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ダニエル・ハーディング

2006年04月06日 22時33分32秒 | 音楽


 明日が本番だと言うのに、前日のリハーサルでモーツァルトやベートーヴェンとの違いについてオーケストラ団員に話している。曲はマーラーの交響曲第2番。奏法が違うんだ、というようなこと(なにしろ彼は客席にいるぼくたちに背を向け、団員に向かって喋っているから、聴き取るのが難しいのだ)を話している。前日にそんな基本的な指摘を!?
 主に弦楽器に対して注文をつけながら、第一楽章のリハーサルが進む。しかし、その注文のたびに、確かにいい感じになっている。音がうねり始める。
 翌日の本番を控えた4月5日、オペラシティで行われたダニエル・ハーディング指揮東京フィルの公開リハーサル。初めて職業オーケストラのリハーサルを見て、いろいろ興味深いものがあった。
 しかし、それにしても、ハーディングの指揮したマーラーの音のうねり、爆発、これらはすごいもので、ぼくらが学生時代、額に皺を寄せて語られたような「ユダヤ人としてのマーラー」であるとか、「世界中から歓迎されない異邦人としてのマーラー」と言った側面は一切なく、その楽譜の持つエネルギーを解放していくような演奏だった(ぼくはだから、若い頃マーラーが嫌いだったのだ。純音楽的じゃない気がして。今でもそうだが、ぼくのヒーローはバッハとドビュッシーだ)。
 レヴァインのマーラー演奏がもたらしたショックに近いかもしれない。
 嫌う人もいるかもしれないが、ぼくはその姿勢にスコアからすべてを引き出そうとする強い意志を感じて好ましく思った。
 メンデルスゾーンがユダヤ人であるからといっても、そこにユダヤ人ならではの感情をこめてフィンガルの洞窟を演奏する者はいないだろう。マーラー演奏も一歩ずつそこに近づいているのではないだろうか。
 さて、今日4月6日がオペラシティでの本番。リハーサルでぼくの聴いたのは1楽章のみ。全体はどうなったのだろうか、すごく興味津々。ぼくの行くのは8日の文京シビックホール。
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