神図屏風」の裏に描かれていたのだ。「夏秋草図屏風」の色のノリや使い方とセットで「風神・雷神図屏風」は考えるべきであると思う。すると新しい絵画様式である江戸琳派の誕生をそこに見ることができるのではないか。まあ、そうは言うものの、確かにおなじ抱一のものでも「秋草図屏風」の方が遙かによいものだとも思うのだけれど。
それにしても、人が多かった! あとで調べてみたら、NHKの日曜美術館で取り上げられたとのこと。