対照的なふたりの人物を描くことでドラマを作るという手法を「プリマダム」第2話から学びました。
万田佳奈(黒木瞳)は家の都合でバレエは続けられなかったけど、お母さんとして幸せ。
倉橋嵐子(中森明菜)はバレエで成功したが、息子の遥生(中島裕翔)は反抗し彼女自身も余命幾ばくもない。
このふたりが交錯する。
このシーンのシナリオが実に見事です。
遥生のことで話をするふたり。
佳奈「遥生くんって素直でいい子ね。バレエも好きみたい」
それに嫉妬する嵐子。
遥生が自分に見せているのと反対の顔を佳奈に見せているからだ。
嵐子は返す。
嵐子「あなたに遥生の何がわかるのよ」
佳奈は「そうよね」と素直に謝る。
気持ちが収まらない嵐子は佳奈がお遊びでバレエを再び始めたことを非難する。
嵐子「バレエを始めたってどういうことよ。途中で昔、逃げ出したくせに。みっともない。やめなさいよ」
嵐子「あたしは死ぬほど努力したわ。中途半端な気持ちでやらないで」
この嵐子に対して、佳奈はあくまで自然体だ。
嵐子に言われてその通りだと思うし、別に嵐子を言い負かそうとも思っていない。
佳奈は自分の気持ちを正直に述べる。
佳奈「誰かに見てもらいたいからやってるんじゃないの。自分のためにバレエをしたいの。結婚して自分のために何かをしたいと思ったことって初めてなの」
佳奈は今の自分に満足しているから強い。
逆に強そうでつっぱっている嵐子が実はもろい。
嵐子は佳奈がいなくなって、自分の本音を吐露する。
嵐子「遥生ために何をしたらいいの?私には時間がないの」
嵐子の心の揺れ動きが的確に描かれていて実に見事なシーンですが、同時に視聴者の気持ちも見事に揺さぶっています。
1.自分の知らない遥生の顔を佳奈が知っていることで嫉妬する嵐子。
(※視聴者は嵐子、可哀想という気持ちに)
2.佳奈がバレエをすることを非難する嵐子。
(※視聴者は嵐子、嫌なやつという気持ちに)
3.佳奈が自分の気持ちを正直に述べて言い返せない嵐子。
(※視聴者は嵐子、ざまあみろという気持ちに)
4.自分の死を前に自分は遥生に何をしたらいいのと心情を吐露する嵐子。
(※視聴者は嵐子、可哀想という気持ちに)
おそらくは5分ぐらいのシーン。
その5分にこれだけの気持ちの振幅を入れられるドラマ作りは実に見事です。
この5分間を描くために、ファーストシーンからのすべてのやりとりを描いたというドラマ作りでした。
シナリオはやはり計算なんだと思いました。
また、何かを得れば何かを失うのが人生。
バレエを得て家庭を失った嵐子と家庭を得てバレエを失った佳奈。
その対比もよく描かれていました。
★研究ポイント
構成の仕方
★キャラクターデザイン研究:万田佳奈
彼女は実にいいお母さんだ。
夫には無理を言われ、娘たちは全然自分を手伝わなくても、受け入れている。
「しょうがないわね」と言いながら。
自分の拠って立つ場所が家庭であることを知っているのだ。
だから、こういう発言が出る。
「バレエをやるためには、家のことをちゃんとやらなくちゃ」
今までのお母さんなら、家庭のせいで自分の人生を台なしにされたと悩む。
だが、佳奈にはそれがほとんどない。
娘からは「ママって家族のメイドみたいだよね」と評されるが。
逆に嵐子は「あなたはいいお母さんなんでしょうね」と佳奈に皮肉を言う。
また、佳奈はすごくいい人だ。
パートを遅番にしてくれと言っても断らないし、青葉笑子(神田うの)の起こすトラブルにも仲裁に入る。
遥生には、あまり物言わぬ嵐子の気持ちを代わりに言ってあげる。
★名セリフ
バレエをやっていることが娘にばれて娘が言う。
「家族のメイドみたいなママより、好きなことをやってるママがいい」
※子供の時、貧乏でバレエをやめたことを娘が知ったせいもあるが、佳奈が家庭のことをしっかりやっているから、娘もこんなことを言ってくれる。
佳奈、娘に
「ダラダラしてないで、何かしなさいよ。やってみたいことないの?」
※自分にやりたいことができたから言えるせりふ。
自分には時間がなくてバレエができないのに、時間のある娘たちが何もしないのは歯がゆいのだ。
嵐子、秘書に
「私は友だちなんていらないの。私はバレエに愛されたから」
※恐らく嵐子はこう言い聞かせて今までの人生を歩んで来たのでしょう。すごく孤独なせりふです。
★名シーン
夫が7時に会社の人間を家に連れてくる。
佳奈と娘2人は協力し合って、その準備をする。
※人と人とが連帯し合うシーンというのはいいもの。
娘たちは佳奈に強制されてやっているのではない。
バレエをやりたいのにその気持ちを抑えて家庭のために一生懸命な佳奈の姿に感激したから手伝っているのだ。
このシーンの3人は実にイキイキとしていた。
★ディティル
バレエを始めた佳奈、アイロン掛けの姿勢もよくなる。
万田佳奈(黒木瞳)は家の都合でバレエは続けられなかったけど、お母さんとして幸せ。
倉橋嵐子(中森明菜)はバレエで成功したが、息子の遥生(中島裕翔)は反抗し彼女自身も余命幾ばくもない。
このふたりが交錯する。
このシーンのシナリオが実に見事です。
遥生のことで話をするふたり。
佳奈「遥生くんって素直でいい子ね。バレエも好きみたい」
それに嫉妬する嵐子。
遥生が自分に見せているのと反対の顔を佳奈に見せているからだ。
嵐子は返す。
嵐子「あなたに遥生の何がわかるのよ」
佳奈は「そうよね」と素直に謝る。
気持ちが収まらない嵐子は佳奈がお遊びでバレエを再び始めたことを非難する。
嵐子「バレエを始めたってどういうことよ。途中で昔、逃げ出したくせに。みっともない。やめなさいよ」
嵐子「あたしは死ぬほど努力したわ。中途半端な気持ちでやらないで」
この嵐子に対して、佳奈はあくまで自然体だ。
嵐子に言われてその通りだと思うし、別に嵐子を言い負かそうとも思っていない。
佳奈は自分の気持ちを正直に述べる。
佳奈「誰かに見てもらいたいからやってるんじゃないの。自分のためにバレエをしたいの。結婚して自分のために何かをしたいと思ったことって初めてなの」
佳奈は今の自分に満足しているから強い。
逆に強そうでつっぱっている嵐子が実はもろい。
嵐子は佳奈がいなくなって、自分の本音を吐露する。
嵐子「遥生ために何をしたらいいの?私には時間がないの」
嵐子の心の揺れ動きが的確に描かれていて実に見事なシーンですが、同時に視聴者の気持ちも見事に揺さぶっています。
1.自分の知らない遥生の顔を佳奈が知っていることで嫉妬する嵐子。
(※視聴者は嵐子、可哀想という気持ちに)
2.佳奈がバレエをすることを非難する嵐子。
(※視聴者は嵐子、嫌なやつという気持ちに)
3.佳奈が自分の気持ちを正直に述べて言い返せない嵐子。
(※視聴者は嵐子、ざまあみろという気持ちに)
4.自分の死を前に自分は遥生に何をしたらいいのと心情を吐露する嵐子。
(※視聴者は嵐子、可哀想という気持ちに)
おそらくは5分ぐらいのシーン。
その5分にこれだけの気持ちの振幅を入れられるドラマ作りは実に見事です。
この5分間を描くために、ファーストシーンからのすべてのやりとりを描いたというドラマ作りでした。
シナリオはやはり計算なんだと思いました。
また、何かを得れば何かを失うのが人生。
バレエを得て家庭を失った嵐子と家庭を得てバレエを失った佳奈。
その対比もよく描かれていました。
★研究ポイント
構成の仕方
★キャラクターデザイン研究:万田佳奈
彼女は実にいいお母さんだ。
夫には無理を言われ、娘たちは全然自分を手伝わなくても、受け入れている。
「しょうがないわね」と言いながら。
自分の拠って立つ場所が家庭であることを知っているのだ。
だから、こういう発言が出る。
「バレエをやるためには、家のことをちゃんとやらなくちゃ」
今までのお母さんなら、家庭のせいで自分の人生を台なしにされたと悩む。
だが、佳奈にはそれがほとんどない。
娘からは「ママって家族のメイドみたいだよね」と評されるが。
逆に嵐子は「あなたはいいお母さんなんでしょうね」と佳奈に皮肉を言う。
また、佳奈はすごくいい人だ。
パートを遅番にしてくれと言っても断らないし、青葉笑子(神田うの)の起こすトラブルにも仲裁に入る。
遥生には、あまり物言わぬ嵐子の気持ちを代わりに言ってあげる。
★名セリフ
バレエをやっていることが娘にばれて娘が言う。
「家族のメイドみたいなママより、好きなことをやってるママがいい」
※子供の時、貧乏でバレエをやめたことを娘が知ったせいもあるが、佳奈が家庭のことをしっかりやっているから、娘もこんなことを言ってくれる。
佳奈、娘に
「ダラダラしてないで、何かしなさいよ。やってみたいことないの?」
※自分にやりたいことができたから言えるせりふ。
自分には時間がなくてバレエができないのに、時間のある娘たちが何もしないのは歯がゆいのだ。
嵐子、秘書に
「私は友だちなんていらないの。私はバレエに愛されたから」
※恐らく嵐子はこう言い聞かせて今までの人生を歩んで来たのでしょう。すごく孤独なせりふです。
★名シーン
夫が7時に会社の人間を家に連れてくる。
佳奈と娘2人は協力し合って、その準備をする。
※人と人とが連帯し合うシーンというのはいいもの。
娘たちは佳奈に強制されてやっているのではない。
バレエをやりたいのにその気持ちを抑えて家庭のために一生懸命な佳奈の姿に感激したから手伝っているのだ。
このシーンの3人は実にイキイキとしていた。
★ディティル
バレエを始めた佳奈、アイロン掛けの姿勢もよくなる。