毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

旅への誘い

2005年11月01日 16時00分07秒 | 観光
 「旅は本来定住生活の中で澱んできた身辺を洗い直し、目に見えない絆で結ばれている人間と人間との関係を再確認するための修行なのであって、日本だけでなく、ヨーロッパにおいても旅は生命を賭けた行為なのであった」(阿部謹也「中世の星の下で」)

 「なぜなら、現実の世界の塵のなかに魔法の砂のまじる日、日常生活の卑俗なある出来事がふとロマネスクな世界への発条となる日、そんな日を除いては、生存はほとんど興味のないものだから」(マルセル・プルースト「花咲ける乙女たち」)

 そして旅とは定住から離れ、狂気と接近する行いでもあった。謡曲「隅田川」でなぜ母は狂女のフリをしなくてはならなかったか。旅とは卑俗な日常に一点非日常という突破口を開け、惰性や慣習で染まりきった生を、もっとリアルに生き生きとよみがえさせてくれるものである。非日常に迫るため、あるときは狂い、あるときはロマネスクな世界に酔う、そしていずれにしても、命がけの行動なのだ。
 しかし、最近旅に出ていないような気がする。10月に出かけた最遠の地は昭和記念公園(都内じゃん)。確かに日常を観光しようというブログの趣旨にはあっているのだが、寂しい。
 旅に出たい。
コメント
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