平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

医龍

2006年04月14日 | 職業ドラマ
 「医龍」の朝田龍太郎(坂口憲二)の見せ方がかっこいい。
 ためてためて、最後にかっこよく登場という手法だ。

  龍太郎は紛争地域の医療に携わってきた天才外科医。
 そんな危険な土地での医療を経験して日本に戻ってきた彼は隠遁生活を送っている。
 理由は日本の医療に幻滅していることと「医師として燃え尽きた」から。
 そんな龍太郎に明真大の女性医師・加藤晶(稲森いずみ)から外科医としてのスカウトに来る。

 龍太郎は明真大の医師たちを見て回る。
 教授の野口賢雄(岸部一徳)にへつらう出世主義の医師たち。
 製薬会社の接待に興じる医師たち。
 人の命よりも医局のルールや上司の面子をつぶすことを気にする医師たち。
 死んでいい患者とそうでない患者を分ける医師たち。
 龍太郎が所属していた北日本大学で日常的に見てきた情景だ。
 目の前を通り過ぎるきらいな看護士を見て龍太郎は言う。
 「なかなかいい人材が揃っている。看護士には」

 そんな時、急患の子供が運ばれてくる。
 木原(池田鉄洋)はマニュアルどおりの処置を行うが、心停止。
 適切な処置を行ったが、間に合わず死亡したという口裏合わせを行って、手術着を脱ごうとする。

 そこへやって来る龍太郎。
 「手術続行。よく見とけ、研修医」
 今まで皮肉屋でクールだった龍太郎が心停止した患者の処置にあたる。
 ためにためて真打登場というシーンだ。
 
 越権行為をされて怒る木原を無視し、心停止の原因は他にあることをスタッフに告げる。
 指で心臓の穴を塞ぎ、同時に停止した心臓マッサージをする。
 驚く加藤や他のスタッフたち。
 明真大の考え方に疑問を持っていたが、次第にそれが当たり前になってきていた研修医・伊集院登(小池徹平)にはこう言う。
 「いいか研修医、死んでいい患者なんていないんだよ」
 クールだった龍太郎は次第に熱くなって、患者に叫ぶ。
 「戻ってこい!戻ってこい!!」

 これで龍太郎がキャラクターとして立つ。
 キャラクターを魅力的に見せる要素として彼の医療技術があるが、それだけでは不十分だ。
 今までネガティヴでクールだった人間が「人を救いたい」という熱い思いを行動で現すから魅力的に見えてくる。
 それは「俺は人を救いたいんだ」と口で言っているだけでは伝わらない。
 作家は主人公と対立する人物を配したり、ネガティヴから主人公を描いたりして伝えたいことを伝えていく。

 今後はこれもドラマの王道だが、龍太郎が他の医師たちを変えていき、チームドラゴンを作っていく過程が描かれるだろう。
 まずは研究医の伊集院。
 「僕は、この大学病院ってところでやっていけるんでしょうか?」と患者に語っていた彼がどう変わるか?
 暗い過去を持つというERの麻酔医・荒瀬門次(阿部サダヲ)。
 龍太郎を出世のために呼んできた出世欲のかたまりの加藤晶。

 「メスを入れることばかりが治療だと思いやがって」と熱く語る内科医の藤吉圭介(佐々木蔵之助)とはお互いを認め合って共闘か。
 加藤と敵対するERの教授・鬼頭笙子(夏木マリ)とはどう絡むか?

★研究ポイント
 物語の作り方
 キャラクターの作り方

★追記1
 紛争地域の医療に携わってきただけに、龍太郎の緊急処置は粗っぽい。
 里原ミキ(水川あさみ)は肺閉塞で倒れた時、彼がボールペンをふたつに折り、ミキの胸に突き刺して、空気を外に出した。

★追記2
 龍太郎は政治的な行動をするキャラではない。
 あくまで人を救うことに全力投球する純粋なキャラだ。
 龍太郎がルール無視で行った手術を加藤医師は政治力で収めた。
 越権行為をされて責任問題を問う木原に加藤は言う。
 「あなたが最初から最後まで執刀して、奇跡的に患者を助けたことにするわ」
 龍太郎の様な人間が戦うためには政治力も必要なのだが、加藤医師はどう関わってくるのか?

★名セリフ
 ルール無視をしたことを攻める加藤医師に
 「許されないなら、あんたがもう一度殺すのか?」

 
コメント (2)
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