エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

こんにゃく版を使って

2009年11月18日 | 日記
こんにゃく版を使って印刷してみたいものだ。
かつては丸善がこんにゃく版のセットを販売していた。



これは丸善のシールである。
PAPYROGRAPHと印字され、印刷機と書かれている。

こんにゃく版の原理はこうである。

まず底の浅い箱状の器にゼラチンを流し込む。
次に、濃度の高い染料インキで紙に文字を書き、この紙をゼラチン面に当てて、ゼラチン面にインキを転写する。
ここに印刷用紙を乗せて軽く押さえると文書が複製できる。
条件がよければ数十枚の複写ができたのである。

この理屈で言えば、コピー機のようなものである。

ゼラチンが緩ければ、淡い絵画のような印象の意匠がコピーできたという。
例えば、こんな夕景の空には最適である。



理屈さえ合っていれば、ゼラチンでなくカンテンでも印刷できたというのである。
いまこのこんにゃく版で印刷したら、きっとお洒落であろうと思う。

もう一度理屈を言えばこうである。



これは丸善のこんにゃく版の取扱説明書の解説図であると思われる。
面白い印刷方法である。

コミュミティーの狭かった時代の、優れたツールであったことは言を待たない。

ぼくが学生時代は「ガリ版」だった。
ガリ切り3年などと言われたものだった。
学生運動の朝ビラは、このガリ版で書き、印刷した。
大体1枚のガリで500~600枚印刷した。

印刷機械の発展は、人のコミュニティーの広さが大いに影響していると思う。
いずれにせよ、人の工夫は楽しいのである。



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枯れススキの歌

2009年11月18日 | 日記
高原のススキはもう枯れている。
枯れたススキは、銀色の穂を逆光の中でキラキラさせているのである。
ふっくらとした穂先は、あらゆる出来事を吸収する。



魔法の穂先である。
森羅万象、内部で棲息する魑魅魍魎、あらゆる形の在るものが吸い込まれるのである。
宇宙のブラックホールを地球上で体現しているとも言える。

ここから新しい生命体が産まれるのである。



ぼくはススキに「わび」を感じるのである。
「わび」とは、新たなる感性の覚醒を促すと信じているのである。

日本の伝統的な感覚として喧伝(けんでん)されるけれど「違う!」と言いたいのである。

ぼくは「わび」が空間の覚醒であると言いたいのだ。
空間からしか、新たなる生命は誕生しない。
そのフレキシブルな受け止めこそ、ススキが促すものである。



高原のそこかしこに穂を揺らせている風情は、決して虚しいものではない。
新たなる生命の誕生を予感させる風情である。



東京の我が家の近くのススキは、まだ枯れていない。
秋が深まる前に冬になってしまうのだろうか。




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