エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

落葉松の神秘

2009年11月15日 | 日記
北原白秋の詩は、見事に韻を踏んでいる。




     からまつ
                北原白秋

   からまつの林を過ぎて、
   からまつをしみじみと見き。
   からまつはさびしかりけり。
   たびゆくはさびしかりけり。


   からまつの林を出でて、
   からまつの林に入りぬ。
   からまつの林に入りて、
   また細く道はつづけり。


   からまつの林の奥も、
   わが通る道はありけり。
   霧雨のかかる道なり。
   山風のかよふ道なり。


美しい韻である。
あまりに美しすぎてぼくは歌にならないと思った。

八ヶ岳の麓はいま、秋と冬の攻防戦・・・陣取り合戦が熾烈を極めている。
それだけに空気も色も美しすぎる。




       落葉松の秋

     落葉松の秋は過ぎ行く日々
     落葉松の秋は来る明日への希望の灯
     落葉松の秋は明日への架け橋

     男が泣く時
     男の胸は美しき愛情で膨らみ続けている
     砕け散るような胸の熱さは
     痛みを分かち合うことのない
     落葉松の潔(いさぎよ)さ

     落葉松の林に入りて出ずる
     ああ
     そはぼくの愛する彼岸への旅立ち
     さらば
     ぼくの愛する落葉松の小道よ
     その細やかな小道をくぐり抜け
     豊かな人に辿りつかん

     落葉松の秋は来るべき
     夢の日々
     ぼくの胸は張り裂け続ける
     張り裂け続けても

     ぼくは生き続けるのだ
     次の年も
     また次の年も
     ぼくは金色の絨毯を踏みしめるのだ
     と言おう

     次の年も
     そのまた次の年も
     ぼくは愛する人と
     金色の絨毯を踏みしめたいのだ





冬を前にして、もう八ヶ岳の麓の陽だまりでは木蓮の芽が膨らんでいた。
希望の真綿で包まれていた。



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                     荒野人


落葉松の林は金色に輝く

2009年11月15日 | 日記
おはようございます。
朝焼けの八ヶ岳麓から・・・。
これから東京に向け帰路へ。
中央高速がスムースでありますように!


落葉松の林は金色に輝く

北原白秋の詩はあまりにも有名である。
ほかにも何人もの歌人や詩人が歌っている。
歌手では鮫島由美子が歌い、日本歌曲の代表的旋律を産んでいる。
落葉松の秋というセンテンスも素敵である。



ぼくは歌人でもなく、詩人でもない。
ましてや歌手でもないのである。



今日雨上がりの午後のひと時、落葉松林の道を歩いたのである。



落葉松の紅葉した落ち葉が絨毯を編み上げた。
その上にモミジの葉っぱがデザインをほどこしたのである。
その艶やかさにぼくは嫉妬した。

やはりというか当然というか、自然の意匠は優れている。
天才的ひらめきを瞬時に現すのである。
自然には畏怖するのだ。



夕焼けが澄み切った空気をスクリーンのように赤く飾った。



息を呑むほど見事であった。
ぼくは落葉松となって秋の天空に駆け上がりたかった。



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