平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

全日本バレーボール 栗原恵 大山加奈

2006年04月03日 | スポーツ
「甦る 全日本バレー」(吉井妙子・著 日本経済新聞社)より

 2003年ワールドカップバレーでは、大山加奈、栗原恵が活躍した。
 強力なスパイクは海外勢の専売特許で、日本バレーはパワーバレーに対抗するため速さを追求し複雑なコンビネーションを構築しなければならなかった。
 そんな日本にふたりのパワーヒッターが登場したのだ。

 こんなふたりの逸材に吉原知子はこう述懐する。
 「潜在能力はすごい。しかし、それを活かすも殺すも自分次第。才能は自分で磨くしかないんです。でも。才能を磨く環境は作ってあげられる。最良の研磨剤は試合での勝利。彼女たちを伸ばすためにも早く勝ちたかった。勝利の味を覚えさせることが成長させる一番の方法だと思う」

 監督の柳本は4日前に栗原らのスタメン起用を発表した。
 理由は「プレッシャーに勝つには経験して学ぶしかないんです。今回の開幕戦を経験しておけば五輪などで厳しい場面に立たされた時潰れなくてすむんです」

 パーフォマンスは佐々木みきの方が上。
 こんな荒削りなふたりだったが、開幕戦で大活躍をした。
 「若い選手は乗せてなんぼ。決まりさえすればワーッといくじゃないですか」と竹下は試合後言ったが、中堅選手たちも彼女らをフォローして必死で動きまわった。
 また、逆に中堅選手が経験から試合の流れを読んで「負け」を意識した時は、彼女たちの必死の頑張りが気持ちをフォローした。
 中堅手は「なんや、この子たち」と思い、「とりあえずやってみよう」という気になったという。
 うまい循環である。

 さて、ここで個々の選手に着目してみる。

★栗原恵
 彼女は頑固だ。そして他人の意見に左右されない。
 まわりから「すごい活躍だったね」といわれても納得しない。
 自分の合格点の目標が高いのだ。
 チャンスボールで決められなくて彼女は思う。
 「先輩たちの足を引っ張った。何もかも下手なのに自信が持てない。自分の実力は自分が一番よく知ってしますから」
 甘い言葉は彼女にとって救いにならない。
 どんな場合でも自分を許すことが出来ないため階段の踊り場にたたずむことがあるが、最終的には伸びる。
 若い選手や強がっている選手ほど、他人の評価を気にするものだ。他人の目線で身の丈を計ろうとする。しかし、他人の価値観に右顧左眄するうちに自分を見失い迷路にはまってしまう。

 そしてもうひとつ栗原のエピソード。
 能美島から中学時代バレーをするために独り暮らしを始めた。
 理由は「挑戦しないで後悔するよりは、駄目だったとしてもやって後悔した方がいいと思ったから」
 そして三田尻高校に進む。
 理由は「練習がきつそうだったけど、『勝ちたい』という意識が統一されていた。みんなが教え合いながら練習していたのもよかった」から。
 この様にすべて自分で考えて行動しているのである。
 中学時代の孤独と厳しい練習は栗原から笑うことを忘れさせ、高校では「笑う」練習から始めさせられたが、彼女は自分で自分の道を切り開いて来た。決して人のレールには乗らなかった。

★大山加奈
 太陽の下のひまわりの様な性格の大山はこう育てられた。
 成徳学園の小川監督だ。小川は言う。
 「監督というのはサービス業だと思うんです。選手が何を求めているかをまず最初に考える。上からやらされるバレーではなく、選手がやるバレーにするため、僕はそのお手伝いをするんです」
 こんな監督の下で大山はのびのびと育った。

 そして最後に木村沙織。
 彼女ののー天気な性格は天性のもので、みんなを笑わせていたらしいが、試合に出る時はこう言ったという。
 「ライトは何をすればいいんですか?シンさん(高橋)と同じことはできません」
 これに対して吉原はこう言ったという。
 「シンと同じことをする必要はない。同じことをする選手はいらない」
 言った吉原もあっぱれだが、木村も「そっか」とすぐに納得したという。

 あるいはこんな珍発言も。
 「サーブを打つに3回トントントンとボールをつついてからトスを上げるとジャンピングサーブが入るんです」
 「ワールドカップの成績に満足したか?」という質問にひとりだけ「イエス」と答えたのは木村。
 彼女の天然はチーム内を明るくし、予想を超えた活躍はチームを勇気づけるのだ。

★研究ポイント
 キャラクターの作り方
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする